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禁煙の効果は15〜20年後、米国癌協会12万人調査分析
米国で死亡率のトップは男女とも肺がんで、その原因として、喫煙、遺伝、さらには大気汚染などの複合要因が挙げられている。中でも喫煙は元凶とされ、問題視されて久しい。しかし、今回カリフォルニア大学が行った米国癌協会のがん予防調査の分析では、長期にわたる喫煙者が禁煙したからといっても、すぐに肺がんリスクが減るわけでもなく、そのためには15〜20年を要するという気になる調査報告が出た。
それによると、禁煙を始めて4年以内の人の肺がん死亡率は、禁煙経験のない喫煙者とさほど変わらず、禁煙者が全く喫煙しない人と死亡率が同率になるのは、禁煙してから15〜20年後であることが判ったという。 米国では肺がんの最大要因を喫煙とし、喫煙を嫌うムードが浸透しており、調査対象者の喫煙率しても1959年は男性が46%、女性が32%であったが、1994〜1999年までに男性が3%、女性が2%と顕著な低下を示している。 今回の調査は、この40年間の喫煙者の肺がん死亡率を分析したものだが、対象者のほとんどが長年にわたって喫煙した後、55歳を過ぎてからの禁煙であり、そのため禁煙効果が得られなかったとの見方もされている。この統計では、長年、喫煙をして、高齢になってから禁煙をしても、喫煙効果は見られないとのことであるが、喫煙期間が短く、禁煙年齢が早い場合はどうか。 また肺がん以外にも血管障害など他の疾病への影響はどうか、などの疑問は残る。タバコが健康におよぼす影響は明らかだが、今後喫煙期間の長短、禁煙年齢と疾病発症との因果関係の正確な分析が待たれるところ。 間接喫煙で脳溢血のリスク、82%アップ 喫煙に関する気になる調査報告がもう一つ。タバコによる健康被害の一つとして、脳溢血が挙げられるが、直接タバコを吸わなくても、タバコを間接的に吸う(間接喫煙)環境にいると脳溢血にかかるリスクが高まるという調査報告が出ている。 詳細はEpidemiology誌9月号に掲載されているが、同誌によると、これまでの調査では間接喫煙者の健康被害は過小評価されていたが、今回のニュージーランドの大学が行った調査によると、間接喫煙者は脳溢血のリスクが82%も高くなることが判明し、公共の場での喫煙者に対する締めつけがこれまで以上に厳しいものになりそうだという。 調査は、521人の脳溢血経験者と1851人の健常者を年齢、性別に分類し、直接および間接の喫煙が脳溢血に及ぼす影響について比較。溢血になりやすい年齢ははずしたという。また間接喫煙者は、過去10年間において1年以上喫煙者と暮らしたり仕事をしたりしたことのある人を対象とした。 脳溢血患者の半数は一般的に75歳以上であるため、調査対象者は全員74歳以下とし、脳調査の結果、喫煙者は非喫煙者(間接喫煙者を含む)と比べ、脳溢血のリスクが4倍も高かった。さらに、喫煙者と全く煙と無縁の完全非喫煙者とを比べるとリスクは6倍も高かったという。
また2年以上の禁煙者は非喫煙者と同様にリスクは下がるものの、完全非喫煙者と比べるとリスクは2倍高くなった。また完全非喫煙者や10年以上におよぶ禁煙者でも、間接喫煙の環境にいると脳溢血のリスクは82%も高くなったという。
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