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食品の50℃湯洗、鮮度アップも酵素は失活 『週刊ポスト』2012.5.18号で、食感革命「50℃洗い」驚異のレシピと題し、肉や野菜などを50℃で洗うと見た目が活き活きすると謳っている。カラーグラビアで派手に鮮度アップを強調するが、食品に含まれる酵素は47.7℃で失活するといわれている。はたして、見た目のメリット以上に健康へのディメリットはないのか。
しなびた葉も驚くほど蘇った
記事では、冒頭で食品の50℃湯洗をこう紹介する。
さらにこのように続ける。 食品の酵素は熱に弱く、47.7度で失活 カラー写真で掲載された食品を見る限り、ビフォーと2分間の50℃湯洗のアフターでは後者のほうが鮮度アップが一目瞭然である。「食感革命」と謳うが、確かに食卓を預かる多くの主婦たちから支持を得られそうだ。しかし、ここで懸念されるのが食品に含まれる酵素の問題である。生体の恒常性維持に不可欠な食品の酵素は熱に弱い。47.7度で失活するといわれている。
記事では50℃の湯洗方法や効果をこう紹介する。 ローフード、食品の70%ほどを非加熱食品に
ところで近年、欧米で「ローフード」という食習慣が流行っているのをご存じだろうか。1900年代から欧米を中心に提唱されてきた食生活で、食品に含まれる酵素の生体への効用に着目、熱に弱い酵素を効果的に摂るため摂食の70%ほどを非加熱食品にするというものだ。加熱調理された食品は、酵素の効力が失活しているため、もはや「死んだ食物以外の何物でもない」とされている。
この酵素とはどのようなものか。人体中に3000ほど存在し、食物の消化吸収や体のさまざまな機能の円滑化に関係しているいわれている。例えば、酵素が不足すると、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をいくら摂ってもそれらを活かせない。生体での生化学反応を仲介するのが酵素の役目で、酵素が十分に働かなければ、体が健全に機能しなくなる。 20世紀前半までは、アメリカの動物園では人と同様に加熱調理した餌を動物に与えていたが、その頃は、動物に病気が多く死亡率が高かった。加熱調理した餌で、動物たちは心臓病、糖尿病、ガン、肝臓病など人と同じ病気を起こしていたという。しかしその後、生の餌の重要性が認識され、生の餌にしたことで病気を起こさなくなったという(参考文献:E.ハウエル著『医者も知らない酵素の力』中央アート出版刊)。 また、ネズミに加熱した餌を与えた場合、2年の生存だったが、生の餌だと寿命が3年だったという報告もある。生の餌だと寿命が30%ほど長くなるという。
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