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アレルギー克服に向けて〜「第9回アレルギー週間中央講演会」

2月16日、朝日生命ホール(東京都新宿区)で「ぜん息を含むアレルギー疾患を考える」をテーマに「第9回アレルギー週間中央講演会」が開催された。国民の30%以上が何らかのアレルギーを持つといわれる中、果たして抜本的な解決法とは。

今春、世界でも最大規模の「アレルギー総合研究所」設立

花粉症にぜん息、そしてアレルギー・アトピー性皮膚炎。日本人の3人に一人が罹患しているといわれるアレルギー疾患。糖尿病と並び、国民病とも称され、今後もさらに罹患人口の増加が予測される。

冒頭、(財)日本アレルギー協会会長の奥田稔氏が挨拶に立ち、インフォームドコンセント(患者の納得を得て治療にあたること)は何かについて、ハーバード大学の医師作りの指針を例えに、「患者が最良の治療を選択できるよう情報公開を行う必要がある」と述べた。

次いで、衆議院議員の亀井善之氏が、「平成7年より国会議員が60人ほど集まり、花粉症などアレルギー疾患の対策のために「はくしょん議員連盟」を発足した。当時2億8千万ほどの予算だったが、現在はアレルギー疾患の改善のために70億を超える予算を組むまでに至っている」と述べた。

また、「免疫・アレルギー科学総合研究所」を今年の春に横浜市鶴見区に開設する予定で、「19チーム、153名の研究員により、世界でも最大の研究センターになるのではないか。アレルギー関係の抜本的な治療法を5年以内にそこで開発していただきたい」と抱負を語った。

アレルギー克服のために、より統合的な治療を

アレルギー疾患は10年毎に20-50%の率で増加しているといわれる。また、アレルギー児童はこの10年ほどの間に2倍に増えたともいわれる。

アレルギー疾患は、花粉や家ダニ、大気汚染、ストレス、食生活やライフスタイルの変化などさまざまな要因が複合的に作用していることが指摘されている。

抗ヒスタミン薬やステロイド薬など抗アレルギー薬の開発も進み、症状のコントロールが可能になったといわれるものの、未だ発症要因が確定できず、根治に至るまで忍耐を要する。この疾患のやっかいなところでもある。

アレルギー対策のために計上されるという膨大な予算、なによりも世界でも最大規模といわれる「アレルギー総合研究所」の設立が、この疾患の克服がいかに困難であるかということを物語っている。

一方で、適切な治療をめぐってさまざまな議論が噴出している。ステロイド剤による長期治療の是非が問われ、それに替わる代替治療はとかくアトピー商法と揶揄されがちだ。

患者サイドからすれば、どちらでも、治癒がもたらされる治療がベストな療法であろう。今後、疾患要因の適切な解読と、より統合的な治療の開発が望まれる。

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