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心臓病対策、摂取する脂肪の種類の選択から(米国食生活調査)

「摂取する脂肪の量より、むしろ脂肪の種類が心臓病の危険性を低下させる重要な要因」 ――こうした研究報告が11月20日付New England Journalに掲載された。これは、Harvard School of Public Healthが14年にわたって行った食生活調査「Nurses’ Health Study」で明らかになったもので、研究者はこの中で、心臓病に最も悪影響を及ぼすのは、マーガリンや外食用の揚げ物、菓子類に含まれるトランス脂肪であること、また肉類や乳製品に含まれる飽和脂肪も害となることを指摘した。

トランス脂肪を不飽和脂肪に代え、心臓病の危険性が53%低下

脂肪摂取に関していえば、不飽和脂肪のほうが健康に良いということは以前から言われていたことであるが、このことが米国における最近の研究でも裏付けられた。これは14年間にわたり、8万82人の看護婦を対象に行なわれた食生活調査「Nurses' Health Study」の中で明らかにされたもので、脂肪摂取の際の一つの指標となりそうだ。 被験者の看護婦は、毎日摂取するカロリーの2%をトランス脂肪から、また16%を飽和脂肪から摂っていた。

研究報告によると、トランス脂肪から摂るカロリーの2%を不飽和脂肪に代えたところ心臓病の危険性が53%低下したという。同様に、飽和脂肪から摂るカロリーの5%を不飽和脂肪に代えた場合、同病の危険性が42%低下したという。

摂取する総脂肪量より、トランス脂肪と飽和脂肪を減らすことが大事

また、摂取する総脂肪量による心臓病の危険性について比較したが、脂肪がカロリーの46%を占めるグループ(最大)は29%のグループ(最少)と比べ、心臓病の危険性は大きくなかったという。これにより、心臓病の危険性低下させるためには、「摂取する総脂肪量の減少より、脂肪中のトランス脂肪と飽和脂肪を減らすこと」とした。つまり健康への影響は脂肪の摂取量より、質が問題になるということだ。

しかしながら、こうした見解に対し、低脂肪食擁護派は「研究では、摂取脂肪量29%以下の影響を明らかにしていない」と反発しているという。以下、脂肪の生理活性をわかりやすくまとめた。

・トランス脂肪:「悪玉コレステロール」といわれる低密度リポタンパク(LDL)を増加させ、「善玉コレステロール」の高密度リポタンパク(HDL)を減少させる。

・飽和脂肪:「悪玉(LDL)」と「善玉(HDL)」の両方を増加させる。

・不飽和脂肪(一価):「善玉(HDL)」を高め、「悪玉(LDL)」を低下させる。

・〃(多価):「善玉(HDL)」は変化しないが、「悪玉(LDL)」を低下させる。

食品医薬品局(FDA)が食品の表示ラベルにトランス脂肪に関する情報を検討

つまるところ、心臓病対策には、「トランス脂肪が含まれていないものを摂取する」のがベストという結論に達する。これにはひまわり油、オリーブオイル、コーンオイル、大豆油などが該当する。米食品医薬品局(FDA)、米農務省(USDA)は今後、食品の表示ラベルにもこのトランス脂肪に関する情報を記載することを検討しているといわれる。

また、最近マーガリンがトランス脂肪を多く含むとされ、バターとの比較されがちだが、全米マーガリン製造者協会は「マーガリンの60%は現在ソフトタイプで、これらはトランス脂肪を全く含んでいないか、含んでいても僅か」と反論しているという。

脂肪の多い食事の前にビタミンC、E摂取すると血流がスムーズに

とかく米国人の健康に脂肪摂取の弊害が叫ばれる中、脂肪の多い食事の前にビタミンC、Eを多量に摂取しておくと血液の流れが阻害されない、という研究報告も一方でなされている。これはメリーランド大学が20人の成人健常者を対象に行なったもので、脂肪量50gの食事でビタミンC1,000mg、Eを800IU摂取した場合、血管の開き具合が8%から18%にアップしたという。

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