HOME > バックナンバー > 04/9月記事

魚食の優れた健康効果、FDA(米食品医薬品局)が認知
大豆に魚、日本の長寿支える伝統食が評価

先頃、FDA(米食品医薬品局)は魚油に含まれるオメガ3脂肪酸のドコ サヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)が心臓の健康維持 に有効であるとして、同関連製品に「最終的な結論ではないが、EPAとDHA 摂取が心臓病の危険性減少の一助となるという研究成果を支持する」と いった内容の健康への有効性を示す表示を認可した。米国では大豆や魚の摂食による健康効果の認知が高まっている。

米国で魚の摂取を薦めるよう食生活ガイドラインの見直しを求める声

世界でもトップの長寿国である日本人の伝統食である大豆、魚はさまざまな 疾病予防に役立つと評価が高い。
すでに大豆はさまざまな加工形態で米国の食文化に定着しつつあるが、魚に関しても米国では魚油に含まれるω-3系脂肪酸が米国で 死因のトップに立つ心臓疾患の防止に役立つとして、魚の摂食を薦めるよう食 生活ガイドラインの見直しを求める声が高まっている。
食生活ガイドラインは5年ごとの改正のため、2005年に向けて新しいガイドライン作成の準備が進められている。

魚食、鬱症状やアルツハイマー防止にも有用

魚食による疾病予防としては、心臓疾患の防止以外にも、眼疾患、前立腺がん、鬱やアルツハイマーなどの脳機能低下に 役立つということがこれまで報告されている。

Neuron'04/9月2日号では、DHAやEPAの アルツハイマー防止効果を裏付ける研究報告を掲載しているが、それによると、 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究グループが、マウス 実験で、ω-3系脂肪酸、DHA(ドコサヘキサエン酸) について研究。マウスにDHAを抜き、代わりにω-6系脂肪酸を混入した エサを与え、その後半数にはこのエサを続けて与え、残り半数にはエサに DHAを混入して与えたところ、DHAを抜いたグループには、アルツハイ マー病と同様の病変が現れた。一方、DHA入りのエサグループでは、脳機能 は変わらず維持されており、記憶テストのスコアも良かったことが分かった という。

他にも、American Heart Associationで報告されたもので、タフツ大学の研究 グループが、平均年齢75歳でFramingham Heart Studyの一部に参加中の1137人 の血中脂肪酸濃度を測定したところ、週に3回魚を食べると、アルツハイマー 症の危険性が半分になることが分かったことを報告している。

また、Archives of Neurology'03/7月号によると、シカゴの研究グループによるもので、65歳から94歳の被験者815人の 食生活やアルツハイマー病発生などについて4年にわたって調査したところ、研究 期間中に131人がアルツハイマー病に罹っているが、1週間に 最低1回魚を食べた被験者は、稀にしか食べないか全く食べないグループに 比べアルツハイマー病に罹る割合は60%低かったという。

魚油に若者の敵意などの興奮を鎮める作用

また、ω-3系脂肪酸が神経系統に働きかけることも知られており 鬱病などの精神性疾患の改善に有効性を示すことがこれまでに報告されて いる。

若者の敵意などの興奮を 鎮静化させる作用もあるという研究報告が、 European Journal of Clinical Nutrition'04/1月号に掲載されているが、 英国の研究グループが、カリフォルニア在住である白人、黒人の 若者3,581人を対象に敵意のレベルとω-3系脂肪酸、ω-6系脂肪酸の摂取 状況を比較分析したところ、ω-3系脂肪酸の摂取は、敵意レベルの興奮の 低下に関連することが判ったという。

この他にも、ハーバード大学の 研究グループが、軽度の精神性疾患患者20人に魚油(エイコサペンタエン酸)1g、 10人にはプラセボを与えたところ、8週間でサプリメントグループはプラセボ グループに比べ、症状にかなりの改善が見られたといった報告もある。

ヘルスネットメディア
.

Copyright(C)GRAPHIC ARTS CO.,LTD. All rights reserved.