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糖尿病、アルツハイマー発症のリスクを高める 「糖尿病発症者や予備群の人々はアルツハイマー発症のリスクが4.6倍高まる」。9月2日付けの朝日新聞でそう報じている。九州大(環境医学)の清原裕教授らが、福岡県の65歳以上の住民826人を対象に15年間追跡調査した結果という。また、別な調査でも、糖尿病罹患および予備群の人々は、そうでない人々と比べ、がんが3.1倍、心筋梗塞が2.1倍、脳梗塞が1.9倍など、他の疾患の発症リスクが高いことが判ったという。発症するや罹患者をジワジワと本格的な疾患へと追い込む糖尿病に打つ手はないのだろうか。
糖尿病、メタボリック症候群(Met.S)へと疾患の連鎖
糖尿病は、網膜症や腎症、壊疽、神経症、狭心症、脳血管障害、皮膚や歯の病気、各種感染などの合併症を招くといわれている。加えて、今回の調査で、アルツハイマー症、がん、心筋梗塞、脳梗塞の発症リスクも高まることが分かった。糖尿病から始まる、疾患の連鎖である。 ここ数年、マスメディアで頻繁に取り上げられているメタボリック症候群(Met.S)。内臓脂肪型肥満に、高血糖、高脂血症や高血圧のうち2つ以上を伴う状態を指すが、これらリスクファクター(危険因子)の重複で、動脈硬化が高頻度で生じ、心筋梗塞や脳梗塞の発症へと繋がる危険性が高い。リスクファクターが軽症でも3、4つ重なると、心筋梗塞の発症リスクは10倍以上になるといわれている。 運動不足や代謝異常により内臓脂肪型肥満や高血糖を伴う糖尿病はMet.Sと表裏一体である。Met.Sから動脈硬化、心筋梗塞や脳梗塞の発症へと連なる関係は、糖尿病からはじまる諸病への疾患のそれと同一のものと言っていい。Met.S対策といえば、減量に血糖コントロール。いわば糖尿病予防対策でもある。糖尿病は諸病の誘因であり、現代人はこれを改善することにまず取り組むことが必要だ。 運動で糖代謝をコントロール、発症リスクを低下
では糖尿病を予防・改善するカギは---。 糖尿病は生活習慣病と呼ばれていることから、生活習慣(運動、食生活)を正すことが先決だ。では、「運動」での、糖尿病予防・改善効果はどうか。 ハーバード大の研究チームが、40〜65才までの女性70,102人を対象とした心臓病と癌の調査データ(Nurses' Health Study )を1986年から8年間を分析した結果、1日1時間または少なくとも30分、足早に歩く運動をすればU型糖尿病のリスクが減少すると発表している(Journal of the American Medical Association誌'99)。 それによると、調査当初健康体であった対象者のうち、1,419人が調査期間中に糖尿病と診断されたが、運動量が多い人ほど糖尿病のリスクが少なく、運動時間でみると週21.7時間以上の女性は週2時間の女性と比べ、リスクが46%も少ないことが判ったという。運動時間を増やせばそれだけ糖尿病のリスクも減少するという。 未精製穀類、血糖値の調整やインシュリン生成に貢献
「食」についてはどうか。 糖尿病は、高カロリー・過栄養による代謝のアンバランスから起きる「ぜいたく病」とも指摘される。戦時下の食料難では糖尿病は減少したという報告もある。
長年糖尿病の蔓延に悩まされていた米国では、1975年(昭和50年)、米国議会上院に「栄養問題特別委員会」を組織し、かつて大統領候補にもなったジョージ・マクガバン議員の指揮の下、「食と健康」に関する世界的規模の徹底調査を行い、2年がかりで膨大な報告書をまとめた。
日本では、1960年以降、食材の形態加工技術が進み、カロリー偏重の現代栄養学により、食品から食物繊維や微量ミネラルが削ぎ取られていった。 コーヒーに緑茶、糖尿病リスクを減少
日々の嗜好飲料で糖尿病予防に貢献するものは---。 また、Annals of Internal Medicine誌06/5月号によると、大阪大学研究者グループが、全国25ヶ所から17,413人を選び、コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶について、5年間追跡調査を行ったところ、II型糖尿病の罹患リスクに関して、紅茶とウーロン茶の関連性は認められなかったが、緑茶を1日6杯以上飲んだ場合、週に1杯未満と比べると、糖尿病のリスクが33%低下することが分った。また、コーヒーでは、3杯以上飲むとリスクが42%低下することが判ったという。
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