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大腸こそが、病気の発信源〜市民講座「腸内宇宙と健康」
7月4日、昭和女子大グリーンホール(東京都世田谷区)で市民講座「腸内宇宙と健康」が開催された。当日、辨野義己氏(理化学研究所・微生物機能解析室室長)が腸内細菌と健康との関係について講演した。
「大腸は病気の発信源、ここをいかにコントロールするかが健康を守る近道」----。
近年、腸内細菌の遺伝子解析が進められており、「21世紀、新しい腸内細菌の研究がはじまっている。腸内細菌の扉を開けることにより初めて私達の身体に良い食べ物が出てくるかもしれない」と辨野氏はいう。
痴呆症、腸内環境の整備とも関連
腸内細菌に最も大きな影響を与える要因は、ストレス、食事、老化の3つ。これらに留意しつつ、腸内細菌叢を良好に保つことが疾患を寄せ付けない近道、と辨野氏はいう。
近年、日本でも肉や乳製品など欧米型の食生活が若い女性の間で浸透しているが、こうした食生活は腸内で有害菌を増やし、腸内環境を悪化させ、結腸がんなどのリスクを高めるとされる。
エール大学の研究グループが、食道/胃がん患者1,000人と健常者700人に食生活についての聞き取り調査を行ったところ、動物性脂肪の摂取で、食道がんの危険性が2倍になることがわかったという報告もある(Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention'01/10月号)。
腸内環境を良好に保ちガン化を防止する
では、腸内有用菌を増やし、腸内環境を良好を増やすにはどうすればいいのか。日頃の食事においては、果物や野菜、未精製穀類など食物繊維が豊富な食品、また発酵食品を摂ることで有用菌が増殖、ガン化防止へとつながる。
また、ハーバード大学の研究グループが行った1976年開始の看護婦調査で、30歳から55歳の8万326人を対象にした調査結果を分析した。被験者は、1980、1984、1986、1990年に食に関する調査を受けた。その結果、野菜の摂取量が最高のグループは最低のグループと比べ、がんの危険性が23%低かったことが分かったという報告もある。
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