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食糧の増産、農薬の減少、人体や環境への遺伝子汚染は 4月24日、「遺伝子組み換え技術の"いま"を検証する」と題してシンポジウムが開催された。当日、本谷勲氏(東京農工大名誉教授)、新井秀雄氏(元国立感染症研究所主任研究官)、河田昌東氏(元名古屋大学理学部教員)らが遺伝子組み換え作物の環境への弊害など、最新状況を報告した。食糧の増産、農薬の減少、人体や環境への遺伝子汚染など遺伝子組み換え作物をめぐるさまざまな問題は果たして解決をみたのか。
見込めないGM作物の収量増、農薬も減らず
地球上で刻々と進む砂漠化、熱帯雨林の消失---。 米国で、「GM作物の収量増」と「農薬使用量の減少」を旗印に、1996年に本格的にGM作物の栽培を開始。2002年には栽培面積が世界で5870万ヘクタールに達した。
内訳は米国66%、アルゼンチン23%、カナダ6%、中国4%、その他1%。作物別では大豆62%、トウモロコシ21%、綿12%、ナタネ5%となっている。 GM作物の花粉飛散による環境汚染、人体への影響などさまざまな問題が未処理のまま、すでに日本の総面積の約1.6倍に相当する耕地面積でGM作物が栽培されているといわれる。 しかしながら、河田氏によると、肝心の「GM作物の収量増」と「農薬使用量の減少」については、ほとんど期待を裏切られる結果になっているという。 1998年以降、GM作物の栽培の検証が開始されたが、アメリカ中西部の穀倉地帯ネブラスカ州やイリノイ州など8つの州立大学が、モンサント社の除草剤耐性大豆とその親株を使い、収量試験を行ったところ、親株の在来種に比べ、除草剤耐性大豆の収量は平均で6%程度、逆に地域や株によっては20%以上も減収していることがわかったという。 また、農薬使用量についても、モンサント社のラウンドアップ除草剤耐性大豆やナタネ、トウモロコシが栽培面積の大半を占めたが、「耐性雑草」が現れ、1回だけで済むはずのラウンドアップ除草剤散布が現在では3回散布が当たり前になっているという。 「GM食品は安全」の立場を断固崩さない米国
振り返って、なぜ、GM作物が今日まで問題視されてきたのか---。 また、GM技術の危険性を評価する作業が非常に困難であり、GM技術が無制限に応用されれば、不幸な事態を生むおそれがあるとし、問題が解決される日まで、GM技術の実験の中止を求めた。
バーグ声明から30年が経過する。はたして指摘された問題点はクリアーされたのか。 また、栄養価の高いGM作物を作ることで、現代人を脅かす疾患の予防に大きな役割を果たすと強調している。 米国政府はこうしたGM推進派のために、多額のGM補助金を捻出し、GM大豆やトウモロコシを世界的規模で栽培し、穀物輸出における主導権を目指している。当初生産性向上や農薬の減少といったGM戦略は単に生産者サイドへの恩恵を謳ったものと消費者サイドの反発を招いたことから、その後、遺伝子操作による栄養強化を前面に打ち出し、消費者に恩恵をもたらす技術であるとイメージアップを図った。 例えば、ビタミンAの豊富な“ゴールデン・ライス”。これは、発展途上国の子どもたちに見られるビタミン不足を補う一助となることが期待される。また、リコペ ンの豊富なトマト、抗がん物質を強化したブロッコリー、炭水化物を少なくして腸内ガスの発生を抑える豆類、イソフラボン濃度を高めた大豆、甘味を強くした味の良いコーン、食物アレルギーを引き起こすプロテインを変えたアーモンドやナッツなど、健康対応から嗜好対応まで様々。 「GM食品のラベル表示は必要ナシ」とする米食品医薬品局(FDA) また、GM食品に関して、議論が沸騰しているのがラベリング問題。米国では、GM食品およびGM原料を使用している食品へのラベル表示義務付けを求める声が圧倒的に多いにも関わらず、米食品医薬品局(FDA)は「必要性を認めない」としている。その裏には、GM食品使用のラベル表示によって、消費者が嫌悪感を示すことを懸念する食品関連企業の思惑が見え隠れする。 一方、海外ではラベル表示の義務化が次々に法令化している。EUは1998年9月にGE食品のラベリング義務付けを採決、同じくオーストラリアでは2000年7月、200年に採用、2001年に発効した。またロシアは2000年、同年韓国、台湾と続々法令化した。
知識層は、GM食品のラベリングに関し、いずれ米国は諸外国に遅れをとり孤立すると懸念を表している。
数十年後に我々や子孫に降りかかるかもしれない食糧危機。食料枯渇かGM技術かという二者択一の極みに人類は立たされようとしている。すでにGMが食卓に入り込み、もはや我々や子孫の身体でその安全性を検証をしていかざるを得ない状況にあるとしても、ともあれ明確な安全性データの開示が望まれる。
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