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米国食品医薬品局(FDA)、有害ハーブ・成分をリストアップ

先頃、米食品医薬品局(FDA)は有害事象を起こす危険性のあるハーブ・成分を挙げ、何らかの措置を至急講じる必要があると勧告。アリストロキア酸、ビターオレンジといったダイエット成分を筆頭に挙げた。昨年3月、米国でエフェドラ配合のダイエット剤を摂取したメジャーリーガーが死亡したことから、今年4月12日には、遂に米国内でエフェドラ製品の販売禁止の最終決定が下されたが、同類のダイエット成分についても引き続き監視の目を注いでいる。

アリストロキア酸、アメリカやカナダで副作用報告

アリストロキア酸は主に、アリストロキア属の植物に含有される成分で、腎障害を起こすことが指摘されている。
2000年5月16日、FDAはサプリメントの製造および販売会社に、アリストロキア酸配合サプリメントの販売に関する警告を記した書簡を送付。
その後、米国でアリストロキア酸配合製品の使用が原因と見られる重篤な腎不全が2件報告されたことから、2001年4月、FDAはアリストロキア酸配合製品の使用を止めるよう消費者に勧告している。

米食品医薬品局(FDA)が有害事象を起こす危険性のあるものとしてリストアップしたハーブ・成分は下記の通り。

  • 絶対的に危険
     ・アリストロキア酸:がん、腎臓不全を引き起こ
      すことが研究で指摘。

  • 危険度大(諸外国では禁止、有害事象
      報告あり)

     ・コンフリー:肝臓機能障害。
     ・チャパラル:肝臓機能障害。
     ・ジャーマンダー:肝臓機能障害。
     ・カバ:肝臓機能障害。

  • やや危険性(有害事象報告あり)
     ・ビターオレンジ:血圧上昇、心臓不整脈、
      心臓発作、卒中など。
     ・ロベリア:呼吸困難、心拍数増加など。
     ・ペニーロイヤル・オイル:肝臓、腎臓不全、
      神経損傷など。
     ・スカルキャップ:肝臓損傷。
     ・ヨヒンベ:血圧変化、心拍の乱れ、心臓発作。

    ※現在、規制の対象にはなっているわけではありません。

    アリストロキア酸、アメリカやカナダで副作用報告

    アリストロキア酸は主に、アリストロキア属の植物に含有される成分で、腎障害を起こすことが指摘されている。2000年5月16日、FDAはサプリメントの製造および販売会社に、アリストロキア酸配合サプリメントの販売に関する警告を記した書簡を送付。その後、米国でアリストロキア酸配合製品の使用が原因と見られる重篤な腎不全が2件報告されたことから、2001年4月、FDAはアリストロキア酸配合製品の使用を止めるよう消費者に勧告している。

    この他、カナダでも、1999年に政府機関が医師の指導無くアリストロキア酸配合サプリメント製品を使用しないよう消費者に向けた警告を発している。それまで、同成分配合サプリメント使用による副作用報告は少なくとも14件各政府機関に寄せられていた。

    ビターオレンジ、活性成分のSynephrineがエフェドラと似た作用

    ビターオレンジ(Citrus aurantium L. subsp. Aurantium)はハーブティーなどにより、消化を促進するなどの目的で古くから使われてきた。皮は香料としてオレンジマーマレードやキャンディー、ガムなどに添加されている。脂肪燃焼を促進し食欲を抑制する働きを行うと考えられ、多くのダイエット 製品の成分として使用されている。その活性成分であるSynephrineはエフェドラと似た作用で、体重を減少させるといわれる。

    これまでに指摘されている副作用としては、日光による皮膚過敏性がある。また、ヒトの肝臓の解毒作用を助ける酵素、シトクロムP450 3A(CYP3A)の働きを阻害するとされ、特定の薬剤の代謝に影響を与えることが指摘されている。

    ただし、ダイエット効果については、これまでに太り過ぎの被験者23人を対象にしたある研究では、被験者にビターオレンジ(975mg)、カフェイン(525mg)、セント・ジョンズワート(900mg)を6週間併用させたところ、対照グループと比べ、目立って体重が減少したという報告もある。その際、心拍数増加や血圧上昇などの副作用は見られなかったという。

    この他、リストアップされていないが、やはりダイエット製品に配合されるウスニン酸が問題視されている。ウスニン酸は、地衣類植物の抽出物で、抗バクテリア作用があるとして古くから民間療法に使用されてきた。しかしながら、一方で、ウスニン酸配合のダイエット製品を使用して肝臓障害を起こすという副作用が報告されている。

    3月26日付のCNNによると、ワイオミング州で300頭以上のヘラジカがエサを食べなくなり体が弱っているが、この原因としてタンブルウィードに含まれるウスニン酸が疑われているという。

    コンフリー、2003年カナダでも使用中止を勧告

    また、コンフリー、チャパラル、カバなどで肝臓機能障害が報告されている。

    コンフリーは日本でもよく知られたハーブだが、FDAは、肝機能傷害をもたらすおそれがあるとして、2001年、サプリメント製造業者に、コンフリー配合製品を市場から除去するよう勧告している。

    同ハーブは、1980年代に入り、成分のpyrrolizidine alkaloidに肝毒性および発がん性があるという研究報告が相次いで発表されている。カナダでも2003年12月には、政府関連機関が消費者に対してコンフリーおよびその配合サプリメントの使用を中止するよう勧告している。

    チャパラルは、民間療法として、長い使用の歴史があり、その有効性から米国がんセンターなども研究に乗り出すが、1992年に、チャパラルを含有する製品の使用で肝臓を中心とする障害報告が5件出たことから、ハーブ産業界およびFDAは1993年、業界や消費者に対しチャパラルが健康被害を及ぼす可能性があるという警告を発している。

    ロベリアは、ホメオパシー療法の薬草として使用されるなど、古くから重要な薬草としての位置付けにあるが、FDAによると、ロベリアの活性成分であるアルカロイドは薬剤と同じ作用を行うため、ロベリアを含むサプリメント使用により数件の有害事象報告がされているという。

    ロベリアは用量によって、自律神経系に影響を与えるとされ、少量であれば、気管支の拡張や呼吸率を改善するが、多量に使用すると発汗、心拍数の急激な増加、高血圧を引き起こし、最悪の場合意識不明や死に至る恐れもあるといわれる。

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