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プロポリスに認知症改善作用、マウス実験で明らかに
〜認知症の薬、効果無く開発も進まない現状

2017年11月10日(金)、わなびば333(東京都中央区)で、新田淳美教授(富山大学大学院医学薬学研究部 薬物治療学研究室)が、認知症に対するプロポリスの2年間に渡るマウス実験の研究成果を報告した。超高齢化社会を迎え、認知症患者の増加が懸念されることから、予防素材としての期待が高まる。

認知症の薬剤、効果無く開発も進まず

当日、新田教授は、「プロポリスのミセル化抽出物を有効成分とする認知機能改善剤の研究成果」と題して講演。研究では、ミセル化抽出プロポリスの『エスタプロント』(日本プロポリス社製)を用い、マウス実験により、認知症の改善効果を検証した。

超高齢化社会の到来により、日本では、2025年には3人に1人が65歳以上になるといわれている。懸念されているのが、がんや認知症など高齢化に伴い増加する疾患である。

認知症の発症要因としては、脳内におけるアミロイドβ蛋白質の増加が有力視されている。この物質は、加齢とともに脳内に蓄積され、神経細胞にダメージを与える。

ちなみに、日本におけるアルツハイマー病患者は462万人を超えるといわれるが、アルツハイマー病は、脳内の神経伝達物質である、アセチルコリンが無くなることで生じるものと考えられている。

現在、アルツハイマー病の薬は、世界で4つ承認されている。そのうちの3つが、アセチルコリンが無くなるのを防ぐ薬だが、完全に症状が出た人にだけしか投与できないことになっていると、新田教授。

また、人へのワクチン投与の臨床試験も行っているが、副作用等が多く、薬の開発は遅々として進まず、症状を少し抑える程度で、完全に治す力は無い。初期の症状には効くが、進んだ認知症には効かないという。

発症前にプロポリスによる予防が期待

今後の超高齢化社会の考えた時、まずは認知症の予防に取り組む必要があり、「認知症が起こる前に、何か日々摂れる食べ物や健康食品で神経細胞を補うことが出来れば非常に良い」(同氏)と考え、プロポリスの研究に着手したという。

研究では、NMDAというグルタミン酸受容体を阻害するモデルマウスで試験を行った。軽い認知症のモデルマウスに、2週間、MK-801という受容体を阻害する薬を朝晩投与し、認知症ができるかどうか検証した。

MK-801のグルタミン受容体阻害によりマウスに短期記憶障害が生じるが、これを1日2回、人が飲む倍くらいの量を投与したところ、プロポリスを投与しておくとそれが改善されることが分かった。

新規物体認知やY迷路試験において、MK-801投与でマウスの認知機能は半減するが、プロポリスを投与すると完全に普通の状態と同程度に戻ったという。

また、水抽出プロポリスとミセル化抽出のプロポリスとの比較試験で、マウスにアセチルコリンの阻害剤である、スコポラミンを投与した。

こうした阻害剤投与により、新規物体認知試験では、6割くらい認知機能が落ちるが、ミセル化抽出のプロポリスの投与ではそれが少し戻った。しかし、水抽出物プロポリスでは戻らなかったという。

ミセル化プロポリスの内容物の一部がアルツハイマー病を防ぐということも他の学会でも発表されているが、「今回のミセル化抽出プロポリスの試験で感激のデータが得られた。アミロイド蛋白の病症や沈着をプロポリスで防ぐことができるかも知れない。今後は、こうしたアルツハイマー病に特化して研究を続けていきたい」と、新田教授はまとめた。

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