「冷水シャワーで若返り」ってホント?

いろいろな美容法・健康法がひしめいていますが、それでも根底に共通している理論として「冷やさない、温める」ということがあります。温浴・温泉療法、サウナや岩盤浴、靴下を最低でも4足は履くという靴下健康法、腹巻き健康法、白湯飲みダイエット、ヨガや気功、足もみetc……。
こうした「体を温める」ことをベースにした健康・美容法はたくさんあります。しかしその一方で「冷やす」ことで、健康に美しくなるという方法も存在します。
今回は冷水シャワーで若返りについてご紹介します。
今回は冷水シャワーで若返りについてご紹介します。
■ アーユルヴェーダも毎朝の冷水シャワーを推奨
体を冷やすことに注目し、それをいろいろなところで提唱しているのが、「20歳若返った」「どうみても30代にしか見えない」ことで注目を浴びている南雲吉則ドクターです。
南雲氏は自身の著書などでも「若返り法」の1つとして「1日2回の冷水シャワーの習慣」を推奨しています。南雲氏のいくつかの著書やメディアでの発言によれば、そもそもこの冷水シャワーのヒントは「寒中水泳」からきているようです。
寒中水泳は日本ではもちろんロシア、中国、カナダなど世界各国で人気のある祭りだったり寒稽古だったり、神事だったりします。またインドの伝承医療アーユルヴェーダでも毎朝の冷水シャワーを推奨していますし、ヨガでも健康法として毎朝5分の冷水シャワーを推奨しています。
いずれにせよ、寒中水泳や冷水を浴びることで免疫力が高まり、毒素排泄を促し、特に冬の間、そして一年を通して健康で過ごせるという効果が共通してあるのです。
この寒中水泳の効果にヒントを得て、冷水シャワーをはじめたという南雲氏ですが、現在は冷水シャワーの効果について次のように語っています。
「体を温めれば温めるほど、体温調整中枢が働いて体温を下げようとするが、体を冷やせば冷やすほど、同じく体温調整中枢が体温を積極的に上げようと働き、結果血流が良くなる。体は温めれば温めるほど冷えるし、冷やせば冷やすほど温かくなる」。 これを立証するために南雲氏は1日2回、1回1分程度の冷水シャワーを実践し、若返りを行っているといいます。この説明でもなんとなく納得できますが、おそらく多くの人が半信半疑で自ら実践しようとまでは思えないかもしれません。 しかし、実は「冷やす」ことによる健康法は他にもいくつか知られているものがあります。私が美容師さんに聞いたヘアケア方法ですが、洗髪の最後に冷水で髪の毛をすすぐと、洗髪時に開いてしまった髪の毛のキューティクルを引き締めることができ、傷みにくくツヤのある髪の毛を維持できるという裏技です。実際この方法については多くの美容研究家が推奨しています。
そして今、エステサロンで次世代のダイエットとして注目されているのが「脂肪冷却ダイエット」です。
これは不可能といわれている部分痩せをも可能にする「新たな脂肪吸引」ともいわれる方法です。
やり方としては気になる部位に専用の冷却パッドをセットし、脂肪を吸引します。そして吸引した脂肪を4度で冷却します。これは水が0度で凍るのに対し、脂肪は4℃で凍ることがわかっているからです。
この理論を利用しながら脂肪を血液や皮膚より先に冷却し、先に脂肪細胞のみを凍らせてしまうことによって脂肪細胞を自然死させます。自然死した脂肪細胞は1~2ヶ月かけ体外に自然排出されるといいます。1回で施術した部分の約20%の脂肪細胞が自然死し自然排出されるといわれます。
実は肥満体国アメリカでは20年以上前から「脂肪は冷却すると減少する」というこの方法が大人気です。脂肪冷却ダイエットのメリットとしては傷みや傷が残らない、寝ているだけでOKという夢のようなダイエットであることですが、デメリットとしては即効性がなく1~2ヶ月後にサイズダウンが実現するという点、また顔などの皮下脂肪が少ない部分には適さない点です。
「冷やす美容&健康法」についてもう一例あげておきましょう。
