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日本で増え続ける肺がん死、米国は減少へ
「平成12年 都道府県別年齢調整死亡率」(厚生労働省)

日本で各疾患の死亡率が低下傾向にある中、肺がんによる死亡率が男女とも高まっていることが、3月27日に厚生労働省が発表した「平成12年 都道府県別年齢調整死亡率」で判った。一方、米国では、先頃全米がん協会(ACS)が報告した「2002年度がん現状・統計」で、長年の禁煙キャンペーンや食生活改善運動が奏功してか、肺がんの罹患・死亡率が低下していることが明らかとなった。


平成5年以降、日本で肺がん死が死因のトップに

日本の肺がん死の増加に歯止めはかけられないのだろうか---。
昭和56年、日本人の死因で最も多かった脳卒中をがんが追い抜く。平成5年には、肺がんが胃がんに代わり、がん死のトップに立つ。

3月27日に厚生労働省が発表した「都道府県別年齢調整死亡率」統計は5年ごとの国勢調査をもとに、人口10万人あたりの年間死亡者数を割り出したものだが、この中で、肺がんの死亡率が高まっていることが明らかとなった。とくに男性は全都道府県で増加しており、また女性は香川を除く都道府県で上昇を示している。

同統計では他に、胃がん、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、肝疾患、腎不全など各疾患の死亡率を1975年(昭和50年)と2000年(平成12年)とで比較しているが、総じて各疾患の死亡率は低下している。

米国「2002年度がん現状・統計」で、肺がんの罹患・死亡率が低下

これに対し、米国では先頃全米がん協会(ACS)が公表した「2002年度がん現状・統計」で、肺がんの罹患・死亡者が減少していることが明らかとなった。

それによると、米国の肺がんの罹患者は推定で169,400人(がん罹患者全体の約13%)。男性では84年の10万人に86.5人という罹患率をピークに98年には69.8人の減少となった。一方、女性は90年代に入ってから右肩上がりで、98年以降は10万人に43.4人の割合という横ばい状態が続いている。

また死亡者は推定で154,900人(がん死亡者全体の28%)。1992年-1998年にかけて男性の死亡率は毎年1.9%低下している。一方、女性は毎年0.8%アップ。米国女性の肺がん死は、1987年以降、乳がんを追い抜いてトップに立つが、喫煙が増えているためとみられている。

<参照>
2002-3/27[三大死因(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患)による死亡の状況](厚生労働省報道資料)
2002-3/27[各死因による死亡の状況(都道府県別)](厚生労働省報道資料)

がん予防に欠かせない禁煙

なぜ、米国で肺がんが減ったのか---。
1995年11月14日、CNNニュースで、それを象徴するあるスピーチが流れた。

「我々はもっとがん予防に目を向けるべきである」---。当時、全米がん協会の会長に指名されたばかりのレイモンド・レンハード博士はそう言って、肺がんの増加はたばこが出回っているため、と指摘。禁煙者が増えると、がんの罹患・死亡率が低下すると断言した。
肺がん罹患の原因の85%は喫煙によるものといわれている。その後、米国で徹底した禁煙キャンペーンが行われることとなる。

国をあげてのそうした取り組みは、徐々に肺がん撲滅の成果をみせる。
1999年9月4日に開催されたオルタナティブ・メディスン(代替医療)によるがん治療をテーマにした第27回「米国がんコンベンション」の基調講演で、がん予防の第一人者として知られる世界的に著名なサミュエル・エブステイン医師は、米国での喫煙者の減少が肺がん罹患の低下につながっていることを明らかにする。

1990年以降、米国のがん罹患・死亡率低下へ

ここで、米国でがん対策の軌跡を少し辿ってみたい。
米国のがん死亡は心臓病に次いで死亡原因の2位についている。「がん」との闘いを明言した米大統領として故ニクソン米大統領が知られる。

