ヨガ教室の選び方~さまざまなヨガの流派の違い
ヨガが体に良いと聞いた。さっそくヨガをはじめよう!と思っている方も少なくないはず。でもネットで調べると、意外に多いヨガ教室とヨガの種類。いったいどんなヨガをすればいいの?そんなあなたに、代表的なヨガの流派をご紹介しましょう。

■ ハタヨガ
ハ(太陽)とタ(月)という意味のハタヨガ。動くヨガ(ポーズを取るヨガ)はすべてハタヨガになりますが、伝統的なインドのヨガです。マットの上でゆっくり丁寧にポーズを取っていくので、基本的にはどんな方でもできるヨガです。いろいろな流派があっても「ハタヨガ」としているクラスが一番ベーシックです。
ハタヨガのクラスでは基本的には呼吸法、立位のポーズ、座位のポーズ、シャバアーサナ(休憩)、シャバアーサナ、瞑想といったヨガのあらゆる要素が網羅されているので、ヨガをしっかり学びたい人にもおすすめのクラスです。
またハタヨガからアイアンアーヨガ、アシュタンガヨガ、パワーヨガ、ホットヨガなどが派生しています。ヨガといえばハタヨガと思って良いでしょう。
■ アシュタンガヨガ
「アシュタンガ」はヨガ哲学で「八支則」という哲学を意味しますが、現在の「アシュタンガヨガ」といえばインドのマイソール地方でヨガを教えていた「パタビジョイス師」が、現代の人に向けてアレンジしたヨガで、どんなポーズをするか1から順番が決まっているヨガです。
呼吸に合わせて流れるようにポーズを取っていくという特徴があり、プライマリーシリーズという基本を一通り終えるのにだいたい90分くらいの時間がかかります。
一連のポーズのなかにはハタヨガのポーズがもちろん入っていますし、人気の高い「パワーヨガ」の前身ともなっています。運動量が非常に多いので欧米人やアスリート、モデルや男性にも人気の高いヨガです。
ヨガがまったくはじめて、という人には少々ハードかもしれません。中級者以上におすすめできます。またアシュタンガヨガではポーズの順番だけでなく、どこで息を吸って吐くか、またどのように息を保持するか(バンダ、クンバカ)、そして目線(ドリシティ)なども細かく決められています。
■ ヴィンヤサヨガ、ヨガフロー、パワーヨガ
「ヴィンヤサ」とは「呼吸に合わせる」の意味で、アシュタンガヨガはヴィンヤサヨガともいえます。またヨガフロー(またはフローヨガ)の「フロー」は「流れる、流す」の意味で、ヨガのポーズを次から次へと呼吸に合わせて連続して流れるように行うため、アシュタンガヨガもヨガフローのひとつの形といえるでしょう。
アシュタンガヨガとそれ以外のヴィンヤサヨガ、ヨガフローで異なる点は、その流れ、つまりポーズの順番が特別に決められてはいないとうことです。主にクラスを担当するインストラクターがテーマに応じてその日のシークエンス(ポーズの流れ)を決めることが多くなっています。あるいはスタジオがオリジナルでプログラムを組み立てていたりもします。
いずれにせよ呼吸に合わせて動いていきますが、次にどんなポーズをするのかはわかりません。ちなみにヨガで一番ベーシックなヴィンヤサ・フローは「太陽礼拝」というシークエンスです。
この太陽礼拝は流派によってやり方や順番が若干異なりますが、基本的には呼吸に合わせて12ポーズを行います。呼吸に合わせて行うことで、ストレッチ効果だけでなく有酸素効果、またポーズを保持(キープ)することで、軽い筋肉運動にもなり、パワーヨガとも言い換えられます。ヨガをエクササイズとして行いたいのであれば、ヴィンヤサ、フロー、パワーヨガをおすすめします。
■ シバナンダヨガ
インドの医師である「スワミ・シバナンダ」氏の弟子「スワミ・ビシヌ・デバナンダ」氏が考案したヨガです。クラスは2種類の呼吸法、そしてシバナンダヨガの太陽礼拝、それ以外に12ポーズ、そして瞑想で構成されていて、背骨を前と後ろからバランス良く刺激することでチャクラを整え、体の調子を整えることを最大の目的としています。
哲学や歴史に触れる時間も多いため、ヨガをより深く学ぶことができます。また1ポーズごとに十分なシャバアーサナ(休息)を確保するので、シニアやヨガをゆっくり学びたい人にもおすすめできるヨガです。もちろん上級者にも対応しています。肉体よりもスピリチュアルな面を大切にしているヨガといえます。
■ アイアンガーヨガ
B.K.Sアイアンガー氏が考案したヨガで、他のハタヨガ系と比べると1つのポーズをじっくりと時間をかけて行うという特徴があります。また他のヨガと違い道具を使うもの特徴です。
この道具をプロップスといい、ヨガブロック、ヨガクッション、ストラップ、ベルトなどを使い、正しいポーズが取れるように道具に助けてもらいます。道具を使うことで、あらゆる世代に対応できるヨガとなっていますし、1つのポーズを長くキープすることで集中力が身につき、瞑想状態に入りやすくなるといわれます。
運動量は多くないですが、じっくりとポーズの効果を感じることのできるヨガです。高齢者や病気の方のリハビリにも適していますし、指導者によっては妊婦さんにも安全な方法を誘導してくれます。
■ クンダリーニヨガ
7つのチャクラを順番に引き出し覚醒することを目的としていて、カパラバッティ(火の呼吸)と呼ばれる呼吸法などを取り入れて練習を行います。ヨガの中では最も難しく高度な技術が必要だといわれ、長く練習し続ける必要があります。しかし格闘家やアスリートなどに人気のヨガです。
■ クリパルヨガ
