米国・代替医療への道 2000

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ビタミンC、E、β-カロチンなど抗酸化ビタミンの1日推奨摂取量を改定
栄養素は補助剤よりも食品で摂りたい―そんな消費者のニーズに応え、機能性食品 ブームが起きている。ビタミン、カルシウム、鉄などを加えたミルクやジュース、人気ハ ーブのセントジョンズウォート入りスープまで出てきたほどだ。中でも、目を見張るのが 「機能性スナックバー」の種類の豊富なこと。世界中で批判の的になっている遺伝子 組み換え(GM)食品の開発メーカーも、「栄養素は食べ物で」というこの消費者動向 に目を向けてか、栄養素を強化した商品の生産へと方向転換しつつある。「バー」を 中心にした機能性食品とGM食品の現状、およびアメリカの大手開発メーカーの取り 組みを報告する。

  1941年以来、米科学アカデミーで健康を維持するために推奨摂取量を設定

米国立科学アカデミーのthe Food and Nutrition Board(食品栄養素委員会)は 1941年以来、健康的な食生活に必要な栄養素に関して、そのタイプと1日に必要な量 を、膨大な量の研究に基づき定期的に設定し発表している。

ここ数年、同委員会は価値設定のシステムを拡大し、RDA以外に3つの基準を設け 一緒にしてDietary Reference Intakes(DRI)と呼んでいる。 栄養素の価値を決めるDRIには次の4つがある。

(1)Recommended Daily Allowance(1日推薦摂取量=RDA)/特定の年齢、性別 グループにおける殆どすべての健康体が必要とする栄養素を満足させる摂取量。

(2)Adequate Intake(適切摂取量=AI)/観察あるいは試験的に決定される健康体グ ループの栄養摂取近似値あるいは予測値に基づく推薦量。RDAが設定できない場合使 われるもので、適切であると判断される。

(3)Tolerable Upper Intake Level(許容上方摂取量=UL)/一般グループの殆ど全員 に副作用を起こす危険性の無い栄養素摂取の最大量。UL以上に摂取すると、副作用 が起こる。

(4)Estimated Average Requirement(推定平均必要量=EAR)/年齢層、性別グルー プで半数の健康体に必要量を満たすと考えられる推定摂取量。今後、微量ミネラルや その他のビタミン、電解質、水、タンパク質、炭水化物、食物繊維、脂肪などの食品構 成成分に関してもDRIを発表していく。

摂取上限はCが2000mg、Eが221IU(天然)

今回の報告書の大まかな内容は、
(1)食品に含まれる抗酸化剤の定義。
(2)研究不足が指摘されているが、ビタミンEやセレンなどに対するRDAが年齢を問わず成人男女同じ。
(3)ビタミンCのRDAは、女性のほうが筋肉重量が小さいことにより、成人男女では違いがある。
(4)ビタミンEの必要量ならびにRDAの推定に使用されるのはアルファ・トコフェノールだけ。ベータ、ガンマなど他のビタミンEの形は、体内でアルファ・トコフェノールに転換しない
――などとなっている。

今回の改訂されたRDAは次のとおり。

■ ビタミンC(アスコルビン酸)
1-3歳:男 15(mg/d)   女15
4-8歳:男 25      女25
9-13歳:男 45     女45
14-18歳:男 75    女65
19-30歳:男 90    女75
31-50歳:男 90    女75
51-70歳:男 90    女75
70歳以上:男 90    女75

水溶性の抗酸化剤。1989年に設定された60mg(男女とも)から男性90mg、女性75mg に設定し直された。また、喫煙者は酸化ストレスによりビタミンCが無くなることから、さら に35mg多く摂ることを薦めている。上限設定は、1日2000mgまで。これ以上の摂取は 下痢を引き起こすといわれる。食品供給源は、柑橘類、じゃがいも、ストロベリー、ブ ロッコリーなど。

■ ビタミンE(アルファ・トコフェエノール)
1-3歳:(男女とも) 6mg/d
4-8歳:       7mg
9-13歳:      11mg
14-18歳:     15mg
19-30歳:     15mg
31-50歳:     15mg
51-70歳:     15mg
70歳以上:     15mg

食品から15mg摂取することが薦められている。国際単位(IU)では22IU(天然)に、 合成では33IUに相当。1989年の設定では、男性10IU、女性8IUとなっている。アル ファ・トコフェノールは、血中で維持され必要時に細胞へ運ばれる唯一のタイプとさ れている。上限設定は、1000mg(1500IU)まで。ビタミンEは抗凝血作用があるた め、上限設定を過ぎると、出血性障害を起こす恐れがある。食品の供給源は、サラダ オイル、ナッツ、肝臓など。

■ セレン
セレノプロテインを通して機能する。セレノプロテインの幾つかは、抗酸化酵素。同 酵素の活動が最高の状態と関連してセレンの必要量は設定される。

1-3歳:(男女とも)  20μg
4-8歳:         30μg
9-13歳:        40μg
14-18歳:       55μg
19-30歳:       55μg
31-50歳:       55μg
51-70歳:       55μg
70歳以上:       55μg

上限設定は400μg。これを超えると抜け毛などの症状があらわれる。食品供給源は魚 介類、肝臓、肉類など。

■ β-カロチン並びにその他のカロチノイド

ビタミンA源として機能。だが、それ以上の役割を証明する研究が不十分として、今回 は新しく設定されていない。

通常、健康体では上限設定を超えた量を摂取すべきではないとされている。この量 を超えた場合に人の健康にどのような影響が出るのかは、今後さらに大規模な研究が 必要。また、ビタミンC、E、セレン、β-カロチンの相互作用や、他の食品成分との相互 作用に関する研究も求められる。栄養素全般に関してのDRI再設定が2001年をめどに 行われる。このプロジェクトの予算は540万ドルになると推測される。