1971年、同大統領は「7年後にがんを撲滅してみせる―」と宣言。これにより、米厚生省は10年ごとに、各種疾患やがん予防のための具体的な目標を設けたレポート「ヘルシー・ピープル」を作成し、禁煙や運動の必要性、食生活の改善を中心とした対策を国民に呼びかけた。とくに、食生活の改善では、1980年以降、厚生省(HHS)は農務省(USDA)と共同で「The Dietary Guidelines For Americans」を発行。5年ごとに内容を改定し、理想的な食生活ガイドラインを提示した。
結果、1973年以降毎年平均1.2%の割合でがん罹患は増え続けていたものの、1990年を境に減少へと転じた。

男性の肺がん、結腸・直腸がん、前立腺がん、女性の乳がん、結腸・直腸がんなどが目立って減少

米国がん協会(ACS)や疾病抑制予防センター(CDC)などの合同研究チームが人口統計調査や死亡確認書などをもとに作成した1973年-1995年のがん罹患・死亡率の推移報告によると、1990年-1995年では罹患率が平均0.7%低下、死亡率も0.5%の低下となっている。

1990年以降、がん死亡者は約500万人を数え、1999年では122万1千800人が新たにがんと診断され、1日に1,500人以上ががん死する計算となるが、1990年から死亡率は低下し、とくに男性の肺がん、結腸・直腸がん、前立腺がん、女性の乳がん、結腸・直腸がんなどが目立って減少。がん罹患・死亡率の低下は男女のほとんどの年齢層、人種に共通したものとなっている。

その後、1992年-1998年では毎年1.1%がん罹患・死亡率が低下しているという報告も出ているが、こうした成果は、現代医学による早期発見・治療の進歩、あるいは新薬開発によるところもむろん大きい。だが、忘れてならないのは、米国が予防医学の観点から、禁煙や運動、バランスのとれた食事を薦めるという二段構えのがん対策を講じたことである。

喫煙、結腸直腸がんなどにも影響

がんをはじめとする全ての疾患の元凶は喫煙である---。そうした視点からの米国の疾病予防対策は現在のところ十分な成果をあげているものとみられる。確かに、喫煙は、肺がんの最大要因であるばかりなく、他のさまざまな疾患を誘発する大きな原因になっている。

American Association for Cancer Research'99年次総会でNational Cancer Instituteの研究グループは、肺がん、前立腺がん、結腸直腸がん、卵巣がんに関して27,924人の患者のデータを分析した結果、喫煙は肺がんだけでなく、結腸直腸がんのリスクに大きく影響していることが判明したと報告している。

それによると、被験者の内110人に結腸直腸癌が発見され、また腺腫が発見された1,954人の内1,550人の下行結腸にポリープが発生していたが、特に悪性の腺腫の発生リスクが喫煙と深く関連していることが認められた。また、喫煙期間が長いほど、 喫煙量が多いほど腺腫や癌のリスクが高くなるが、禁煙をすることによりそのリスクは減少に向かい、特に小さい腺腫への効果は早いことが認められたという。

非喫煙で6年から9年半寿命が伸びる

また、タバコを吸わずコレステロール値並びに血圧を低く維持すると6年から9年半寿命が伸びるという研究報告も出ている(Journal of the American Medical Association誌'99)。

シカゴの研究者が、被験者を1女性グループと4男性グループ(計36万人以上)に分け(年令範囲は18歳から59歳)、2グループを16年間、残りのグループを22年間にわたり追跡調査したところ、心血管系疾患などの病気によって死亡する危険性がかなり低かったのが、タバコを吸わず総コレステロール値が200mg/dl以下で血圧が120-80かそれより低いグループであったという。

さらに、「心臓病の危険性が低い」範囲の若い男性被験者は同年代の他の男性に比べ寿命が9年、40歳から59歳の男性は6年伸びていることが判ったという。

妊婦の喫煙、乳児の突然死(SIDS)に関連

また、女性の喫煙が増えていることが懸念されているが、とくに妊婦の喫煙は注意を要する。デンマークの研究グループが妊婦の喫煙が乳児の突然死(SIDS)に関連すると報告している(Archive of Disease in Childhood誌'00/9月号)。

