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日本で増加傾向の前立腺がん
2020年、肺がんに次ぐ罹患者数に

平成18年9月3日、有楽町朝日ホール(東京都千代田区)でシンポジウム「前立腺がんの早期発見と治療」が開催された。当日、伊藤一人助教授(群馬大大学院医学研究科泌尿器病態学)らが、日本における前立腺がんの罹患状況や早期検診の必要性などを講演した。

65歳以上の高齢者、人口10万人当たり90人以上の割合で罹患

高齢化社会の到来で懸念されているのが、アルツハイマー病や前立腺がんの罹患者の増加。
とくに日本では90年代から前立腺がんが増加傾向にあり、2020年には現在男性のがん罹患率トップである肺がんに次ぎ第2位になることが予測されている。

講演で、伊藤氏は「50歳を過ぎると前立腺がんが急に増える。早期発見のために前立腺がん検診が必要だが、日本は欧米から10年遅れている」と述べ、現状だと今後日本で前立腺がんが3倍に増えると指摘した。

前立腺は男性特有の臓器で、膀胱下方にあり、精子の一部が作られる。
前立腺がんは食の欧米化や加齢が原因とされ、65歳以上からの高齢者では人口10万人当たり90人以上の割合で罹患している(厚労省データ)。前立腺がんは自覚症状がないため、検診による早期発見が必要といわれる。

ちなみに、米国では男性のがん罹患率のトップの前立腺がんが減少傾向にあるが、これには1980年代後半から実施しているPSA検診という採血検査が功を奏しているという。また、カナダでも1990年前後からPSA検診を実施し、死亡率が低下しているという。

PSA(Prostate Specific Antigen:前立腺特異抗原)検診とは、少量の採血で血中のPSA濃度を調べるもので、前立腺がんの罹患状況が判断できる。
「食生活は日本型の食事のほうが欧米型の食事よりも良いといわれている。食生活だけみると日本のほうが優位。日本のほうが前立腺がんの患者が増えない、死亡が増えないということになる」が、にもかかわらず「前立腺がんの患者が増加しているのは、PSA検診の普及率の差」と伊藤氏は指摘する。

前立腺がんの発症原因は現在のところ不明だが、欧米食のように脂肪分が多く、食物繊維が少ない食生活は 発生率を高めるということも要因の一つと報告されている。

前立腺がん予防に役立つハーブサプリメントとしては、ノコギリヤシ、イラクサ、 セレン、亜鉛、大豆などが挙がっている。

トマトに多く含まれるカロチノイド色素のリコペンについても、前立腺がん に関する有用性報告が多い。
1996年にハーバード大学の研究グループが男性の医療関係者4万8千人を対象に行ったところ、ピザあるいはトマト ソースを使った食品を1週間に最低2度食べる男性の間では血中のリコペン濃度が高く、 前立腺がんの罹患率は45%減少したという。一方、トマトソースを摂取しないグループは、 21%から34%罹患率が高くなったという報告もある。

またセレン、ビタミンEも前立腺がんへの有用性が報告されている。
Journal of the National Cancer Institute'05/3月2日号によると、 メリーランド州の研究グループが、フィンランド人男性30,000人が参加する Alpha-Tocopherol, Beta-Carotene Cancer Preventio(ATBC)Studyのデータを基にした 研究で、前立腺患者100人と対照グループ200人のデータを分析したところ、血中の アルファトコフェロール(ビタミンE)濃度が最も高いグループは最低グループに比べ、前立腺がん の危険性が51%低いことが分かったという。

セレンは1996年、皮膚がんの予防効果をみるため大人1,000人 を対象に調査したところ、皮膚がんの予防効果は全くみられなかったが、1日に200mcg摂取した場合、前立腺がんの罹患率が60%減少したとことが報告されている。
また、1日にセレン200mcgを7年間に摂取した グループとプラセボ組を比較したところ、プラセボ組に比べ摂取組のほうが 前立腺も含めたガン死亡率が50%低かったという報告もある。

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