「悪玉」カルシウムは骨に入らず、筋肉・血管・細胞に沈着
コレステロールをよく「悪玉」「善玉」というように例えます。カルシウムも同様で、「骨に入らない」イオン化カルシウムを「悪玉」、「骨に入る」非イオン化カルシウムを「善玉」といったふうに例えることができます。
「悪玉」カルシウムは、@骨に入らないで、筋肉・血管・細胞に沈着する、A急激に血中濃度を上げ、ダウン症状を起こし、カルシウム不足を招く、といった特性があります。これには、イオン化カルシウム製剤、添加物としてのカルシウム、自分の骨から溶け出したカルシウム、また非イオン化でも結合が固く、風化していない牛骨、魚骨、カニの甲羅、サンゴなどがあります。
これに対し、「善玉」カルシウムは、@骨に確実に入り、元気な骨を作る、Aカルシウムバランスを保ち、免疫力を高め、病気の予防をする、といった特性があります。これには、小魚、海藻、野菜、風化カルシウム、ボレイ(漢方薬・牡蠣殻の風化したもの)などがあります。
昔は人の排泄物で野菜を作り、「善玉」カルシウムを摂っていた
つまり、骨を元気で丈夫にするためには、「善玉」カルシウムを摂ることが大切なのですが、野菜や小魚に含まれるカルシウムは少量のため、大量の「善玉」カルシウムを必要とする現代人にはとても間に合いません。
昔は、土壌の栄養分を吸い上げた野菜を人が食べ、その排泄物を肥料として土壌に戻していました。しかし、今では人の排泄物は汚水として海に流しています。代わりに、多くの化学肥料を土壌に与えています。人の排泄物に含まれるカルシウムは、人骨から溶け出たカルシウムで「悪玉」ですが、土壌に戻し、野菜に吸収されると「善玉」に変わります。
残念ながら、現代は、そうした循環が断ち切られています。日本人の慢性的なカルシウム不足に歯止めがかからないのはこうしたことも大きな要因といえます。
(参照「警告!カルシウム不足」 発行:駿台曜曜社)
--「Health Net Media/ヘルスネットメディア」編集部--