バックナンバー > 03/4月記事
痴呆予防講演会「最近の痴呆予防の取り組み」 4月17日、都老人総合研究所(東京都板橋区)で、痴呆予防講演会「ちょっと気になるもの忘れ〜最近の痴呆予防の取り組み」が開催された。超高齢化時代を迎え、痴呆症対策が急務となっている。食生活との関連はどうなのか。
脳のシミ、「アミロイドβ蛋白」説が有力
加齢とともに脳内に蓄積され、脳のシミにも例えられる老人斑。この老人斑の構成成分であるアミロイドβ蛋白質こそ、痴呆症の一つ、アルツハイマー病の発症要因であるとみられている。 脳の神経細胞で作られる蛋白質(アミロイド前駆体蛋白質)は蛋白質分解酵素で切断され、アミロイドβ蛋白質となる。アミロイドβ蛋白質は凝集性が強く、老人斑を形成する。そして、その強い毒性で神経細胞にダメージを与え、アルツハイマー病を発症させるという。現在、痴呆症治療には、この「アミロイドβ蛋白」説に基づいた薬物治療が試みられている。 抑うつ、いらいら、不眠などアルツハイマー症の周辺症状
講演では、アルツハイマー症の兆候などが挙げられた。主なものとしては以下のようなもの。
また、周辺症状として、 飽和脂肪、トランス脂肪の摂取との関連も指摘 加齢に伴い、脳内にアミロイドβ蛋白質による老人斑が形成されることで、アルツハイマー症が発症するという。日頃の食生活との関連はどうなのか。 最近の研究では、ニューヨークの研究者が、最低65歳で痴呆の徴候がない815人の食生活調査を行った(期間中に131人がアルツハイマー病を発症)ところ、飽和脂肪を最も多く摂ったグループは最も少なかったグループに比べ、アルツハイマー病の危険性が2倍高くなったと報告している。またトランス脂肪を多く摂ったグループもリスクが2倍以上になっていたという(Neurology'03/2月号)。 この他、オランダの研究グループが、85歳の男女561人の調査で、血中のHDL(善玉)コレステロール濃度が最も低いグループは高いグループに比べ、痴呆の危険性が2倍以上高いことが分かったとも報告している。 痴呆症は、もはや老人病ではない
ところで、痴呆症=老人病ではなくなりつつある。米国をはじめ、日本でも、若年性の痴呆症が問題になりつつある。 現在、米国ではアルツハイマー病患者は推定約400万人。そのうち、5%から10%が65歳以下の若年性アルツハイマー症といわれる。2050年にはアルツハイマー病患者は1400万人に膨れ上がり、若年性は15%近くに達するものと予測されている。 若年性のそれは、遺伝子DNAの異常に原因があるためとみられているが、老人性より痴呆の進行が早く、数年のうちに重症となり、診断から10年以内に亡くなるケースもあるといわれる。
|
Copyright(C)GRAPHIC ARTS CO.,LTD. All rights reserved.
|