インドのスワミ・クリパルの教えをもとに、伝統的なヨガを大切にしながらもストレスフルな現代社会にマッチするように開発された米国発のヨガで、米国のクリパルセンターはホリスティックケアセンターとしても人気があります。
ポーズの完成度やポーズをとることよりも、目を閉じて呼吸や自分自身に意識を向けることを大切にしていて、より癒しやリラクゼーション効果の高いヨガとして人気があります。もちろんヨガ入門者にも適しています。
■ インヨガ
パワーヨガやアシュタンガヨガのように心拍数を上げたり、発汗させたりすることは目的としていません。筋力のアップも目的としておらず、筋肉と筋膜を緩めることを目的としています。
そのため1つのポーズを自分の体重をかけながら3~5分ホールドし、筋肉や骨にスペースを作ることで深いリラックスが得られることを目的としています。
他のヨガが「陽」のヨガとまとめられるのに対し、YingYogaは「陰」のヨガとされ、薄暗い空間のなかでポーズを静かに深めていきます。陰陽ヨガとよばれるクラスもあり、クラスの前半で心拍数をあげるようなヨガを行い、後半にあまり動かないポーズでリラックスするという流れが人気のようです。米国発のヨガですが、ベースは日本にあるとされます。
■ リストラティブヨガ
シャバアーサナをベースにした「休息」のヨガです。アイアンガーヨガがベースになっているといわれ、さまざまなプロップス(道具)を用いながら、心身が完全に安定する場所を探して、1つのポーズを5分以上キープします。
例えば、シャバアーサナひとつとっても、リストラティブで行うものは、膝下や足首、首の下にクッションを置いて骨の自然なカーブを助長したり、手のひらが自然に開くように軽い重さを手のひらに乗せたり、目の上にアイピローを乗せたり、体には毛布をかけたりすることで、完全にくつろげる状態をつくって、そこで深い呼吸を行います。
「積極的にリラックスする」というのがリストラティブヨガの最大の目的で、そうすることによって脳まで完全にリラックスさせることを目的としています。指導者にポーズを作ってもらう必要があるので、一人ではなかなか行えませんが、深いリラックゼーションを体験したい人におすすめです。運動量はほとんどありませんし、立位のポーズもありません。
■ ラフターヨガ
ヨガの呼吸法の笑いの要素を取り入れています。どんな人にもできるヨガです。ポーズはほとんどとることはなく、大きな声を出してウソでもいいからしっかり笑うことで、酸素をたっぷり体に取り入れて、笑いが次第に運動になることを体感していきます。
アイコンタクトやエクササイズの要素もあり、一人ではなく集団で行うのが特徴です。15分以上ラフターヨガを行うことで、健康効果が得られるといいます。ラフターヨガはインドの公園で始まったといいますが、今は世界中でラフターヨガの活動が行われています。
■ メディカルヨガ
セラピーやリハビリを目的としています。深い呼吸や副交感神経を優位にすること、あるいは自律神経を整えることは、血圧、心拍数、血糖値、ホルモンバランスなどの状態を整えることにつながります。
ヨガのポーズよりヨガの呼吸法をベースに、病院などでリハビリの一貫としてメディカルヨガが行われています。米国では補完代替医療の一貫としてメディカルヨガが普及しています。
■ マタニティヨガ
本来、ハタヨガでは妊婦さんに適したポーズ、禁止のポーズ、産後に適したポーズなどがおおまかに決まっていますが、妊娠中や出産時により役立つ呼吸法やポーズに特化してクラスを行うのがマタニティヨガです。
激しいポーズは行いません。妊娠中はどんな運動をすれば良いのかわからない人が多くいますが、無理なくストレッチと呼吸法を行えるマタニティヨガは妊娠中に非常におすすめです。また産後の素早い体力回復にも役立ちます。
妊娠期にヨガをしていた人はそうでない人に比べて、分娩時間が大幅に短縮されることや、会陰切開をしないで済んだというエビデンスもあるほどです。そのため産院やレディスクリニックでマタニティヨガを取り入れているケースも少なくありません。
■ シニアヨガ
高齢社会の日本でもシニアヨガがブームになりつつあります。基本はハタヨガをベースにしていますが、片脚で立てない、関節が硬くなっている、さまざまな不調がある、といった方にもできるように指導してくれるクラスです。
アイアンガーヨガのように道具を使って行うことも多く、チェアヨガといってバランスを崩さないように椅子の上で座ったまま行う場合もあります。
長くヨガを練習している人は年齢を重ねたからといってシニアクラスに移動する必要はありませんが、シニアになってからヨガをはじめるという人や、すでに車椅子に乗っている、なんらかの手術などをしていてリハビリを兼ねたい、という人はシニアヨガがおすすめです。またシニア同士のコミュニティ作りの役割も果たしています。
■ ホットヨガ(ビクラムヨガ)
ハタヨガ、ヴィンヤサヨガ、パワーヨガを専用のスタジオで行います。専用のスタジオとはサウナのようなスタジオか岩盤浴のような施設のことで、そのなかでポーズを取ることで大量発汗を促します。
目的は発汗、デトックス、減量などで、運動量は多くなります。ホットヨガのなかでもビクラムヨガというのはアシュタンガヨガ同様、ポーズの順番がこまかく決まっています。
また緑色の洋服でビグラムヨガをしてはいけないというオリジナルのルールもあります。しかし世界中どこへいってもビクラムヨガは同じポーズを練習できるので、その安心感があると人気のホットヨガです。