同グループが、1989年から1996年の間に生まれた24,986人についてデータ分析した結果、SIDSが20件あった。このうち、喫煙している妊婦は30%で、全体としてSIDSのリスクは1,000人当たり0.80人だが、喫煙している妊婦による乳児のSIDSのリスクは非喫煙者の3倍であることが判ったという。

間接喫煙者、喫煙者と同様に疾病リスク高まる

また、非喫煙者が喫煙者と長時間一緒にいたりして、タバコの煙が避けられない場合の間接喫煙も疾病リスクが避けられない。間接喫煙者は全く喫煙しない人と比べると疾病のリスクが高まることが確認されている。

ニュージーランドの研究グループが、521人の脳溢血の経験者と1,851人の健常者を年齢、性別に分類し、直接および間接の喫煙が脳溢血のリスクに及ぼす影響について比較した調査報告がある。一般に脳溢血患者の半数が75歳以上であるため、脳溢血になりやすい年齢は避け、74歳以下を対象とした。間接喫煙者は、過去10年間に1年以上喫煙者と暮らしたり仕事をしたことのある人を対象としている。

その結果、喫煙者は非喫煙者(タバコを吸わない間接喫煙者を含む)と比べ、脳溢血のリスクが4倍高いことが判った。さらに、喫煙者は全く煙と無縁の完全非喫煙者(間接喫煙者を除く)と比べると、脳溢血のリスクが6倍高くなることが判ったという。

また、2年以上禁煙している人は非喫煙者と同様脳溢血のリスクは下がるが、完全非喫煙者と比べるとリスクは2倍高く、全くタバコを吸わない人や10年以上禁煙している人でも、間接喫煙をすると脳溢血のリスクが82%高くなることが判ったという。

もう一つ、最悪なのが、喫煙と飲酒のコンビネーション。米国では毎年9,000人近くが食道がんで亡くなっており、喫煙と飲酒のコンビネーションは食道がんの罹患率を100%高めるとされているが、International Journal of Cancer誌'99/8月号で、喫煙と飲酒を控えると、男性の食道がんの90%は予防できるという研究報告が掲載されている。

ビタミンE、肺がん罹患の危険性を低下

喫煙の害を防ぐにはどうすればよいのか----。
いくつかの栄養素がそれに関与していることが報告されている。例えば、ビタミンE。ビタミンEの摂取量の多い喫煙者は、肺がん罹患の危険性が20%低くなるということが報告されている(Journal of the National Cancer Institute誌'98/10月号)。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

アメリカ、メリーランド州およびフィンランドの研究グループが、フィンランドで行われたがん予防に関する研究資料を分析し、男性の肺がん患者1,144人のビタミンEの摂取状況を調べたところ、アルファトコフェロール(ビタミンE)の摂取量と肺がん罹患率とは関連することが判ったという。

とくに60歳以下の男性の場合、40年間喫煙したとしてもビタミンEを飲んでいると、肺がん罹患の危険性が低くなることが明らかになったという。

また、バッファロー大学の研究グループが、35歳から79歳の男女1,616人の抗酸化系ビタミンと肺機能の関係を調べたところ、ビタミンEとベータクリプトキサンチン(オレンジに含まれる色素)が血中で高濃度のグループは低濃度グループと比べ肺機能が高かったという報告もある(The American Journal of Respiratory and Critical Care Magazine誌'01/4月号)。

この中で、ビタミンC、ビタミンA、ルテイン、ベータカロチン、リコペンなどの抗酸化系ビタミンの血中濃度が低いと肺機能が衰えていることも判ったという。

合成ベータカロチン、煙草の煙に含まれる発がん性物質と相互作用

ただ、気にかかる点として、それら栄養成分を一般の食品素材ではなくサプリメントで摂取した場合、むしろがん罹患を促進する可能性があると報告されていることだ。これまでにも幾度となく報じられたが、抗酸化系ビタミンのベータカロチンの錠剤を喫煙者が摂った場合、逆に肺がん罹患の危険性が増大するという。

