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喫煙プラス飲酒の習慣、食道がん罹患の危険性高める

11月19日付けの朝日新聞によると、東北大の石川敦康医師らが、宮城県の約2万7千人を対象に調査したところ、喫煙に加えほぼ毎日飲酒する男性は、どちらの習慣もない人と比べると、食道がんになる危険性が9〜11倍になることが分ったという。喫煙と飲酒のコンビネーションは食道がんのリスクを高めることが明らかになった。

適度な飲酒の健康効果も、喫煙プラスで発がん率高める

適度な飲酒がもたらす健康効果についてはこれまでにも数多く報告されている。ハーバード大学による内科医健康調査で、21,537人の健康な男性対象に約12年間調査したところ、1週間に2〜6杯の飲酒は心臓病の急死のリスクを減らすことが分ったという報告もある(Journal of the American Heart Association誌)。
また、コロンビア大学研究グループ調査で、1日に2杯までの飲酒は、卒中のリスクを半分にすることも報告されている。

日本でも、国立がんセンターの調査(1990-1996年に、岩手、秋田、長野、沖縄の四県の40-59歳の男性約2万人にアンケート)で日本酒を1日に1合(180ml)以下飲む人は、全く飲まない人に比べ、死亡率が低いことが報告されている。

とはいえ、過度な飲酒は健康を損ねる。これに喫煙が加わるとさらに問題が深刻化する。先述の東北大の石川敦康医師らの研究では、飲酒プラス喫煙の習慣性は食道がんの罹患率をアップさせることを指摘している。

これまでにも喫煙と飲酒のコンビネーションが食道がんの罹患率を高めるということが報告されている。

米国政府機関の諮問委員会は、動物やヒトの細胞などを使った実験で、「喫煙者並びにアルコールを多く摂取する者の間で発がんリスクが高いことが、研究ではっきりしている」と指摘。インターナショナル研究員チームによる研究報告では、喫煙と飲酒を控えることで、男性の食道がんの90%は予防できるという(International Journal of Cancer誌)。

日頃の食管理による食道がん防止についてはどうか---。
肉の中でも赤身肉についてはがん罹患のリスクが高く、菜食で赤身肉の摂取が少ない地域ではがん発生率が低い傾向にあることがいわれている。

肉類、特に赤身肉が中心の食事は食道がんの危険性を3倍以上、胃がんを 2倍にするという報告もある(American Journal of Clinical Nutrition誌'02/1月号)。 タフツ大学の研究グループが、胃がん患者124人、食道がん患者124人、 がんに罹っていない被験者449人について、食生活を、「健康的」「肉類が多い」「ミルクが多い」「塩分が強いスナックが多 い」などに分類したところ、肉の摂取が多いグループでは食道がんの危険性が3.6倍、胃がんは2倍だったことが分かったという。

米国がん研究財団 の「がん予防15カ条」には、牛や豚などの赤身肉は1日80グラム以下、総エネ ルギーの10%以下までとすることという項目が掲げられている。

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