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3年前の親友の約束、打ち明けられなかった理由

大学時代、私は婚活サークルに入っていました。

といっても、メンバーは私と親友の真知子ちゃんの2人だけです。

にわか仕立ての学内のサークルで、真知子ちゃんが代表で、私が副代表ということに。

サークル発足のきっかけは、真知子ちゃんが1年間付き合っていた彼氏にフラれたことです。

正確にいうと彼氏が米国に留学したわけで、決して真知子ちゃんが袖にされたわけではありませんが、彼女はすっかりフラれたものと思い込んでいました。

真知子ちゃんは占いが好きでホロスコープや方位をかなり熱心にやっていました。

彼氏にもそうした話をよくしていたようです。

「なにも、破局の方位にいかなくてもね~」。

彼氏の留学先は付き合いが完全に断たれるという方位らしく、彼氏にそんなことをいっても全く聞く耳をもたず、さっさと米国に旅立ってしまったというのです。

「分かってていくか。完全に確信犯ではないか」と真知子ちゃんは憤慨していました。

その日。街中が色鮮やかなネオンで色採られた、クリスマスの日の夜。

私たちはカフェで、「あのカップルは長くはないね」とか「男がちょいキモね」とか、窓ごしに街を行く恋人たちの品定めをしながら、こんな日に女ふたりかい、とうっぷんを晴らしていました。

そしてその時、「こうなったら新しい男を探そう」と真知子ちゃんが叫び、その勢いで私たちは婚活サークルなるものを発足させたのです。

サークルといっても、これからメンバーをどのように増やしていくとか、本気で考えていたわけでもなく、それで何か気晴らしになるんだったらという程度のものでした。

とりあえず、結婚願望が強かった真知子ちゃんは、大学を卒業して2年以内に良い人を見つけて結婚するという目標を立てました。

後3年あるし、まあなんとかなるかな、「いいね、いいね」と私もそれに心から同意を。

私も真知子ちゃんと同様、早く結婚したいと思っていました。

大学の講義がない時は、私たちは喫茶店にこもって婚活スケジュールを立てました。

真知子ちゃんはというと、占星術から気学から、古今東西の呪術を駆使して男を落とすわ、と鼻息も荒く、さすがにこんな話をされたら元カレは引くわな、と思うほどの意気込みでした。

結局、私は彼女に引っ張り回され、大学のゼミの合間をぬっては、まずは恋愛運を高めなきゃと、何にちのどの方角のどこそこの神社で恋愛成就のお水取りをやるとか、4月は南の方角に3泊の旅行をするとか、なんだかんだと付き合わされる羽目になりました。

今思えば、このままいくと、たぶん、いやきっと、恋敵の丑の刻参りまでさせられるにちがいない、といったもう少しで精神が破綻しそうなヘビーな婚活サークルでした。

大学を卒業しても、私たちは2年以内に結婚するという目標は掲げたままで、お互いの近況をメールし合っていました。

卒業して、1年ほど経った頃でしょうか。
そのすさまじいまでの執念が実ったのか、真知子ちゃんは就職先でちゃっかり彼氏をゲットしていました。

しかし、神様はイタズラが過ぎるというか、その後が問題でした。

その彼氏を真知子ちゃんから紹介された時、私ははからずも彼に恋心を抱いてしまったのです。

もちろん、勘の鋭い真知子ちゃんがそれに気づかないはずがありません。

それから、どことなく、真知子ちゃんと私との間に隙間風が吹くようになってしまいました。

私はというと、日ごと、彼への想いがつのる一方でした。彼にそれを告げたい、かといって大事な親友を失いたくない。

胸が裂けるような思いで、日々悶々と過ごしていました。

そんなある日、思い詰めた私は、とうとう真知子ちゃんの彼氏をお茶に誘ったのです。

しかし、話題はというと真知子ちゃんのことばかり。どうしても彼に思いを告げることはできませんでした。

やはり一番の親友を裏切ることはできなかったのです。


その3日後、3年前のあの日と同じクリスマスの夜。

私は、真知子ちゃんと一緒にいたカフェの窓辺の席に一人座っていました。

3年前のあの約束。結局、私は果たせなかった。私は、街を行く幸せそうなカップルを虚ろに眺めていました。

そして、冷たくなったコーヒーを口にしながら、ふとスマホに目をやった時、真知子ちゃんからメールが来ているのに気がつきました。

メールには、「仕事やめて、しばらくカナダいって遊んでくるよ」とありました。彼氏のことは一切触れていませんでした。

なんで、こんな時期に。

私は、なんとなく気になって方位を見ました。

その方角だと、真知子ちゃんの恋愛は、完璧に「破局」です。

もちろん彼女がそれを知らないはずがありません。彼氏と疎遠になったという話も聞いていません。

私は、婚活サークルを立ち上げ時、彼女がいっていたことを思い出しました。
「とりあえず、私が代表やるけど、メンバーから先に嫁に出すからね」と。


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