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食物繊維、葉緑素がダイオキシンの体内排出を促進
ここ十数年ほど前より、日本で急増しているアトピー児も母乳からのダイオキシン摂取の影響との見方が強まるなど、ダイオキシン汚染による健康被害が深刻化している。ここにきて漸くダイオキシン規制に本腰を入れ始めた日本だが、すでに汚染は全国的に蔓延しており、健康への影響を懸念する声が各地で広がっている。こうした中、昨年12月に国民生活センターで開催されたダイオキシン・シンポジウム「広がる汚染、どうするダイオキシン」で摂南大学の太田壮一講師がダイオキシンによる健康被害と体内に蓄積されたダイオキシンの排出について提言した。
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排出規制値の策定よりも、「体内に蓄積されたダイオキシンの排出」が緊急事項
「米ぬか等の食物繊維や葉緑素が体内に蓄積されたダイオキシン類の排出を促進する」-講演の中で、太田氏はダイオキシンの体内排出について米ぬかの有効性を指摘した。これまで日本各地でダイオキシン対策が叫ばれるなか、排出規制に関することばかりが論点になっていた。規制値を欧米並みに設定することは早急に必要なことである。 しかしながら、問題はこの10数年以上にわたって人体に蓄積されたダイオキシンをいかに排出するかということにある。氏はこの点について「米ぬか」等の食品摂取による自衛手段を示唆した。 ダイオキシン摂取の98%は食事経由、約60%が沿岸海域の魚介類から 講演の中で、ダイオキシン摂取の現況について、氏は1)摂取量の98%は食事経由、であるとした。また日本は伝統的に魚介類を多食するが、これによるダイオキシン摂取比率は高く、2)約60%が魚介類からの摂取、であるとした。また、沿岸海域に生息する脂肪の多い魚介類は高濃度の汚染を受けており、遠洋魚(マグロ、サンマ、カツオ)、カニ類、イカ類、タコ類、エビ類、白身魚、貝類は汚染濃度は低い、とした。 摂取比率については、魚介類に次いで、乳製品、肉・卵類、緑黄野菜類、米という順になっている(下記表参照)。これに対し、欧米諸国では肉・卵類からの摂取が多く、ドイツでは食品全体の3割弱、カナダでは4割強を占めるに至っている。とはいえ、1日のダイオキシン摂取量を他の先進諸国と比べると日本は総体的に高いことがわかる。
( ※表はダイオキシン・シンポジウム「広がる汚染、どうするダイオキシン」('97/12.16、国民生活センター)より配布された資料より抜粋 ) 米ぬかによるダイオキシン排出量、基本食の3,4倍 こうしたダイオキシンを排泄させる方法として、米ぬかのセルロース、クロレラの葉緑素(クロロフィル)による効果がラット実験で明らかになっている(下記表参照)。ちなみにラット飼料に10%の米ぬかを添加した場合、基本食の3、4倍の排泄量で、肝臓への蓄積濃度についても10%〜20%の範囲で減少していることがわかる。また、クロレラにいたっては20%のクロレラ添加で基本食の7倍の排出量(12378-PeCDD)を示し、肝臓への蓄積濃度も30%減少している。
( ※表はダイオキシン・シンポジウム「広がる汚染、どうするダイオキシン」('97/12.16、国民センターより配布された資料より抜粋:資料配布先・新日本婦人の会TEL03-3293-0581 ) ダイオキシンを含む母乳を摂取した乳児はアトピー、知的障害の危険性 以下、太田氏は講演の中で、体内の脂肪に蓄積されたダイオキシンは女性の場合、母乳から乳児に摂取され、それにより、アトピーの罹患が高まるという報告があるとした。最近の米国での研究報告によると、ダイオキシン摂取で知的障害の可能性が高まるとの報告もある。以下、健康被害について下記のように要約している。 ●人体汚染と母乳問題
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