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新型コロナウイルス、重症化のリスク因子にビタミンD欠乏
〜ビタミンD、サイトカインストーム(免疫暴走)を抑制

新型コロナのパンデミックで各国が大打撃を受けている。収束へと向かいそうな国がある一方で、第二波が懸念される国もあり、予断を許さない状況だ。そうした中、各国でビタミンDによる新型コロナへの予防効果が続々と報告されつつある。

ヨーロッパ20カ国調査、ビタミンD不足は新型コロナウイルスの死亡率を上昇

新型コロナウイルスのワクチンや特効薬の開発には当分時間がかかりそうだ。中国では黒龍江省や吉林省で感染者が増加、一方で新型コロナの発症地・武漢での第2波の到来が懸念されている。

こうした中、新型コロナ対策として、免疫を高める栄養療法に関心が寄せられ、ビタミンCやD、亜鉛、EGCG(エピガロカテキンガレート)などが注目されている。

中でも、ビタミンDに関する新型コロナへの有用性が各国で多数報告され始めている。ビタミンDについては、免疫調整の働きがあるとされ、風邪や気管支炎、肺炎などの予防に関与することがよく知られている。

ビタミンDはきのこや魚などの食品から摂取できる他、日光浴でもD3が体内産生される。(※D1〜2は植物性、D3は動物性)。このように手軽に摂れる栄養素で誰もがコロナ予防ができるというのは朗報だ。

こうしたビタミンD3の有用性については、YOUTUBEにて栄養チャンネルを主催する、吉富信長氏がわかりやすく解説している。

同氏によると、5月時点で「新型コロナウイルスの重症化のリスク因子にビタミンD欠乏」と論文報告しているのがフィリピン、アメリカ、インドネシア、インド、インドネシア、スイス、ベルギー、アイルランド。

またイギリスでも「ヨーロッパ20カ国調査でビタミンD不足は新型コロナウイルス死亡率を上昇させる」と発表しているという。

  • 欧州20ヵ国で新型コロナ重症者はビタミンD欠乏と判明
      https://youtu.be/cGBj-U7Hf-U?t=101

    ビタミンD、サイトカインストーム(免疫暴走)を抑制

    なぜ、ビタミンDの血中濃度が低い(=ビタミンD不足)と新型コロナウイルスが重症化しやすいのか。

    その理由の一つとして、「ビタミンDは白血球の反応をコントロールする。白血球による炎症性サイトカインの過剰放出を防ぐ」と、吉富氏。

    新型コロナウイルスで最も問題なのは「サイトカインストーム(免疫暴走)」で、これが起こると肺や気管支の炎症が拡大し肺炎が重篤化する。

    これに対し、ビタミンDは自然免疫を活性化させ、獲得免疫を抑制することにより、サイトカインレベルを下げる。

    また、ビタミンD欠乏は、免疫細胞であるマクロファージによる抗ウイルス作用を低下させる、といったこともある。

    こうしたことから、ビタミンDを日頃から十分に摂取していると、新型コロナウイルスに罹患しても重篤化しにくくなる。高齢者のような感染症のリスクが高い人々であっても、ビタミンDの常用的な摂取で驚異的な回復例もみられたという。

    まだ「ランダム化比較試験(RCT)」をやっていない

    世界各国の報告から、「新型コロナウイルスで重篤化しやすいのが、ビタミンDの血中濃度が低い人々」ということが明らかになりつつある。

    面白いのは、日頃栄養状態が劣悪であるにも関わらず、戸外で日光を浴びることの多いホームレスがコロナ感染からの重篤化を免れているというアメリカの報告である。

  • アメリカでもコロナ重症者はビタミンD欠乏だったことが判明
      https://youtu.be/vGE9ns-cyQI?t=6

    こうしたビタミンDによる新型コロナへの予防効果が各国で相次いで報告されているが、厚労省や国立健康・栄養研究所は、 ビタミンDの予防効果は確認されていないとHPで注意喚起し、相変わらず「うがい・手洗いによる予防」を勧めている。

    その理由の一つに、ビタミンDについては、「ランダム化比較試験(RCT)」をやっていない、ということを挙げる。

    製薬利権との絡みが指摘される厚労省や国立の研究機関が、はたして、日光浴やサプリによるビタミンDの効果検証に本腰で取り掛かるかどうか、見ものである。

    日本人の約9割がビタミンD不足

    ちなみに、平均的な日本人のビタミンD血中濃度は7.2μgとされ、約9割が不足傾向にあるとされている。ビタミンD不足かどうかは医療機関での採血で測定できる。

    世界的な目安としてビタミンD3濃度は40〜70ng/mlの範囲にあるのが望ましいとされている。このレベルが維持できれば、新型コロナのような感染症だけでなくあらゆる疾患やストレスの予防にも期待ができる。

    ただ、ビタミンDはマグネシウムとともに摂取しないと体内でうまく代謝されない。そのため、サプリでも日光浴でも、マグネシウムがきちんと摂れているかも考慮する必要がある、と吉富氏は話す。

    他にも、新型コロナ感染に対する栄養素による予防では、ビタミンC、ビタミンA、亜鉛、EGCG、プロバイオティクス、たんぱく質、オメガ3などが欠かせない。

  • 【ヘルスネットメディア】新型コロナウイルス感染予防と治療のための栄養療法

    十分な感染予防策を講じた上で、これらの栄養素、特に微量栄養素をしっかり摂ることが感染症対策に必須といえよう。


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