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コーヒー、子宮体がんのリスクを低下【コーヒー最新研究報告】
54,000人の女性対象、約15年追跡(厚生労働省研究班)

コーヒーを毎日3杯以上飲む日本の女性は子宮体がんのリスクが低い。厚生労働省研究班の調査でこうしたことが分かった。先日も、コーヒーに含まれるカフェインの脳の記憶機能への影響が報告されたばかり。コーヒーに関する最新の研究成果を報告する。

緑茶、子宮体がんリスクとの間に有意な関連見られず

子宮体がんは、子宮の袋状部位の内膜に出来る。研究班は、1990年と1993-94年に、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城など10県に居住の人々を対象にアンケート調査を実施。うち、40〜69歳については、2005年まで追跡調査した(約15年間の追跡期間中に、117人が子宮体がんに罹患)。

研究は、コーヒー摂取頻度で4グループに分け、子宮体がんの発生率を比較。コーヒーを週2日以下飲むグループの子宮体がんリスクを1とした場合、1日1〜2杯、3杯以上飲むグループではそれぞれ、0.61、0.38とリスクが低下していることが分かったという。
また、緑茶については、摂取量と子宮体がんリスクとの間に、統計学的に有意な関連が見られなかったという。
コーヒーについては、含まれるカフェインを摂り過ぎると高血圧やカルシウム流出が報告されている。

一方、記憶力を高める作用が期待されることも先頃報じられた。効用については、他にも、がんや各種疾患へのリスク低下が報告されている。
女性の疾患に関するものでは、乳がんのリスク低下に有用であると、International Journal of Cancer誌06/1月号が報じている。

University of Toronto研究者グループが、乳がん要因である遺伝子BRCA1、BRCA2変異を持つ女性1,690人を対象に、コーヒー摂取などに関する調査を実施。

4カ国、40施設から集めたデータを分析したところ、毎日コーヒーを1〜3杯、4〜5杯、6杯以上飲むグループは、乳がんのリスクがそれぞれ、10%、25%、69%低くなることが分かったという。

また、糖尿病予防に有用であることも報告されている(American Journal of Epidemiology誌06/12月号)。
Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health研究者グループが、Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC) Studyに参加で糖尿病の徴候がない中高年男女12,204人を対象に、II型糖尿病リスクとコーヒーの摂取量との関係を調べた。
結果、男性では、コーヒーを全く飲まない場合と比較して最低1日4杯飲む場合、II型糖尿病の危険性が23%、女性では11%低下していることが分かったという。

また、Annals of Internal Medicine誌06/5月号に掲載されている記事によると、 大阪大学研究者グループが、全国25ヶ所、17,413人を対象に、コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶の摂取を中心に5年間追跡調査を行ったところ、 糖尿病II型の罹患リスクに関して、紅茶とウーロン茶の摂取との関連性は認められなかったが、緑茶を1日6杯以上飲んだ場合、週に1杯未満と比べると、糖尿病のリスクが33%低下、コーヒーでは、3杯以上飲むとリスクは42%低下することが分かったという。


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