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遺伝子組み換え大豆は安全か、今「納豆」の機能性にスポット
先頃、農水省が米国産大豆など「遺伝子組換え食品」の表示問題に対し、一般から意見公募を行ったところ、1万通以上の意見が寄せられ、そのうちの7割強が「表示の義務付け」を求めるところとなった。世界でもトップクラスの長寿国として知られる日本だが、これまで伝統的に摂ってきた大豆製品によるところが大きいといわれる。果たして日本人の長寿体質を支えてきた民族食の行方は。
血栓溶解作用など血液の性状改善に卓効
日本の大豆の自給率はわずか3%で、そのほとんどを海外からの輸入に頼らざるを得ない。そのため遺伝子組み換え大豆の流入が今後の日本人の体質にどのような影響をおよぼすのか懸念する声が高まっている。こうした中、ここにきて皮肉にも血栓溶解など血液の正常化をもたらすとして大豆の「納豆」にスポットが当たっている。 つい最近も0-157への抗菌効果が注目されるなど、現代人の健康管理に欠かせない生体防衛食品としての役割が明らかになった「納豆」。この「納豆」のネバネバに含まれる有効成分は血栓溶解酵素「ナットウキナーゼ」(倉敷芸術科学大学の須見洋行博士が命名)と呼ばれ、12年ほど前よりNHKなどで紹介、心筋梗塞などの原因となる血栓を溶かし、血液の流れを良好にするとされ、以後健康志向の高まりとともに、納豆の売上げに大きく貢献してきた。 納豆1パックで医薬品に匹敵する作用 「ナットウキナーゼ」は血液の性状を改善し、血圧を正常化するいわゆる血管のエントツ掃除の役割を果たすとされ、血栓を溶かす働きにおいては医薬品以上の作用をもたらすことも確認されている。 臨床現場では血栓症患者に対し、ウロキナーゼが点滴剤として用いられているが、納豆を代用しても充分な効果が得られるという。市販されている納豆1g(3〜4粒)はウロキナーゼの約1600国際単位(IU)に相当し、納豆1パック(約100g)は血栓症患者の1回の点滴に用いられているウロキナーゼと同等の効果が得られるといわれる。そればかりか、経口投与のため注射による点滴に比べて、作用も長時間(8〜12時間のケースも)にわたるといわれる。 夕食時の納豆で「眼底出血」が改善 こうした「納豆」のすぐれた血栓症溶解作用が、血管障害によって生じるさまざまな疾病に有効な働きをすることもわかっている。網膜中心静脈閉塞症で眼底出血が見られた58歳の男性に毎日100gの納豆を摂らせたところ、10日目に視力が回復、眼底出血も次第に消えていき、2ケ月後には全く異常が見られなくなったという。ちなみに血液は夜中から朝方にかけて固りやすいため、夕食時に納豆を食べると効果的といわれる。上記の男性にも毎夜8時に納豆食を摂らせている。 この他、「納豆」の0-157などに対する抗菌活性についてシャーレで実験したところ、日常食べる濃度の納豆菌数で0-157の菌数が4日後あたりから消失することも確認されている。 日本人が伝統的に摂り続けてきた大豆製品。これまで日本人の貴重なたんぱく質補給源としての役割を果たしてきたが、中でも納豆は日本人の健康管理に計り知れない恩恵をもたらしてきた。血栓溶解作用を筆頭に、血圧降下作用、ビタミンK2による骨粗しょう症予防効果、整腸作用、抗菌作用など日本人を長寿たらしめた根源が大豆の中にあったといっても過言ではない。 元来、米国では大豆は家畜の肥料程度の扱いで、日本のように日頃の健康管理のための食材としての有効な利用がなされてこなかった。遺伝子組み換え大豆による健康への影響は未知数であるが、「納豆食の薬餌効果」を考えたとき、安全な食材としてあり続けて欲しいと願うばかりだ。
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