最近の報告では、免疫力のアップや運動機能の向上にオメガ3脂肪酸の果たす役割が報告されている。
British Journal of Nutrition誌2015.6月号によると、魚油摂取とエクササイズは高齢女性の免疫強化に有益であるという。

Parana Federal Universityなどの研究チームが、平均年齢64歳の女性45人を対象に、1）90日間体力トレーニング、2）90日間体力トレーニング＋フィッシュオイル（2g/日）又はフィッシュオイル60日間後の体力トレーニング、3）90日間フィッシュオイルの3グループに分けた。

体力トレーニングは、週3回の腰、脚、膝、足のエクササイズで、被験者の免疫パラメータを測定した。その結果、フィッシュオイル摂取後は、細胞性免疫を活性化するサイトカインIL2およびIFN-ｇ値がそれぞれ80％、60％増加。また、トレーニング＋フィッシュオイル摂取後は、それぞれ85％、88％増加したという。

また、European Journal of Sport Science誌2015.5月号では、オメガ3脂肪酸が自転車競技アスリートの能力向上に役立つと報じている。

Academy of Physical Education、Medical University of Silesia研究チームが、一流自転車競技選手13人を対象に、オメガ3脂肪酸（1.3g/日）投与群、プラセボ投与群のどちらかに分けた。

3週間、血中の一酸化窒素（NO）濃度を測定したところ、オメガ3脂肪酸投与群では、NO値が平均13.9mmlから23.5mmlに有意に増大したことが分かったという。NOは、血管内皮細胞が血管を拡張させるための作動物質と考えられている。

4万世帯調査、大人の3割が代替療法を利用

今、米国ではこうしたオメガ3脂肪酸に代表されるような栄養素の機能性の研究が盛んに行われている。
米国では年々高騰する医療費に対し、国民の間で、90年代より従来の正統派西洋医療による治療以外に有用なオルタナティブメディスン（代替医療）を求める動きが活発化する。

漢方、鍼灸、カイロプラクティクス、手技（マッサージ）、ハーブサプリメント、アロマテラピー、催眠療法などの代替医療の有用性の検証に政府も多大な予算を計上した。

こうした代替療法の中でも、とくに人気が高かったのが、手軽にでき、副作用の心配もない栄養療法である。

米国では90年に入ると、国立がん研のDr.ピアソンが、「デザイナーフーズ計画」を立ち上げ、ニンニク、ブロッコリーなどをがん予防に有用な食品として掲げ、以降、次第に栄養成分の機能性の認知が国民の間に浸透していく。

そうした栄養療法による代替療法で国民に支持されたのがハーブやサプリメントであった。

今年2月に、米国における代替療法の利用状況が発表された。これは、2012年版National Health Interview Surveyを基にしたもので、米国疾病管理予防センター（CDC）の付属機関であるNational Center for Health Statistics (NCHS) が調査したもの。

調査は、全米の約4万世帯を対象にしたもので、報告書によると、18歳以上の大人で代替医療の利用者は33.2％。つまり、3人にひとりが何らかの代替医療を利用している。ちなみに、4歳から17歳までの子供の代替療法利用は11.6％という。

このうち、最も利用者が多いのが、サプリメントによる栄養療法で、大人の利用者は17.7％であった。（ビタミン・ミネラルを除く）

サプリメントで最も利用されているのが、魚油で総人口の7.8％（1880万人）、2007年と比べると利用者は約800万人増加している。

次いで、グルコサミンとコンドロイチンの2.6％（650万人）。2007年と比べると利用者は78万6000人の減少。次いで、プロバイオティクス・プレバイオティクスの1.6％（390万人）。2007年に比べると利用者は約300万人増加している。

米国で魚油人気は高まる一方だが、そうした背景には、高齢者の増加により、脳や目、あるいは運動機能の対応素材としての期待が大きいことがうかがえる。