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遺伝子組み換えイネの開発進むも、実用化で暗礁
4.8「国際反GMOデー」遺伝子組み換えイネ最新報告

平成18年4月8日、国民生活センター(東京都港区)で、4.8「国際反GMOデー・こんなものいらない!遺伝子組み換えコメ」(主催:遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン)が開催された。基調講演として、「日本のGMイネの開発状況」、「3つのGMイネの問題点」が行われた。

生産者メリットから消費者メリットへとシフト

遺伝子組み換え作物(以下、GM(Genetically modified organism)作物)が世界的な論点となってすでに10年以上が経過する。
日本におけるGMイネの開発は、2002年に愛知県が日本初のGMイネ「祭り晴れ」の試験栽培に乗り出すが途上で開発を中止。その後、自治体も予算を半減する。
現状は、採算性の点で、民間企業や自治体がGMイネ開発から撤退し、実用化の目処は立たないとの見方が強い。

当初、GM作物については、トウモロコシや大豆の大量生産を目指した除草剤耐性や殺虫性といった生産者側に立つものであったが、5,6年ほど前から消費者サイドのメリットを図る、栄養成分を強化したものやワクチン添加など医薬品的な特性を持つGM作物の開発へとシフトしていった。

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの天笠氏によると、「GM作物は、徐々に開発の方向が変わってきた。花粉症緩和イネなど、いわゆる消費者メリットを考えた医薬品的な要素を持ったもの、健康を考えたものが開発されているのが最近の特徴」という。

現在、「スギ花粉症対策イネ」、「鉄欠乏耐性イネ」、「いもち病・白葉枯病抵抗性イネ」の3つのGMイネの試験栽培が進められているが、体内での抗生物質耐性菌発生を促す可能性など、それぞれ未解決の問題を内包しているという。

世界的にGM作物に対する抵抗感は根強く、今年1月14・15日にはドイツ(ベルリン)でGMOフリーゾーン(遺伝子組み換え作物を栽培させない地域)を求める有機農家や環境保護団体らによる国際会議が開催された。
日本では、今年1月にGM作物の商業栽培を規制する条例が北海道で施行。また、3月には日本で初めてのGMOフリーゾーン全国交流会が開かれた。

海外のGMイネ栽培については、イランでBt(殺虫毒素産生)イネの商業栽培が開始。また中国で、Xa21(細菌病抵抗性)イネが承認される可能性がいわれている。

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