今から数年前に歌手の奥村チヨさんが自らの美肌の秘訣について「冷やすこと」だと公開し話題になったことがあります。当時65歳だった奥村さんですが肌年齢はなんと33歳。そのきめ細かくハリのある美肌に視聴者の誰もが驚きました。 もちろん奥村さんは食事や運動にも独自の健康&美容法を取り入れていると語っていましたが、肌については「とにかく冷やすこと」を推奨していました。洗顔後はもちろん、とにかく時間があればいつでも肌をアイスパックで冷やすだけ。眼球や三叉神経などの神経系は除き、また同じ箇所だけを長時間冷やすことを避けるなど幾つかの注意点がありますが、とにかく冷却することによって毛穴が引き締まるだけでなく、肌の血流改善とターンオーバー(新陳代謝)促進につながるといいます。 洗顔後、氷のキューブを顔にすべらせることで毛穴のまったくない肌を実現していると語っている芸能人では他に叶姉妹がいますし、この方法は実は100年以上も前から愛されている「北原美顔」の方法でもあるのです。 肌や皮下脂肪は冷やすことによって通常以上の代謝が行われることは、これでなんとなく理解できたのではないでしょうか。南雲氏の冷水シャワーもやってみる価値はありそうです。
それにしてもこれまで「体は冷やしてはいけない!とにかく温めることが血流を促進させ健康への第一歩」と思っている方にはまだ納得がいかないかもしれません。
最後に免疫学の権威、安保徹先生の話しをご紹介します。人間の代謝経路には酸素を必要とする「ミトコンドリア系」と酸素を必要としない「解糖系」という2つの代謝経路があるそうです。 この話しは人類の歴史に遡るのですが、そもそも人類は無酸素の状態(海中)からの進化によって誕生していることと関係していると説明しています。この2つの代謝経路について簡単にいいかえれば、私たちの体には「栄養と酸素がなければ生きられない部位(ミトコンドリア系/好気性代謝)」と「低体温&低酸素で働く部位(解糖系/嫌気性代謝)」が存在しているということです。 すべての細胞にミトコンドリアは存在していますが部位によってミトコンドリアが多い部位と少ない部位があり、ミトコンドリアが少ない部位は低体温&低酸素の状態でこそ細胞分裂を行いしっかり働くことができる部位だというのです。
例えば骨格筋のうち白筋(酸素の使用量が少ない筋肉でジャンプやダッシュに使用される筋肉)、そして精子が「低体温&低酸素で働く部位(解糖系)」で働くため、精子はわざと陰嚢に包んで外に出すことで細胞分裂を促していると説明しています。 実際不妊治療指導などでも男性の長時間のサウナやパソコンを膝においての作業は温めるため禁止とされます。また先に述べた寒中水泳も子孫繁栄祈願であることが少なくありません。 そして他に、冷やすことで最も分裂する場所が皮膚細胞とがん細胞だといいます。つまり皮膚は冷やすほどに分裂し丈夫になるので、安保氏は「子どもは風の子であるべきだ、乾布摩擦もやろう」と話しています。 逆にがんは低体温にさらすことでますます分裂・増殖します。ですからがんの患者は体を冷やしてはいけない、基礎体温を高くせよ、時に高熱を出したほうがいい、といわれるのです。
しかしながら冷水シャワーをすることでがんが増殖するということはありません。冷水シャワーを浴びることで体温調整中枢が活性し体の深部はより温まる方向に作用し、むしろ冷えの問題は徐々に解消され血流も促進されます。
がん患者さんの問題点は体の中、特に深部が冷えきっていることです。これは外を温める、冷やす、という問題ではなく、日頃から冷たいものを好んで食べている、体を冷やすような糖質や脂質の摂取が多い、筋肉量や運動量が少ない、といった生活習慣全体の問題なのです。
いかがでしょうか。体の内側はできるだけ冷やさない(やはり冷たいものより温かいものを飲食する)ほうがいいのですが、一方体の外側は定期的に冷やすこととで内側から冷えが解消され深部も温まり、外側の代謝も上がるというのは、理にかなった健康&美容法といえるのではないでしょうか。
■ 体を冷やすほど、体温調整中枢が体温を積極的に上げようとする
この寒中水泳の効果にヒントを得て、冷水シャワーをはじめたという南雲氏ですが、現在は冷水シャワーの効果について次のように語っています。
