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食物繊維、結腸がん予防に有用性報告 結腸がんは、動物性脂肪の摂取増が主原因とされ、日本でも欧米食への傾倒から増加傾向にある。 American Journal of Clinical Nutrition'06/2月号に、食物繊維は男性の結腸がん予防に有用であるという研究報告が掲載されている。 これまで否定的な報告も幾つかあったが、今回の研究では、肯定的なものとなった。
食物繊維、結腸がんのリスク軽減に関与 記事によると、Arizona Cancer Centerの研究者グループが、Wheat Bran Fiber TrialとPolyp Prevention Trialの2つの研究を見直し、前者は、1,429人を対象に食物繊維低摂取(コムギぬかサプリメント、食物繊維2g/日)に対する高摂取(13.5g)の影響を検証。後者は、2,000人以上の成人を対象に野菜・果物に豊富に含まれる食物繊維摂取が結腸および直腸にできた前がん状態のポリープの再発への影響を確かめたという。 分析によると、どちらもリスク軽減において、さほど影響は見られなかったが、男女別で見ると、高摂取グループの男性は女性に比べ、結腸がんリスクが29%下がっていることが分かったという。 この他、食物繊維の結腸がんのリスク軽減についての最近の報告では、 International Journal of Cancer'05/7月10日号が、 被験者42,000人以上(女性)の食生活を10年間 追跡した研究報告を掲載している。 被験者の食生活を、欧米型(主食:パン、他:肉類や乳製品中心)、日本型(主食:ご飯、他:味噌汁、魚の塩焼き、漬物など塩分多い)、健康型(野菜・果物、豆類などが多い)の3つに分類したところ、健康型が結腸がんのリスク低下に最も貢献したことが分かったという。 一方、否定的な見解では、Harvard School of Public Healthの研究者グループが、過去の研究 13件(被験者725,000人以上)を分析したところ、食物繊維に結腸がん予防の有効性は見られないと報告している(The Journal of the American Medical Association'05/12月14日号)。 当初、食物繊維摂取の最も多いグループの20%に、がんリスクが16%低下しているという結果が出たものの、総合ビタミン剤や葉酸、赤身の肉、ミルク、アルコール飲料摂取など他のリスク因子を加味し再検証したところ、予防効果は見られないという結論に至ったという。 他にも、ハーバード・メディカル・スクールの研究チームが、136,000名以上の医療 従事者を対象に1980年から16年以上にわたって行われた調査結果の分析では、 野菜や果物(食物繊維含む)の摂取はがんや心臓疾患、糖尿病に予防効果は認められるが、 結腸や直腸がんにへの予防効果は認められなかったという報告もある。
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