米国・代替医療への道 2003
サプリのネット販売、誇大告知規制 / サプリメントと医薬品との相互作用 / 現代人、流出する栄養素 / がん患者の9割強、代替医療を経験 / FDAお墨付き、機能性飲料登場 / 感染症、米疾病予防センターの役割 / アンチエイジング市場の今 / ハーブサプリ、安全性の監視強化 / 米国サプリ、マスコミ報道の今 / 遺伝子組み換え原料、急速に浸透 / 疾病に焦点当てた栄養機能食品続々 / サプリ製造、安全性への監視強化 / 米国におけるサプリメント使用調査 / 化粧品にも栄養素添加、コスメ市場 / 米国ダイエット産業の近況 / 米国サプリメント栄養行政の最新報告 / トリップハーブ、高揚感求めニーズ化粧品に栄養素を添加し、潤いのある健康的な肌を---。肌だってサプリメント が必要----と、ビタミンやハーブの入ったスキンケア商品が米国で売れている。 ヘルス志向の高い消費者の心を射止めたコスメスーティカル市場。米国での近況 を報告する。
コスメスーティカル市場は約50億ドル
コスメティック(化粧品)とファーマスーティカル(医薬品)の合成語「コスメ スーティカル」。医薬品のように、肌のバイオロジカル機能に働いて効果を発揮 する化粧品だ。
たとえば、ビタミンC入りのコスメスーティカル。抗酸化サプリメントの定番ビタ ミンCを肌に塗ると、肌のハリを維持するコラーゲンの合成が増えてシワが改善す る。美容の鉄則は、なんといってもヘルシーな素肌作り。それには肌にもサプリ メントをお忘れなくというわけだ。
アメリカのコスメスーティカル市場は現在、ヘアケア製品と養毛剤を含めて約50 億ドルで、うちスキンケアは約28億ドル。栄養補助食品業界紙「ニュートリショ ン・ビジネスジャーナル」によると、コスメスーティカル市場は、ナチュラル・ パーソナルケア・カテゴリーの急成長株で、同カテゴリー小売市場の17%を占め ているという。
老化防止を謳うアンチ・エージング商品に殺到
中でも最もホットなのがアンチ・エージング商品。老化防止を謳った新成分が登場 すると、「試さずにはいられない」とばかりに消費者が殺到する。 コスメスーティカルといえばなんといってもアンチ・エージングものが主流だが、 その他にも注目の商品がある。ナチュラルが売りのシェービング製品と、リップ バームだ。
普通のシェービング製品には、石油ベースの潤滑剤やナトリウムといった泡立て 剤などのケミカルが含まれている。髭剃り後のヒリヒリの原因がそれだ。それに 比べ、ナチュラル商品は肌を刺激するケミカルが含まれていないのが特徴。香り のきつい合成香料の代わりにミント、ラベンダーなどの植物抽出液を使い、ほど よい香りに加え、アロマセラピー効果があるのも人気の秘訣だ。
オーガニック成分配合もナチュラル派に人気
ナチュラルが売りというだけあって、「成分はオーガニック」というこだわり 商品も目立つ。 たとえば、トムズ・オブ・メインのシェービング製品。成分は水、ベジタブルオ イルを使った天然ソープ、同じくベジタブルからとったグリセリン、仕上げの香 りに天然オイルと、ケミカルは一切含まれていない。ナチュラルだから、肌を 刺激したり、乾燥させる心配がない。
オヴリーズのアフターシェービングローションは、メンソール、ペパーミントオ イル、ジンセンを使用。これらの成分に殺菌作用があることから、ケミカル商品 必須のアルコールは配合されていない。そのため、香りもさわやか。アロマ効果 を謳ったアバロン・オーガニックスのシェービングローションは、成分の70% 以上がオーガニック。環境にもやさしいと筋金入りのナチュラル派に人気だ。
唇にうるおい、リップバーム商品にさまざまな栄養成分添加
もう一つの話題商品は、乾燥した空気や冷たい風で痛んだ唇にうるおいを与える リップバーム。唇に塗った成分は、しばしば胃の中に入っていく。ケミカルより きちんと消化できるナチュラル素材が求められるのは当然だ。
