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増加する「送りつけ商法」、健康食品の信頼性が毀損
苦情相談の90%以上が60歳以上の高齢者

「以前、お申し込みいただいた健康食品をこれから送ります」。こうした身に覚えのない業者からの電話による送りつけ商法(ネガティブ・オプション)が社会問題化している。商材として健康食品が使わるケースが多く、健康食品を扱う多くの業者が信頼性の毀損で被害をこうむっている。

無神経な報道も社会悪、「送りつけ」商法と同レベル

7月23日(火)、東京TVの番組「ガイアの夜明け」で、『高齢者を狙う・・・サギと闘う』と題して、健康食品の送りつけ商法の現状を放映した。

この中で、俳優の江口洋介が送りつけ業者に扮してお年寄りに電話をかけるシーンがある。
こんなふうだ。「もしもし、ご注文いただいた健康食品、準備が整いましたので、送らせていただきますね。頼んでない。おばあちゃん、忘れちゃったのかな〜。先月注文されたでしょう。ほら、ほら高麗人参入りの健康食品、2セットで5万円ですよ。おばあちゃん、あんたがね、注文した時の電話、全部録音してあるんですからね」。

さらに、高圧的な口調で続く。「なんなら、録音したテープを持ってお宅にうかがいましょうか。もしもし、聞こえてる、おばあちゃん。お金払うつもりがないなら、裁判所に行って訴えますよ。どうしますか。わかってくれますか。ではすぐ商品を送りますから。代金引換で5万円ちゃんと払ってくださいね。」

この後、番組では、「これは実際にあった悪徳業者の手口を再現したものです。注文した覚えもない商品が自宅に届き、支払いを要求される。送りつけ商法が最近増えているといいます」と続く。

番組では、高麗人参と具体的に商材名を挙げているが、こうした報道のありようは、「送りつけ商法」とは無関係の販売業者にとっては極めて迷惑な話である。

実際に、高麗人参が「送りつけ商法」で使われた事例があれば、加担した業者を番組で明示し、他の業者は無関係とするテロップを流すべきであろう。こうした配慮に欠けた無神経な報道は、「送りつけ商法」とは関わりの無い業者にとってみれば「報道テロ」以外の何物でもない。

さらにいえば、健康食品への信頼も毀損され、多くの企業が被害をこうむる。「社会悪」ということでいえば、このような報道のあり方も「送りつけ」商法を行っている輩と同レベルではないか。

2012年度の相談件数は14,274件、対前年比5.2 倍

「送りつけ商法」の相談で消費生活センターに寄せられた件数は、健康食品が最も多いとされる。国民生活センターによると、身に覚えのない電話で、健康食品が送られてきたという相談は2012年度で14,274件、対前年比5.2倍という(2013年5月20日現在)。

とくに高齢者を狙い、代金引換で商品が送られてくるケースが多く、相談件数を年代別でみると、最も多いのが70歳代で5,478件、次いで80歳代で4,820件、60歳代で2,225件となっている。相談件数の90%以上が60歳以上という状況だ。

超高齢化時代を迎え、今後こうした「送りつけ商法」による被害がさらに増えることが予測されるが、身に覚えがなければきっぱりと受け取りを拒否する、クーリング・オフで回避する、また最寄りの消費生活センターへ相談するなどの自衛が必要だ。

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