米国National Cancer InstituteがフィンランドのNational Public Health Instituteと共同で行った50歳から69歳までの男性喫煙者2万9千133人を対象にした栄養介入試験(ATBC研究)で明らかになったもので、被験者は1日に平均20本のタバコを36年間吸っており、無作為に、1)合成ビタミンE50IU、2)合成ベータカロチン20mg、3)ビタミンEとベータカロチン併用、4)偽薬、という4つの投与グループに分けた。

結果、876人が肺がんを発病、564人が死亡した。そのうち、ビタミンEグループの発病者は2%と低く、ベータカロチングループは16%と高い結果が出た。ただ、毎日の喫煙量が20本以下でアルコールを摂取しない被験者の場合、ベータカロチン投与における評価はできなかった。

喫煙者への合成ベータカロチン投与ついては、その後、1996年に発表された米国のCARET studyでも否定的な見解が下された。
試験は、喫煙者あるいは以前タバコを吸っていた被験者および職場環境にアスベストがある労働者18,000人以上を対象に、半数に偽薬を、残り半数に合成ベータカロチン30mgとビタミンA25000IUを与えるというものだった。

しかしながら、この研究は予定より21ケ月早く中断された。というのも、ビタミン投与グループは偽薬グループに比べ、肺がん罹患が28%、死亡率が17%も高くなったためだ。

その後、こうした合成ベータカロチンの弊害については、「イタチによる実験で、合成ベータカロチンを多量投与したところ、特に煙草の影響を受けたグループとアスベスト環境にいたグループで、肺がんの危険性が増大した」と報じられている(Journal of the National Cancer Institute誌'99/1月号)。

この原因については、「煙草の煙に含まれる発がん性物質との相互作用を行う酵素の生成を合成ベータカロチンが高めている」とされている(Nature誌'99年/4月号)。同誌によると、イタリアの研究者およびテキサスの研究グループが合成ベータカロチンを豊富に含んだ餌をラットに与えたところ、肺にある種のがんを誘発させる酵素が増大したという。

抗酸化系ビタミン(サプリメント)、喫煙者の摂取はがん死を高めるという報告も

ベータカロチンについては、強力な抗酸化作用があり、フリーラジカル(活性酸素)を撃退することから、がん以外にも心臓、眼、皮膚などの疾患、さらに免疫機能の強化に有効とされている。これまでにも、前立腺がんや乳がん、心筋梗塞などへの有効性が報じられている。しかしながら、合成ベータカロチンの喫煙者の利用は非常にリスキーなものとなっている。

この点、米国American Heart Associationの栄養素諮問委員会でも、ベータカロチンの抗酸化作用は評価できるものの、合成ベータカロチン単体ではなく果物や野菜などからの複合的な抗酸化物質(カロチノイド)を自然な形で摂ることが望ましいとの見解を示している。

実際に、英国の研究グループ行った報告で、1日に少なくともタバコ20本を10年間吸いつづけている喫煙者266人を対象に食生活などの聞き取り調査を行ったところ、1日に大さじ1杯かそれ以上に相当する量の野菜、果物を食べていると喫煙者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)に罹る危険性が半減することが分かったという(American Thoracic Society学会)。

合成ベータカロチン以外にも、喫煙者とサプリメントタイプの抗酸化系ビタミンとの相性は良くないようだ。
抗酸化ビタミンといわれるA、C、Eと総合ビタミン剤を組合わせて摂取すると心疾患、卒中による死亡率は減少するが、喫煙者(男性)の場合、がんによる死亡率が高まるという米国アトランタ連邦防疫センター(CDC)の研究グループによるショッキングな報告もある(American Journal of Epidemiology誌'00/7月号)。

これは、30歳以上の100万人以上の被験者を対象にした7年間にわたるビタミン摂取の調査結果によるもので、総合ビタミン剤と抗酸化ビタミンのA、またはCかEの1種類を組み合せて摂取した被験者の心疾患、卒中による死亡率はビタミン剤を全く摂取しない人に比べ15%低いことが認められたが、喫煙者の場合、総合ビタミン剤または抗酸化ビタミンを摂取した男性は、タバコを吸わない男性よりもがんによる死亡率が高いことが判明したという。

