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新感染症時代到来〜SARS治療効果謳うネット販売に監視強化 新世紀に人類が遭遇した新型肺炎SARSは世界で死者772人(6月4日現在)を数えるも、感染拡大は鎮静化へと向かいつつある。そうした中、SARSへの不安をあおり、科学的根拠が不明にも関わらずSARS防止に有効であると宣伝し、健康食品や医療器具などをインターネットを通して販売する業者に対し、米国では連邦取引委員会(FTC)、食品医薬品局(FDA)が警告、摘発に乗り出している。
改善が見られない場合、法的措置を講じる旨の警告状も
新型肺炎SARSの拡大が深刻化する中、FTCおよびFDAはOntario Ministry of Consumer and Business Servicesの協力を得て、科学的根拠の無い製品が新型肺炎、SARSの予防、治療に有効だと宣伝するウェブサイトを探し出し、その管理者に対して誤解を招くまたは虚偽の宣伝を排除するよう警告を発している。 これまでのところ、FTCはSARS治療・予防関連製品を宣伝・販売する幾つかのウェブサイトを発見しているが、これらのサイトに対し「SARSなど疾患の予防・治療に有効性ありと宣伝するためには、その理由を科学的に証明する研究報告の提出が必要。それがなされない場合、製品名、サイト名などの手段を使い宣伝することは違法」とし、改善が見られない場合、法的措置を講じる旨の警告状を発するという。 「SARSを予防、治療、治癒する」という文言、捜査・摘発の対象に
製品の宣伝コピーで、「SARSを予防、治療、治癒する」という文言が含まれている場合、当事者は連邦または州の捜査・摘発の対象となる。連邦取引委員会法の違反者は連邦地方裁判所に提訴され、刑事あるいは民事で裁判を受ける。民事で有罪となった場合、最高1万1千ドルの罰金が課せられる。販売元は顧客に対し返金を求められる。 FTC関係者は「これまでのところ、SARSへの有効な治療法、および予防法は発見されていない。従って、科学的根拠も無く、製品を販売するため“SARSの治療・予防に効果がある”と宣伝するのは違法行為である」と述べている。また、消費者に対しても、「“SARSを治療・治癒する錠剤、またはウィルスを殺菌、除菌できる空気清浄器”という宣伝で販売される製品に出会ったら、まず疑って欲しい」と呼びかけている。 FDAでも、Better Immunity BETA 1.3/1.6 GLUCANを販売するテキサス州のYoung Again Nutrients社に対して、同製品販売の際、「免疫システムを強めて、あらゆる感染性疾患、今ではSARSも撃退できる」という内容の宣伝を行ったことは違法であり、ただちに修正を求める旨を記した警告状を送付している。 米国健康食品業界関連団体も不正行為排除に乗り出す FTC、FDAの取り組みの他に、SARSを利用した不正行為を排除しようと、ハーブ製品・ダイエタリーサプリメント産業を代表するAmerican Herbal Products Association (AHPA)、Consumer Healthcare Products Association(CHPA)、Council for Responsible Nutrition(CRN)、National Nutritional Foods Association(NNFA)、Utah Natural Products Alliance(UNPA)も団結して、次のような勧告を発表している。
“ダイエタリーサプリメント産業は新型肺炎SARSに関する公衆の懸念、また世界中に脅威をもたらす疾患を防ぎたいという気持ちを重大に受け止めている。私たちは、ビタミン、ミネラル、ハーブなどの栄養補助食品の販売・使用を支援するものではあるが、SARSを予防・治療できると証明されたダイエタリーサプリメントはまだ無いと考えている。
さらに、CRNなども独自に「消費者に高品質で安全なダイエタリーサプリメント製品を薦めるため、FDAおよびFTCの規制に全面的な協力を惜しまない」というプレスリリースを発表している。 ※ダイエタリー・サプリメント:ハーブ、栄養補助食品などの健康食品、米国では一般的にdietary(食物の) saplimentと呼ぶ。
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