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穀類中心の食生活で糖尿病を克服

9月24日(木)、有楽町朝日ホール(東京都千代田区)で朝日食生活フォーラム「糖尿病とその予防・治療のために」(主催:朝日新聞社)が開催された。当日は東大医学部の山田信博助教授による基調講演の他、俳優の藤木悠氏らを交えたパネルディスカッションが開かれ、糖尿病にならないための日頃の健康管理について意見交換が行われた。生活習慣病と呼ばれ、もやは国民の10人に1人が発症しているともいわれる糖尿病。はたして克服のための処方箋はあるのか。


糖尿病の予防と治療に「米の食物繊維」が一役

現在40歳以上の10%が罹患しているといわれる糖尿病。50年前と比べると10倍以上の増え方だ。日本人の食生活の劇的な変化=高カロリー、高脂肪といった食の欧米化が糖尿病の増加に拍車をかけたというのは有識者の一致するところ。

日本人が主食としてきた米の良さを再認識すべき---フォーラムで冒頭挨拶に立った(社)日本糖尿病協会理事長の後藤由夫氏は近年の日本人の食生活の中で炭水化物の摂取不足が糖尿病の要因になっていることを指摘。「米の食物繊維より消化・吸収は緩慢になり、血糖値が急に上がることはない。米の良さを再度見直し、糖尿病の食事療法に取り入れる必要がある」と説いた。

「欧米型の食生活」だと日本人は糖尿病にかかりやすい

生活の豊かさを求め、食生活を含めたライフスタイルの欧米化を推進してきた日本。しかし、落とし穴があった。糖尿病というやっかいな文明病まで背負い込んでしまったことだ。高カロリー、高脂肪の「食の欧米化」だと「日本人は欧米人以上に糖尿病にかかりやすい」ということが判ってきた。

「糖尿病と、予防・治療のための食生活」と題した講演の中で山田信博氏は、「欧米型の食習慣になると、日本人は糖尿病になりやすいということがわかってきた。実際に米国シアトルに住む米国型の生活習慣の日系米人は現地の米国人に比べ糖尿病の発症率が2倍高い」と述べた。

また、「50年間で日本人の体質が変わったわけではなく、欧米型の生活習慣が日本人の中にあった糖尿病の素因を引っ張り出した」(同氏)ことを指摘した。

近年増えている糖尿病はインシュリンが体にあまっているタイプ

糖尿病のタイプも以前とは様変わりしている。これまでインシュリン不足から生じる場合が通例だったが、最近増えているのは、「血液中に十分インシュリンがあるが、うまく作用せず、腎臓などの臓器が糖分を利用できない。そのため血液中に糖分があふれて高血糖になっている。まさに欧米型の食習慣の中で増えている糖尿病のタイプ」(同氏)。しかし、これも「血液中にインシュリンが十分あるため、生活習慣をもとに戻せば、インシュリンは再び働き始める」と山田氏はいう。

どうやら糖尿病克服への道は、欧米型ライフスタイルの見直しとともに米を主食とした日本の伝統食への回帰にあるようだ。日本人が米から離れ、食の欧米化にひた走る中、皮肉にも米国では穀類の機能性に着目し、がんをはじめとする生活習慣病克服の機能性素材としての見地で研究を進めてきた。

現在、世界でトップの長寿国たりえている日本。その穀類を中心とした伝統的な食文化に誇りを持つ必要があるかも知れない。山田氏は、講演の中で糖尿病克服の処方箋を次のように語った。「欧米型のライフスタイルは日本人には合わないかも知れない。50年前と今を比べると脂肪の摂取率が4倍以上増えている。しかも動物性脂肪。一方で糖質の摂取が減っている。昔は糖尿病はインシュリン不足からだったが、今は高カロリー、高脂肪食が原因。食事療法、運動療法を基本に生活習慣の是正が必要」。

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