さらに、男性の喫煙者がビタミン剤を摂取した場合、ビタミン剤を摂取しない場合と比べ、前立腺がんによる死亡率が高いことも認められたという。

B6やセレン、肺がんの罹患リスク低下に関与

この他、肺がん罹患のリスク低下に関与する栄養成分として、ビタミンB6やセレン(セレニウム)が挙がっている。 米国立がん研究所の研究グループによる研究で、過去にフィンランドで行われた合成ベータカロチンとビタミンE投与の大規模試験に参加した男性喫煙者約30,000人を5年-8年間追跡調査し、結果を分析したもので、対象者の平均年齢は59歳で、期間中に肺がんに罹患した300名、罹患しなかった300名を調べた。

これによると、試験中それぞれにビタミン剤を投与したが、ビタミンB群の中でも特にB6の血清濃度が肺がん罹患者のほうが非罹患者より低いことがわかったという(American Journal of Epidemiology誌'01/4月号)。ビタミンB6は酵母、玄米、大豆などに多く含まれる栄養素で、妊娠初期に起こるつわりや月経前症候群(PMS)による症状の緩和にも有効とされている。

また、ブロッコリー、キャベツ、セロリ、マッシュルーム、ガーリックなどに多く含まれるセレンも肺がん罹患のリスク低下に関与するとされている(American Journal of Epidemiology誌'98/11月号)。

フィンランドの研究グループが、長期にセレンを摂取している肺がん患者95人と同年代の健常者190人を比較したところ、血中のセレン濃度が比較的低い(1リットル当たり53.2〜57.8マイクログラム)場合、肺がんの罹患率が増すことがわかったという。また、血中セレン濃度が最も高い被験者の肺がん罹患率は60%ほど低かったという。さらに、喫煙習慣のある被験者の中で、最も血中セレン濃度が高いグループは肺がんの危険性が84%減少していたという。

セレンについては、日本の土壌には比較的多く含まれており、とくに摂取に留意する必要はないとされている。セレンは、乳がん罹患にも関与しているとされ、日本人女性は乳がんの罹患率が低いが、土壌中にセレンの少ない米国へ移住した場合、乳がんの罹患率が高まることがいわれている。

リンゴやトマトに肺機能促進効果

この他、呼吸器系の疾患に関わる研究報告で、リンゴやトマトが有効性を発揮することが報告されている。American Thoracic Society学会で英国の研究グループが発表したもので、成人2,633人を対象に、1991年と2000年に1秒間に肺から吐く空気量の調査を行ったと週にリンゴを5個以上食べると、かなり呼気量が増すことが分かったという。またトマトでは、週に3回以上で同様な有効性がみられたという。これは、トマト、リンゴに含まれる強い抗酸化物質によるものとみられている。

リンゴの肺機能の活性化作用については、英国のメディカル誌「Thorax」が一週間に少なくともリンゴを5個摂取すると、肺機能が活発になるという研究報告を掲載している。ロンドンの研究グループが、45から59歳のウェールズの男性 2,500人を対象にした5年間の追跡調査を分析したところ、一週間に少なくともリンゴを5個食べる人は食べない人に比べ、1秒間の肺活量が多いことが判ったという。また、リンゴほどの効果はないが、ビタミンEも肺活量を増やすことが認められたという。

この他、ビタミンC、β-カロチン、柑橘類と肺活量についても調査したが、関連性は認められず、リンゴに含まれるフラボノイドのケルセチンが肺機能を高めているものとみられている。

またトマトについても豊富に含まれるカロチノイド色素(抗酸化物質)のリコペンが運動で引き起こされる喘息症状に有効に作用するということも報告されている。イスラエルの研究グループによる報告で、運動で誘発される喘息を患う患者20人に1日1回リコペン、あるいは偽薬を与えたところ、1週間でリコペングループは運動後の喘息の発症が55%低下したという。


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