「体を温めれば温めるほど、体温調整中枢が働いて体温を下げようとするが、体を冷やせば冷やすほど、同じく体温調整中枢が体温を積極的に上げようと働き、結果血流が良くなる。体は温めれば温めるほど冷えるし、冷やせば冷やすほど温かくなる」。 これを立証するために南雲氏は1日2回、1回1分程度の冷水シャワーを実践し、若返りを行っているといいます。この説明でもなんとなく納得できますが、おそらく多くの人が半信半疑で自ら実践しようとまでは思えないかもしれません。 しかし、実は「冷やす」ことによる健康法は他にもいくつか知られているものがあります。私が美容師さんに聞いたヘアケア方法ですが、洗髪の最後に冷水で髪の毛をすすぐと、洗髪時に開いてしまった髪の毛のキューティクルを引き締めることができ、傷みにくくツヤのある髪の毛を維持できるという裏技です。実際この方法については多くの美容研究家が推奨しています。
■ エステサロンで注目の「脂肪冷却ダイエット」

■ 冷却で毛穴が引き締まる
「冷やす美容&健康法」についてもう一例あげておきましょう。
今から数年前に歌手の奥村チヨさんが自らの美肌の秘訣について「冷やすこと」だと公開し話題になったことがあります。当時65歳だった奥村さんですが肌年齢はなんと33歳。そのきめ細かくハリのある美肌に視聴者の誰もが驚きました。 もちろん奥村さんは食事や運動にも独自の健康&美容法を取り入れていると語っていましたが、肌については「とにかく冷やすこと」を推奨していました。洗顔後はもちろん、とにかく時間があればいつでも肌をアイスパックで冷やすだけ。眼球や三叉神経などの神経系は除き、また同じ箇所だけを長時間冷やすことを避けるなど幾つかの注意点がありますが、とにかく冷却することによって毛穴が引き締まるだけでなく、肌の血流改善とターンオーバー(新陳代謝)促進につながるといいます。 洗顔後、氷のキューブを顔にすべらせることで毛穴のまったくない肌を実現していると語っている芸能人では他に叶姉妹がいますし、この方法は実は100年以上も前から愛されている「北原美顔」の方法でもあるのです。 肌や皮下脂肪は冷やすことによって通常以上の代謝が行われることは、これでなんとなく理解できたのではないでしょうか。南雲氏の冷水シャワーもやってみる価値はありそうです。
■ 「ミトコンドリア系」と「解糖系」という2つの代謝経路
それにしてもこれまで「体は冷やしてはいけない!とにかく温めることが血流を促進させ健康への第一歩」と思っている方にはまだ納得がいかないかもしれません。
最後に免疫学の権威、安保徹先生の話しをご紹介します。人間の代謝経路には酸素を必要とする「ミトコンドリア系」と酸素を必要としない「解糖系」という2つの代謝経路があるそうです。 この話しは人類の歴史に遡るのですが、そもそも人類は無酸素の状態(海中)からの進化によって誕生していることと関係していると説明しています。この2つの代謝経路について簡単にいいかえれば、私たちの体には「栄養と酸素がなければ生きられない部位(ミトコンドリア系/好気性代謝)」と「低体温&低酸素で働く部位(解糖系/嫌気性代謝)」が存在しているということです。 すべての細胞にミトコンドリアは存在していますが部位によってミトコンドリアが多い部位と少ない部位があり、ミトコンドリアが少ない部位は低体温&低酸素の状態でこそ細胞分裂を行いしっかり働くことができる部位だというのです。
■ 皮膚は冷やすほどに分裂し丈夫に
例えば骨格筋のうち白筋(酸素の使用量が少ない筋肉でジャンプやダッシュに使用される筋肉)、そして精子が「低体温&低酸素で働く部位(解糖系)」で働くため、精子はわざと陰嚢に包んで外に出すことで細胞分裂を促していると説明しています。 実際不妊治療指導などでも男性の長時間のサウナやパソコンを膝においての作業は温めるため禁止とされます。また先に述べた寒中水泳も子孫繁栄祈願であることが少なくありません。 そして他に、冷やすことで最も分裂する場所が皮膚細胞とがん細胞だといいます。つまり皮膚は冷やすほどに分裂し丈夫になるので、安保氏は「子どもは風の子であるべきだ、乾布摩擦もやろう」と話しています。 逆にがんは低体温にさらすことでますます分裂・増殖します。ですからがんの患者は体を冷やしてはいけない、基礎体温を高くせよ、時に高熱を出したほうがいい、といわれるのです。
■ 冷水シャワーで深部はより温まる

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