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アンチエイジング(抗老化)素材のコエンザイムQ10
「1日摂取目安量の上限を300mg」とする見解

高い抗酸化力からアンチエイジング(抗老化)素材として話題のコエンザイムQ10(以下、CoQ10)。大豆イソフラボンとともに、1日の摂取上限量の設定で議論が交わされていたが、業界団体の(財)日本健康・栄養食品協会は6月28日付けで、「CoQ10の1日摂取目安量の上限を300mg」とする見解を示した。厚労省ではこれを食品の健康影響評価を行なう食品安全委員会に諮問したが、医薬品として承認されているCoQ10剤の承認用量を上回ることなどから、折合いが付かない状況が生じている。

世界の100以上の関連文献を検索、「1日600mgの摂取でも問題がない」

日健・栄養協は、健康食品の安全性確保のため、素材ごとに規格基準を設け、審査・認証するJHFAマーク(安心マーク)制度を運用している。会員企業は1,200社を超える。
同協会では6月28日付けで、「コエンザイムQ10の1日の摂取量の上限値を300mg」とする見解を示した。
経緯については、次のように説明する。
「安全性については、世界の関連文献の検索により100を超える論文を抽出した。これら論文について協会委員会学識経験者による評価を行い1日600mgの摂取でも問題がないことを確認、その2分の1の300mgをJHFA規格基準案の1日摂取目安量の上限として提案した」。

安全性の根拠として、以下のことを挙げている。
1)日本で既に100mg前後の1日摂取目安量の商品が流通しているが、安全性に問題がないことが確認されている。
2)米国では食品として1日300mg以上の商品が多数販売されているが、安全性に関する問題の発生はない。オーストラリアでは150mg、ベルギーでは200mgの上限値が設定、フランスも200mgで検討が進められている。

一方、食品安全委員会では、CoQ10の大量・長期継続摂取した場合の身体への影響についての資料不足を指摘。医薬品として使用されているCoQ10剤(ユビデカレノン製剤(承認用量:30mg/日))で胃部不快感、下痢、発疹などの副作用が報告されていることなど懸念材料を勘案、

「医薬品の1日摂取量を超えないというリスク管理措置に配慮することが重要」とし、現段階で安全な摂取上限値を決めるのは困難である、との見解を示した。

ビタミンEにも勝るといわれる高い抗酸化能を示し、日本では、アンチエイジング(抗老化)素材として喧伝されているCoQ10。
米国では、心疾患系の治療薬として使用されてきた経緯がある。1989年に、重度の心臓病患者806人を調べた研究では、CoQ10がかなりの有効性を示したと報告されている。また、イタリアの研究によると、CoQ10を摂取した心不全患者1,100人の80%に機能改善が見られたことも報告されている。

CoQ10は、いわし、サバ、サケ、肝、卵、豆類、米ぬか、ナッツ類(特にピーナッツ、大豆、ピスタチオ、胡桃など)、ごま油などに多く含まれる。
CoQ10は体内合成されるが、19歳から21歳頃がピークで、加齢とともに合成能は低下する。 また、ストレスの多い生活や環境汚染などでも、CoQ10は消費されるといわれている。

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