米国・代替医療への道 2001
増加する若年性アルツハイマー / ホメオパシー療法の最新研究 / 遺伝子組み換え、栄養強化など開発 / 一般食品の機能性食品化に拍車 / ネットビジネス、監視体制強化 / アロマセラピー市場、成長株に / 急伸するオーガニック市場 / 「代替医療」への抵抗勢力 / サプリメント、虚偽広告規制へ / コンプレックス商品、好調な売上げ / 米国代替医療~①ハーブ・サプリ編 / アンチエイジング市場に活路 / ビタミンEなど、有効性が論議の的に / サプリメント、妊娠中摂取の問題点 / 拡大するオーガニック市場 / ビタミンなど1日の標準推薦量報告 / 「ニューエイジ・ドリンク」がブーム米国の9月はオーガニック・ハーベスト月間。ここ数年、農薬による環境破壊、遺伝 子組み換え食品への不信感などでオーガニック食品の売り上げに拍車がかかっている。 これまでオーガニックを扱う店といえば主に健康食品店だったのが、ここ数年は普 通のスーパーマーケットでも豊富な種類のオーガニック商品が並ぶようになった。 米国の分刻みで行動する現代人の生活スタイルにあった商品の開発なども手伝い、 売り上げはうなぎのぼりだ。オーガニックの売れ筋商品、市場規模など米国の オーガニック市況の現状を報告する。
2000年の売り上げは推定78億ドル、対前年20%増
ここ10年ほど、米国で着実な成長を遂げているオーガニック市場。米国オーガニック フード市場報告によると、2000年の売り上げは推定78億ドルで、前年の65 億ドルを20%上回った。90年代半ばごろから毎年20%から25%の伸び率を 記録。オーガニック・トレード協会は、今年は93億ドル、さらに2005年まで に200億ドルに膨れあがるものと予想している。
また、ナチュラル・マーケティング・インスティチュート(FMI)の調査によると、 2000年のオーガニック消費人口は、総消費人口の43%で、前年の39・5% を上回った。
FMIが消費者1,000人を対象に行った調査報告では、67%が「行き つけの食料品店にオーガニックまたは自然食品が置いてある」と回答。そのうち 「少なくとも1か月に1度はオーガニックを買っている」と答えたのは54%、 「少なくとも1週間に1度」が23%、「1か月に2、3度」が31%、「買っ たことがない」が26%だった。総回答者の37%が、「ラベルにオーガニック と掲載された商品を好んで買う」と答えた。
オーガニックの冷凍食品が着実な売上げ
オーガニック&ナチュラルニュース最新号によると、昨年6月から今年6月までの 統計をもとにしたオーガニック商品の売れ筋カテゴリーは以下の通り。
(1)飲料水(乳製品を除く) 約2憶855万ドル 61・1%↑
(2)乳製品 約1憶1932万ドル 30・2%↑
(3)生鮮食品 約 9398万ドル 35・9%↑
(4)冷凍食品、ピザ 約 7409万ドル 20・7%↑
(5)ベビーフード 約 5062万ドル 3・1%↓
(6)ヨーグルト 約 3910万ドル 54・0%↑
(7)チーズ 約 3793万ドル 25・5%↑
(8)スナック 約 3334万ドル 20・0%↑
(9)シリアル 約 3312万ドル 23・8%↓
(10)その他デイリー 約 2935万ドル 361・2%↑
中でも、現在、オーガニック業界の期待の星は、調理の手間のいならいオーガニ ックの冷凍食品。時間に追われ、「調理する時間はないけれど、健康に悪いジャ ンクフードは食べたくない」という現代人のニーズに応え着実に売り上げを伸ば している。通常の冷凍食品に比べオーガニックものは、低脂肪・低カロリー・ 低塩分というのも人気の秘訣だ。
ベジタリアン向けにはビタミン、繊維、大豆を加えたほか、冷凍ベジバーガ ーのように「野菜だけれども食べた感じは肉のよう」という商品も売れ筋商品 のひとつ。ホルモン、抗生物質フリーのミートを使った冷凍食品も増えている。 そのほとんどがチキン。牛肉などのレッドミートに比べ健康にいい―というの がその理由だ。
また、ヘルシー志向のグルメ派向けに、オーガニックのエスニック冷凍食品も 増えている。代表選手は、「Asian rice bowl」。早い話が、牛丼などのどん ぶり物である。ジンジャー、ガーリック、ゴマ、ピーナッツソースで味付けさ れた中華、タイ料理が流行っている。
成分はケミカルフリーのオガニック、味はエスニックでグルメ派も満足、電子 レンジに入れるだけの手間知らず―と三拍子揃った商品が今、注目されている。
専門店から一般食料品店へと広がる販路
また、ハートマングループの調査では、大半が一般食料品店でオーガニックを 購入しており、わざわざ健康食品専門店まで足を運ぶというのはわずか29%で あった。さらに、オーガニックを求める消費者を、ヘルシー志向の度合いによ って3つのグループに分けると、次のような傾向が浮かび上がってくる。
1)最も関心が高いグループ
健康食品店の主な購買層で、一般食料品店でも、健康食品についての知識豊富
な店員がいて、商品の品揃えに満足すれば買い物をする。
2)中間グループ
オーガニック消費者の大半を占める。一般食料品店でオーガニック商品を購入。
オーガニック知識の量に比例して、オーガニック予算も増えていく。
3)関心が薄いグループ
一般食料品店でたまに買う程度。オーガニックよりも、旬のもの、または値引
き商品への関心が高い。
今後、オーガニック商品のブランドものがトレンドに
今後のオーガニック食品の上昇株はグルメタイプの調理済食品。おしゃれなパ ッケージで、バラエティーに富んだエスニック料理が、ますます人気をよびそ うだ。
さらにトレンドとなりそうなのが「ブランドものオーガニック」。今のところ オーガニック愛好家でも「じゃあ、あなたはどのメーカーのオーガニック商品 を買っていますか」という質問に答えられる人はほとんどいない。
オーガニックそのものが定着してきた今、メーカー側の次のステップは、自社商品の
ブランド名をどう浸透させるか、ということ。プライベート・ラベル・マニフ
ァクチャー協会が「ブランド名の定着は、リピーター確保につながる」という
ように、マーケッティングでは重要な要素となるためだ。