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日本人の主食の米が遺伝子組み換えイネに

平成14年11月6日、衆議院第一議員会館で遺伝子組み換えイネ反対署名の提出と国内での遺伝子組み換え作物作付けに反対する院内集会が開かれた。「主食の米が遺伝子組み換えにされたら一体どういうことになるか」---。遺伝子組み換えいらないキャンペーンの運営委員が政府の認可待ちという遺伝子組み換えイネの栽培阻止を訴えた。

遺伝子組み換えイネ、栽培阻止のために100万からの署名

5年ほど前、日本モンサント社と愛知県農業総合試験所の共同研究で除草剤耐性遺伝子組み換えイネ「祭り晴」の試験栽培が始まった。
すでに研究段階は終了し、作付けまであと一歩の段階という。厚労省で食品としての安全性が審査され、認可されれば、商業栽培される。

これに対し、当日参加した遺伝子組み換えいらないキャンペーン運営委員が、「遺伝子組み換え作物の輸入が増え、食卓に上っており、市民の不安は大きい。遺伝子組み換え作物が目に見えない形で入ってきている。米国では豆腐や納豆に使う大豆の遺伝子組み換えが70から80%近い作付け状況になっている。そういう状況の中で、我々が三度三度食べる主食である米が遺伝子組み換えにされたら一体どういうことになるか。調味料や副食物とは違う」と抗議。

また、「今すぐに食べて危険ということはなくても5年、10年先はどうなるか。ザンビアやジンバブエの政府は安全の保証されない作物をアメリカがいくら援助だといって送っても、我々は飢えを選ぶと大統領が声明するくらいの決意で臨んでいる。日本の政府もそれくらいでほしい」と訴えた。すでに遺伝子組み換えイネ栽培阻止のために100万からの署名を集めたという。

有機表示の不備も発覚、ないがしろにされている消費者の「知る・選ぶ」権利

また、「市民バイオテクノロジー情報室」代表の天笠氏がヨーロッパにおける遺伝子組み換え表示の現況について報告。「ヨーロッパの新しい遺伝子組み換え食品の表示は全食品表示で、ごく微量の成分にいたるまで表示となっている。ヨーロッパでは消費者の知る権利、選ぶ権利を守るという大前提がある。日本はほど遠い」と指摘した。

ここにきて食品の偽装表示がクローズアップされているが、遺伝子組み換え表示についても、表示と違う商品が流通していることが先頃発覚している。
今年6月中旬から7月末にかけて農水省総合食料局品質課が「有機JAS各付け食品」54食品と「有機大豆使用」22食品を購入して調べたところ、前者で14食品、後者で11食品と、「有機」と謳った食品の3割から遺伝子組み換え作物の遺伝子が検出された。本来、組み換え遺伝子が微量でも検出されると「有機」とは謳えない。

当日参加した、民主党の筒井信隆議員は、「今国民の関心の的は景気と食の安全。食の安全はBSE以来大きな政治の課題となっている。縦割り行政の解消、全食品にトレイサビリティ(追跡可能性)を確立することに取り組んでいきたい」との姿勢を示した。

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