消費者庁に届出の機能性表示食品、1割が見解不一致
シンポジウムでは、 一般社団法人 消費者市民社会をつくる会ASCON代表の阿南 久氏が「機能性表示食品の選択と利活用-真に役立つモノにするために」と題して講演した。
阿南氏は元消費者庁の長官で、2014年よりASCONの代表を務めている。ASCONでは消費者が「消費力」を高めるための教育や啓発事業を推進している。
ASCONでは、2015年10月に「ASCON科学者委員会」を設け、機能性表示食品を中心とした健康食品を独自の基準で評価している。
同委員会で、2016年に消費者庁に届出された170品の機能性表示食品の科学的根拠についての評価を行った。
評価は、A.十分に科学的根拠がある、B.かなりの科学的根拠がある、C.ある程度の科学的根拠がある、D.見解不一致(科学的根拠に達するための追加資料が必要)という4段階。
結果、A評価は31製品、B評価は76製品、C評価は42製品、D評価は16製品となった。見解不一致は170製品のうちの1割に相当したという。
ロボット検索システムでネット上での虚偽誇大広告を監視
機能性表示食品が誕生した背景には、年々高騰する医療費の削減ということもある。しかし、かといって誇大な機能性表示が許されるはずもなく、一方でネット上での監視も強化の方向にある。
AIによるロボット検索システムでのネット上での虚偽誇大広告の監視では、がんや動脈硬化など疾病の治療や予防の表現が含まれるもの、また
ダイエットや発毛など容貌を変えるような表現の規制を強めているという。
ちなみに、平成27年度ではネット監視により501商品が改善要請を受けたという。
消費者庁などの国の機関だけでなく、ASCONのような市民団体も健康食品産業に目を光らせているのが現状だが、こうした監視体制により安全・安心な製品の流通が望まれる。