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「サーチュイン遺伝子の発現=長寿」説に疑問符 6月15日(土)、東京大学弥生講堂で、第44回東京大学農学部公開セミナー「健康を支える食の科学」が開催された。この中で、近年話題となっているサーチュイン遺伝子の発現が長寿につながるわけではないことが指摘された。
ゲノム情報は重要だが、あくまでスタートライン
高齢化時代を迎え、「若返り」「長寿」といったキーワードが国民的な関心事となっている。そうした中、赤ワインに 含まれるポリフェノールのレスベラトロールが近年注目されてきた。レスベラトロールが、長寿遺伝子といわれるサー チュイン遺伝子の活性化を促すとされているためだ。
ところが、ここにきて、この「サーチュイン遺伝子の発現=長寿」説が疑問視されている。
10年ほど前から、米国を中心にヒトゲノム解析の研究が進められ、ゲノムが解読されれば「その生物のことはすべて わかる」と考えられていた。しかし今では、その認識が間違いであることが常識となっている。 ゲノム情報は重要だが、あくまでスタートラインであり、「どの遺伝子が、いつ、どの場所でどれくらい使われるか」まで は、ゲノム解読では明らかにはならないという。 ただ、レスベラトロールによるサーチュイン遺伝子の活性化が直接、長寿につながらないとしても、この抗酸化成分のポリフェ ノールは健康に有益であることは間違いないようだ。 最近の報告では、レスベラトロールは肥満者の心臓の健康維持に有用であると、Journal of Hypertension誌5月号で 報じている。University of South Australia研究者グループが、肥満だが、健康に問題の無い成人被験者28人に、レス ベラトロールサプリメント(75mg/日)か、プラセボを6週間与えた。結果、血圧に変化は認められなかったが、血流が 23%改善したことが分かったという。
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