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機能性表示食品の現状、認可受理がペースダウン 2017年2月15〜17日、東京ビッグサイトで「健康博覧会2017」が開催された。同展示会セミナーで、薬事法ドットコムが機能性表示食品の届出の現状について報告した。
認められない領域がより明確に
現在、機能性表示食品の受理件数は700件を越えているが、ここにきて118件と、ややペースダウンしている。 薬事法ドットコムによると、消費者庁の受理が厳しくなっており、より正確でより細かい届出が必要になっているという。 とくに昨年11月以降、新たな機能性表示は追加されておらず、全て先例のあるものばかり。新たに加わったものとしては以下のもので、新規成分については審査が厳しくなっている印象があるという。
「アスパラガス由来含プロリン-3-アルキルジケトピペラジン(睡眠)」 これについて、消費者庁で、エビデンスの有無にかかわらず、「認めない」領域がより明確になってきている、さらにその領域が拡大化しているからではないか、という。 ちなみに、美肌系で「シミ、シワ、くすみ、弾力」などの表示はエビデンスがあっても、健康増進ではないため認められていない。
例えば、「皮膚、爪、髪が丈夫で美しくなる」といったもの。 ダイエットも同様で、「高めの内臓脂肪を減らす」という表示は健康目的で認められているが、一般の人が痩せる、といった内容になると認められていない。 例えば、「朝食べれば夕食までの摂取カロリーを抑える」といったもの。 こうした、美容系やダイエット系など、認められない領域がより明確になってきており、制度のスタート時よりも受理の許容範囲が狭くなっているようだという。 サプリメント市場、機能性表示制度が追い風に ここ数年来、高齢化人口の増加もあって、「健康寿命」への意識が高まり、健康に寄与する食品への国民のニーズが高まっている。 こうした社会背景のもと、2015年4月に機能性表示食品制度がスタートし、6月には第一号商品が発売された。ちなみに、日本の機能性表示食品制度は1994年、アメリカの元大統領ビル・クリントンの政権下に施行されたDSHEA法(栄養補助食品健康教育法)を参考にしたものである。 当時のアメリカは年々高騰する医療費に悩まされていた。そこで、従来の正統派西洋医療の代わりとなる、漢方やカイロプラクティック、アロマテラピー、栄養療法などの代替医療に着目。 これによる医療費削減を目指し、大規模な予算をNIH(米国立衛生研究所)を中心とした機関に投じ、代替医療の有用性の検証に努めた。 そうした中で、ガーリック、ジンセン(高麗人参)、セント・ジョンズワートなどのハーブサプリメントが注目され、DSHEA法施行後、米国健康食品市場は毎年2ケタ台の伸びを示した。 DSHEA法では、特定の疾患の治療や予防を示す表記はNGだが、健康に寄与するという科学的論拠が明確であれば、ラベルへの記載が許可された。 製造業者は、表示の正当性を裏付ける科学的根拠をFDAに通知する義務はなく、発売後30日以内に商品名や成分内容を明記したものをFDAに届出することが義務付けられた。 1994年の施行から20年、DSHEA法は幾度かの修正を余儀なくさせられたが、米国健康食品市場は、機能性表示による追い風で、総じて好況にあったのは事実である。 機能性表示食品の市場規模1,000億円超えに 日本でも、機能性表示制度の施行により、米国の健康食品市場のような好況がもたらされることが予想される。 機能性表示食品には生鮮食品も含まれることもあり、昨年機能性食品市場は300億円を超えた。2016年の機能性表示食品の市場規模は1,000億円超え、前年比327%と予測されている。 機能性表示食品の商品数も1000以上になり、健康食品市場で17.9%を占める存在になっている。 機能性表示制度により、これまで表示できなかった効果・効能が新たに表示可能となったとなったのは、以下のようなもの。
「内臓脂肪をはじめとし体脂肪を減らす機能がある」 ただし、明らかに疾病の予防に当たる表現はNGである。すなわち以下のようなものだ。
「動脈硬化を防ぐ」 また、健康の維持や増進の範疇にないももダメである。以下のようなもの。
「皮膚、爪、髪が丈夫で美しくなる」 日本はこれまでに類のない急速な高齢化社会を迎えている。2015年に団塊の世代が65歳以上になり、さらに10年後には3人に一人が高齢者になるといわれている。 そうした中、有用な機能性食品の役割が期待されている。適正な表示による制度運営で国民の健康作りに寄与していただきたいものである。
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