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「化学物質過敏症」、日本での研究・治療ようやく本格化
8月1日、豊島公会堂(豊島区)で、シンポジウム「ここまで来た!化学物質の被害」(主催:「ここまで来た!化学物質被害」シンポジウム実行委員会)が開催された。当日は(社)北里研究所病院環境医学センター長の石川 哲氏が化学物質の問題点について基調講演を行った他、化学物質過敏症の患者代表らが室内汚染の実態を明らかにした。
「化学物質過敏症」は自己防衛のためのサインか
我々の身近に存在する化学物質による健康被害が近年急増している。ダイオキシンや「環境ホルモン」と呼ばれる化学物質が精子減少をもたらす疑いがあるとされ、マスコミでも頻繁に取り上げられたが、ここにきて特に深刻の度を増しているのが室内空気汚染によるアレルギー症状。いわゆる化学物質過敏症といわれる疾患だ。これは日本ばかりでなく、米国でも同様な現象が生じており、自己防衛本能による発現とみられている。 8月1日に開催されたシンポジウム「ここまで来た!化学物質の被害」では、元北里大学医学部長の石川哲氏が、「100年足らずの間に約15万種以上の化学物質が世に送りだされてきた。しかしながら毒性試験がなされてきたものはわずか」とし、今後、化学物質過敏症の診断、治療の具体化が急がれるとした。 また杉並病(平成8年春頃より、プラスチックゴミを約80%含む家庭ゴミを圧縮する杉並作業所付近より化学物質過敏と推測される症例が報告された。)など化学物質過敏症とみられる疾患に対し、平成11年5月1日から白金北里研究所病院に日本で初めてクリーンルームを開設し、研究および積極的な治療にあたるとした。 化学処理された住宅健材の安全基準作りにようやく本腰 また住宅建材(多くの建材が化学処理されているといわれる)に使用されている化学物質による空気汚染で、化学物質過敏症が発症していることも明らかになっているが、こうした対策についても、日本では1995年7月にPL法(製造物責任法)が施行されたことをきかっかけに、ようやく建材の安全基準作りに着手ばかり。 同シンポジウムでは、第2部で室内空気汚染による被害の実態が報告されたが、行政・業界に働きかけても、具体的な救済策もなく、「解決法のない現状の中で途方に暮れる毎日」と、やり場のない憤りで会場は満たされた。 「化学物質過敏症患者の会」の海老原代表は、2年半前に自らが発症し、職さえも失ったという経験の中から、「化学物質を決して野放しにすることなく、厳重に“管理”、“調査・研究”していくことの必要性」を訴えたが、化学物質の管理・規制のみならず、それに伴う疾患の早急な究明・対策が待たれる。
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