最も一般的なのがアルコール(エタノール)抽出法です。その他に、アルコールでは溶けにくい親水性成分を抽出する水抽出法があります。
1990年代から現在に至るまで最もよく活用されているのは、アルコール抽出法です。その理由は、アルコール抽出法で多くの成分が得られるからです。そのうえ製造が楽なこと、清潔できれいなエキスがとれることなどが大きな理由です。一方、水抽出法では水で抽出すると得られる有用な成分もあるものの、抽出効率はアルコール抽出法にはおよびません。
抽出法により抽出成分も違ってくる
抽出法が問題になるのは、抽出効率だけではありません。アルコールと水では抽出できる成分も違ってくるのです。ですから、どちらの抽出法がいいか悪いかは単純にはいえません。できることなら、アルコール抽出と水抽出の両方の成分が得られる抽出法が望ましいわけです。この願いにこたえたのがミセル化抽出法です。
「ミセル」という言葉の意味についてですが、水と油は、そもそも混じり合い、溶け合うことはなく、水の中に油が、油の中に水が分散してしまいます。この状態を「分散」といいます。分散よりもう少し粒子が小さい「乳化」状態にすると、より混ざりやすくなります。しかし、乳化状態で一時的には混ざったように見えても、時間がたつとやはり分散してしまいます。
「ミセル」は分散でも乳化でもない、イオンや分子の独特の集合状態のことで、数個から百数十個の分子やイオンが互いに引き合って寄り集まり、小さなボール状になったものです。水溶化(ものが水に溶けやすい状態のこと)と乳化の中間の状態で、乳化より小さい微粒子状になっています。
ミセル化抽出は、グリセリンと水で抽出します。グリセリンの働きによりプロポリスの水に溶けやすい成分を効率よく引き出せます。そして、グリセリンと乳化剤が媒介して、ワックスなどの爽雑物を排除しつつアルコールに溶けやすい成分も抽出してくれます。