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血糖値の上昇率、個人でかなりの差
〜「糖化は老化」、エイジングケアの最前線

2019年9月9日(月)〜11日(水)、東京ビッグサイトで「第18回ダイエット&ビューティーフェア」が開催された。同展示会セミナーより八木雅之氏(同志社大学 生命医科学部糖化ストレス研究センター)の講演「糖化は老化の最前線」を取り上げる。

「酸化=錆び」に対し「糖化=焦げ」

2016年、NHKの番組で「血糖値スパイク」が取り上げられた。その後、日本でロカボ・糖質オフといった糖質制限関連市場が急速に拡大していった。

2017年には「糖化」がメディアで頻繁に取り上げられ、2018年には「医者が教える食事術」や「老けない人はこれを食べている」など糖化対策の書籍がベストセラーとなった。

今年2019年、「糖化」の最前線はどのような状況なのか。

ある調査によると「糖化」の認知度は55%を超えているという。
現在、「糖化=AGEs」は十分認知され、性別年代を問わず、さまざまな健康雑誌や週刊誌などで取り上げられている。

マスコミは、糖化を「酸化=錆び」に対し「焦げ」と説き、糖化のイメージが定着しつつある。

体の糖化により、シミやシワ、たるみといった美容面でのダメージが起こるだけでなく、動脈硬化を中心とした炎症、不妊症や認知症などさまざまな疾病の原因にもなることも知られている。

「糖化」と不妊の関係

私たちが「食べることで生きる」動物である以上、糖化を完全に避けることはできないが、「食べ方」で糖化を極力抑制する方法の研究も進んでいる。

例えば、「不溶性食物繊維」と一緒に摂ると、食品中に含まれるAGEsは便で排出されることが分かっている。

さらに、AGEsは老化の原因物質で、体に悪いとされてきたが、最新の研究ではAGEsの受容体であるRAGE(レージ)は、愛情を豊かにするオキシトシンの発揮に関わる重要な分子であることも明らかになっている。

とはいえ、糖化が進んでいる人ほど体内で炎症や細胞変性が進んでいるのは確かで、見た目の老化、糖尿病やその合併症、不妊症、認知症のリスクも確実に高くなっているため、何らかの対策を講じるべきである。

例えば、卵巣機能障害を起こしている人の血中AGEsはそうでない人に比べて2〜4倍高い。

また近年、不妊の原因の半分は男性にあるとされるが、健康な男性の精子にはAGEsは存在しないが、不健康な男性や運動量の低い精子にはAGEsが存在し、不妊との関わりの可能性が明らかになってきている。

血糖値の上昇率にかなりの個人差

病気の予防やエイジングケアのためにも「糖化対策」は行うべきと、八木氏は言う。そのために必要な以下の3点を掲げる。

1.生活習慣を見直し改善する
2.自分の血糖値のパターンを知る
3.AGEsの蓄積を抑制する食べ方

1、「生活習慣を見直し改善する」〜喫煙、飲酒(週に3日以上)、睡眠不足(6時間を切る)でAGEsの蓄積が進むことが分かってきた。禁煙をし、休肝日を週に4日作り、1日7時間以上寝ることはAGEsの蓄積予防になる。

2、「自分の血糖値のパターンを知る」〜糖質カットやロカボなどさまざまな糖化対策の食品や食事方法が提唱されているが、血糖値の上昇率にかなりの個人差がある。

おにぎり1つ食べても血糖値が全く上がらない人もいれば、爆発的に上がる人もいる。血糖値は非常にパーソナルなものであることが分かってきた。

そのため、市販の血糖値計測キットなどを使用し、まずは自身の血糖値の変動パターンを把握することが大切。それにより、自身に必要な糖質カットや食事法が見えてくる。将来的には体温計のように簡単に血糖値が測定できることが望ましい。

3、「AGEsの蓄積を抑制する食べ方」〜食物繊維や血糖値の上昇を抑える食品を摂る。

例えば、「おにぎりとサラダチキン」といった食べ合わせや、「食前のヨーグルト摂取」といった食べ方のテクニックでも血糖値の上昇が抑制できる。

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