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遺伝子組み換え食品 世界の抗議活動報告
遺伝子組み替え食品の排斥運動がここにきて、さらに熱を帯びている。欧州各国では「表示義務」の制度化を要請、また4月下旬の「遺伝子組み替え食品反対世界同時行動ウィーク」では30近い国々が抗議行動を行うなど、世界的な抗議運動へと発展している。
5月7日、米国の消費者権利擁護の活動家であるブルース・シルバーグレード氏が来日、世界各国の抗議運動の報告を行い、消費者団体を鼓舞するなどの動きがみられた。先日読売新聞が行った全国世論調査では、7割が「抵抗感」を示し、8割が「表示の必要」を要請するなど、安全性への懸念が浸透している現状が浮き彫りになっている。
安全性評価の2回目の答申、一方で依然「表示」求める根強い声
13日、厚生省の諮問機関である食品衛生調査会は遺伝子組み替え食品8品目に対して、厚生省の安全性評価指針への適合を確認してよい、との答申を行った。これは昨年8月の7品目に次いで2回目。しかしながら、こうした審判も遺伝子組み替え食品に対する信頼を勝ち取るまでには至らなかった模様。短期間の毒性試験で安全性の評価がくだされたことに対する国民の不信感は依然根強く、「表示」を求める声はさらに強まっている。 こうした中、自発的に「遺伝子組み替え食品」非使用の表示を行う食品メーカーも出始めている。太子食品工業(青森県水戸市)では、4月より遺伝子組み替え操作をされていない大豆を用いた豆腐の販売に着手。パッケージにも遺伝子組み替え大豆の非使用をうたった。月産1,200万個という供給数のため、東北の一部のスーパーなどでの販売に限られているが、通販購入など関東の消費者からの問い合せも増えているという。 こうした「表示」については、今後日本生協連(東京・647の生協が加盟)でも、表示の方針を固めており、ガイドライン策定の準備にとりかかっている。 米消費者権利擁護家ブルース・シルバーグレード氏来日、世界の抗議活動報告 世界的な論争へと発展している「遺伝子組み替え食品問題」が日本でも、ここにきて加熱傾向にあるが、7日に米国の消費者権利擁護の活動家であるCSPIのブルース・シルバーグレード氏が来日、世界各国における抗議運動の概況を報告した。4月21日より行われた「遺伝子組み替え食品反対世界同時行動ウイーク」における活動の一部を紹介する。 ブルース・シルバーグレード氏:CSPI法律局長(CSPI=公衆の利益のための科学センター) 連邦と州の両レベルにおける食品表示と広告、栄養補助食品、食品政策、学校給食、これらの関連問題に関するCSPIの法律および規制分野のコーディネーター。連邦裁判所の訴訟の監督官および、製品表示と広告に関する12以上の連邦裁判の評議員を務めてきた。 CSPI:会員75万人。1971年、消費者の視点と利益を代弁する専門家の集団が必要との信条を持つ3人の科学者が設立。「科学に基づいた食品・栄養問題グループとしては、アメリカで最も尊敬されている」ボストングローブ紙などで高く評価。 <「遺伝子組み替え食品」27ケ国参加世界抗議行動ウイーク・一部活動概況> 参加国/抗議行動概況
<米国>:4/3 ニューヨーク市で大規模なフォーラム、モンサント社への抗議行動、4/21 ロスでUCLAの学生がティーチイン、4/23 ラルフズ・スーパーマーケット前で大豆とトウモロコシを捨てて抗議。 < 「遺伝子組み替え食品」世界抗議行動ウイーク参加国> 米国/カナダ/英国/インド/マレーシア/フィリピン/フランス/オーストラリア/オランダ/スペイン/オーストリア/日本/スエーデン/イタリア/ノルウェー/ベルギー/デンマーク/ドイツ/ハンガリー/ニュージーランド/ブルジア/エチオピア/ブラジル/クロアチア/ギリシャ/インドネシア >
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