ナチュラル・リップバームの基本成分は、木の実、種子、フルーツ、ベジタブル オイル、蜜蝋(みつろう)。また、香りと殺菌効果があることからローズメリー などのエッセンシャルオイル、さらに抗酸化作用のあるビタミンEも定番成分だ。 リップバームによく使われる成分とその効果については以下の通り。
・アーモンドオイル
アーモンドの種から抽出したオイル。甘い香りと軽い使い心地からスキンケア
オイルの定番成分でもある。
・アボカドオイル
痛んだ肌を改善する働きがあり、UVBをブロックする力を表すSPFは7と、
フルーツおよびベジタブルオイルの中では最も遮断効果が高い。
・蜜蝋
唇への定着率が高く、風や太陽光線から唇を守る。SPF5。
・ココアバター
乾燥した唇はもとより、乾燥肌のトリートメントに効果大。
・ココナッツオイル
肌の乾燥を防ぐ効果が高く評価されている。
・Candelilla
メキシコ周辺産のトウダイグサ科の低木。リップバームを固めるのに使われる。
・麻の実オイル
カンナビスの種から抽出したオイル。オメガ3とオメガ6を豊富に含んでいる。
・AHA、BHA、レチノイン酸が根強い人気
アンチ・エージング商品に配合されている成分
ところで、コスメスーティカルの人気商品、アンチ・エージングには一体どの ような成分が用いられているのか。人気成分をまとめてみた。
・AHA
正式名称はアルファヒドロキシ酸で、酸の一種。くだもの、砂糖、乳酸など
天然の食品にも含まれる酸である。角質層をはがす効果があり、皮膚科医が
よくピーリングに利用している。やや濃度を抑えたものが処方箋なしで市販
されており、角質層をはがす刺激で、表皮の働きを正常化させ、シミ、くすみ、
シワをとることから、若返り商品の定番成分となっている。
・BHA
正式名称はベータヒドロキ酸。AHAと同じように角質層をはがす効果がある。
AHAより刺激が少ないのが特徴。もともとニキビの治療に使われており、シワ
取り効果には疑問の声も上がっている。
・レチノール
天然のビタミンAと同様の成分であるレチノール。シワの改善効果が1990年
初期の研究で報告されている。真皮でコラーゲンを増やす効果があり、シワ
を改善するほか、肌の保湿効果もある。ハンドクリーム、アイクリームの定番
成分。
・レチノイン酸
レチノールと同じビタミンAの仲間だが、効果はずっと高い。シワ、シミの
改善効果で高い評価を得ている。
・ビタミンC
角質の主成分であるケラチンと真皮のコラーゲン合成を高める抗酸化物質の
代表。シワ、シミを改善し、毛穴が引き締まる、紫外線から肌を守るといった
効果が報告されている。
・その他のビタミン
ビタミンA、Cに少し遅れをとって最近、定番スキンケア成分の仲間入りした
ビタミンK。シワを改善し、目の下のクマをとるといった働きが指摘されてい
る。特に目の回りのシワをとるナイトクリームの成分として人気。ヘアケア部門
でひっぱりだこのビタミンB群は、シワ、ニキビ改善、保湿効果もあることから
スキンケア部門でも人気上昇中。
・抗酸化成分,br> 肌の酸化を防止するアンチエージングの基本といえばビタミンA、C、E。 それに加え、ここ最近、注目されているのが、緑茶、ぶどう種子抽出液、ギン コ、ベータグルカンといった成分。中でもぶどう種子の抽出液はフリーラジカ ルから肌を守り、保湿効果もあることからアンチ・エージングの目玉成分にな っている。
・ハーブ
注目成分はガラナ、ココアバター、シアバターノキオイル。いずれも弾力のある
素肌を作るといわれている。アロエはやわらかな素肌作りを助け、キュウリの
抽出液は毛穴を引き締めると、根強い人気。
「いつまでも若々しくありたい」と願うベビーブーマー世代が40代、50代にさ
しかかった今、アンチ・エージング・スキンケアの成分探しに、ますます拍車
がかかりそうだ。