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ポリアミン、ジピコリン酸、ビタミンk2など 7月24日、有楽町朝日スクェア(東京都千代田)で、全国納豆協同組合連合会主催の第三回「納豆健康学セミナー」が開催された。早田邦康氏(自治医科大学大宮医療センター内科2 講師)、須見洋行氏(倉敷芸術科学大学教授)らが、納豆研究の最新成果を報告した。高齢化人口が増える中、関心が集まるアンチエイジング(抗老化)や動脈硬化予防など納豆の機能性を紹介した。
納豆のビタミンK2、骨粗しょう症予防に有用
納豆については、血栓溶解やO-157、ピロリ菌への作用など、現代人の健康を守るために欠かせない有用成分が多く含まれていることがこれまでにも報告されてきた。 セミナーでは、早田氏が、「ポリアミンを中心とした納豆の機能性。動脈硬化予防、炎症抑制効果」と題して講演し、アンチエイジング(抗老化)に果たす納豆の役割について報告。フレンチパラドックス(注1)で知られる抗酸化物質のアンチエイジング作用について疑問点を挙げ、納豆に多くに含まれるポリアミンが老化や加齢に伴う疾患の原因となる炎症を軽減させることを指摘した。
【 Health Net Media/ヘルスネットメディア 】関連記事 また、須見氏は、「納豆の「ジピコリン酸」は血小板凝集能を抑え,ナットウキナーゼおよびビタミンK2含量を高める」と題して講演。 納豆50g中には10mg程のジピコリン酸(DPA)が含まれるが、DPAはアスピリンよりも血小板の凝集を抑える強い効力があることを報告。加えて、納豆中の血栓溶解酵素であるナットウキナーゼの活性を高めたりビタミンK2(メナキノン-7)を増強することを明らかにした。
ビタミンKは1929年に発見された脂溶性ビタミンで、植物性のビタミンK1、動物性あるいは腸内バクテリアから作られるK2、合成のK3の3タイプがある。 健常者の場合、体内で腸内細菌によるビタミンK2の産生が行われるが、加齢とともに産生が減る。しかしながら、K2(メナキノン-7)は、カルシウムを骨に結合させる"接着剤"ともいえる蛋白質・オステオカルシンの合成に欠かせない。 血中のビタミンK2(メナキノン-7)濃度が低いと、骨折しやすいことも明らかになっている。 「骨折する女性が、東日本より西日本に多い」という調査報告もあるが、西日本の人々の納豆消費量が、東日本の人々に比べて少ないことに起因するといわれている。日常的に、納豆を摂食する人々の血液中にはK2(メナキノン-7)が多いことが報告されている。
最近の研究でも、ビタミンKが骨の健康維持に有用であるということが、Archives of Internal Medicine最新号に掲載されている。 この他、American Journal of Clinical Nutrition(1999年1月号)によると、ハーバード大学の10年間にわたる7万2千人以上の中年、高齢女性を対象にした研究で、ビタミンKを毎日最低109mcg(マイクログラム)摂取したグループは、それ以下の摂取グループと比べて腰骨の骨折の割合が30%減少していることが判ったという。 また、1988年から95年にかけて行われたFramingham Heart Studyでは、高齢者888人を対象に、ビタミンKの平均摂取量が56mcgのグループと254mcgのグループを比較した結果、56mcgグループは腰骨の骨折の割合が著しく増加したことが判ったという報告もある。 (注1):フランス人はイギリス人やドイツ人と同程度の動物性脂肪を摂っているにもかかわらず、動脈硬化による心筋梗塞などの疾患が少ないことが疫学調査で判明。これを、フレンチパラドックス(フランスの逆説)と呼び、その原因がフランス人の愛飲するワインにあるとされ、医学雑誌「The Lancet」などでも紹介され、以降、ワインに含まれる抗酸化物質が動脈硬化防止やアンチエイジング(抗老化)に関与しているといわれてきた。
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