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米国オーガニック(有機)食品、遺伝子組み換え排除

5月8日に米国農務省は農作物に遺伝子操作、放射線照射、汚泥再生肥料を使用した場合、「オーガニック(有機農業)」と認めないとする声明文を発表、年内にも基準案を作成する方針を明らかにした。日本でも昨年来より遺伝子組み換え食品の表示を巡り、論議を呼んでいるが、米国では一足先に遺伝子組み換え食品に対する選択基準を設ける格好となった。


全米でオーガニック認定機関は44、課せられる厳重なチェック

米国におけるオーガニック食品の検査は厳しく、認定のハードルは高い。5月20日に南青山会館(東京都港区)で、日本オーガニック検査員協会の水野葉子会長が米国におけるオーガニック食品認定までの検査工程を明らかにした。 同協会は、オーガニック検査の正しい知識の普及を掲げ、昨年8月に水野会長らを中心に発足。水野会長は15年ほど前よりオーガニック食品と関わり、1995年に米国でオーガニック検査員の資格を取得した。日本人ではまだ2人しかいないという検査員の1人でもある。

講演では米国でのオーガニック認定までの工程を次のように語った。「米国でオーガニック食品というと、第三者の検査官によって検査され、その報告書をもとに第三者の認定機関によって審査され、それが通って認定マークが付くという流れです。米国では民間および公的なオーガニック認定機関が44あるといわれていますが、検査は機密保持が大変厳しく、検査官同士でもどこを検査したかは絶対に明かしません」。
また、日本で話題になっている遺伝子組み換え食品やダイオキシンについても触れ、「米国ではオーガニック食品であれば、遺伝子組み換え操作や放射線照射が行なわれていないことが保証されています。また包装についてもダイオキシンの発生しにくいものへと切り替えつつあります」と語った。

米国では、97年12月に米農務省が遺伝子操作や放射線照射、また家畜に非有機のエサを使用した場合もオーガニックと認めるとする基準緩和案を発表したが、これに対し電話、FAXなど約20万通にもおよぶ抗議文が寄せられ、見直しを迫まられた。そのため、今年5月8日に、米農務省はオーガニックに遺伝子組み換え操作を認めないとする見解を発表、消費者に明確な選択基準を打ち出す形となった。

3年間無農薬、95%以上オーガニック原料でなけれならない

日本では遺伝子組み換え食品に対し、非表示の方向のままだが、米国ではオーガニック表示で選択の際の一つの指標を示した。ともすると、遺伝子組み換え表示に消極的な日本で、もはや非「遺伝子組み換え食品」の調達は難しく、むしろ遺伝子組み換え食品の提唱国である米国のオーガニック食品にそれを求めたほうが話しが早いということにもなりかねない。

米国でのオーガニック食品の認定については、何項目にもおよぶ徹底した検査をクリアーしなければならない。水野会長はオーガニック検査官の資格についても言及、「検査官と調査企業に癒着があってはなりません。もしその企業とコンサルタントなりなんらかの関係がある場合、1年から3年間検査できません。また親や子が関係していないか、調査企業と競争関係にないかなどチェックされます」と語った。

また現場における検査項目で、「農薬の空中散布などがなされているところは当然審査の対象外で、無農薬・無化学肥料で3年間行なっていないとだめです。ビニールハウスでの栽培も認めていない認定機関もあります」などとした。

その他、水野会長が明らかにしたオーガニックの検査項目および手順については下記の通り。

[ 米国のオーガニック認定機関における検査項目 ]

農場において:
農地歴/農作業従事者/現地の農地状況(位置、環境、用水/排水状況、空散の有無、公害の影響の有無(排気ガスの度合い、影響も含む)、隣接地状況など)/土壌管理状況(土壌改良剤、肥料、農薬の使用の有無そして種類)/絵遺物の状態/種情報(入手先、種処理など)/苗床情報(苗床の土の入手先、手入れ、肥料などの使用の有無)/ビニールハウス生産状況(ビニールハウス使用時)/除草管理法/害虫駆除法/病害管理法/水源および水質/収穫時における生産物の扱い法(使用機械・機具類なども)/輸送状況(輸送方法、運搬車の清掃状況・前荷情報)/保管方法(一時的、長期的)/倉庫状況(害虫駆除方法、清掃方法など)/加工状況/販売形態・方法/監視追跡/品質管理法/農作業記録表

保管倉庫において:
倉庫の種類/通関業務の有無(輸入品の場合)/施設図面の照合/従業員状況/管理体制/使用機具および機材/オーガニック品の扱い方(表示、従業員教育など)/清掃内容/害虫駆除内容/品質管理/在庫管理および入庫出庫記録内容/輸送関係

加工場において:
加工場の歴史/加工場環境/施設図面の照合/従業員状況/管理体制/許可証、会社形態、検査関係の報告書/使用原料、加工添加物、加工補助物情報(オーガニック認定書のチェック、成分率、内容など)/水質/物流フロー/加工工程/機械類・機具類/監査追跡方法(コット番号作成方法など)/実際の抜き取り監査追跡/HACCP(危害分析管理プログラム)の有無または類似プログラムの有無/品質保証プログラム(原料入荷時、半製検査、製品検査、サンプル保管など)/オーガニック性保持方法/倉庫関係情報/衛生管理法(清掃法、清掃時使用薬品情報)/害虫駆除法(害虫駆除関係薬品・機具情報など)/製品包装形態および包装情報(材質、表示など)/マーケティング/輸送状況(輸送車、運送会社情報、前荷情報など)/副産物及びごみ処理状況/ボイラー関係(ボイラー添加物)


< オーガニック検査の工程 >

1)認定機関選び
認定マークは各認定機関により異なり、申請手続き内容などもそれぞれ異なる。認定された食品又は生産物を販売したいと望むメーカーは検査申請書を自分の選んだ認定機関から取り寄せる。

2)検査申請書の提出
その検査申請書を提出すると同時に検査申請費用を支払う。

3)認定機関による検査官への検査依頼
認定機関は申請費用振り込みを確認した上で登録検査官に検査依頼をする。

4)検査日の決定
検査官は認定機関からの依頼に応じる事とした場合、そこで受託し、検査対象とコンタクトをとり、検査日を決定する。

5)検査
検査官は決定された検査日に検査地に出向き、検査をする。検査終了後、検査官は提出書類が手に入り次第、レポートを書き上げ認定機関に提出する。

6)検査レポートに基づく認定委員会による審査。
認定機関は検査レポートを受領後、認定委員会で討議されるべくスケジュールに組み入れる。認定委員会は、その検査レポートをもとにその検査対象者を認定すべきか否かを決定し、認定機関に討議結果報告をする。

7)結果
認定機関はその結果を検査対象者に報告し、認定が無事おりたところには有効期限1年間の認定書を発行する。

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