HOME > バックナンバー > 10/2月記事
増える男性の肺がん、大豆イソフラボン摂取との関連 日本人のがん罹患は、男性は肺がん、女性は胃がんがトップという状況だ。厚生労働省研究班が大豆に多く含まれるイソフラボンと肺がんリスクとの関連を報告した。今回の研究で、喫煙習慣のない男性のみ、イソフラボンで肺がんの発生リスクが低下することが分かった。日本人は味噌や豆腐など伝統的に大豆食品を多く摂ることからサプリメントでのイソフラボンの過剰摂取が懸念されていた。
喫煙経験のない男性、イソフラボン摂取で肺がんリスクが低下
調査は、1995年-1998年に、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎などに居住の45〜74歳、男女約7万6千人を対象に、大豆に含まれるイソフラボンの摂取量と肺がん発生率との関連を調べた。
大豆イソフラボンについては、日本人は味噌や豆腐などの大豆製品を常食していることもあり、サプリメントでの過剰摂取が懸念されている。
研究では、アンケート調査で、イソフラボン(ゲニステイン)の1日当たりの摂取量で4グループに分け、肺がんの発生率を比べた。 また、女性は、喫煙経験のないグループは、イソフラボンの摂取量が増えるにつれて肺がんリスクに低下傾向がみられたが、統計学的に有意な結果ではなかったという。 これまでに、厚労省研究班は、大豆イソフラボンとの肝がんリスクの関連についても報告している。 研究では、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄、大阪に居住の40〜69歳の男女約2万人を対象に、1993年-2005年の12年間追跡した(期間中、男性69人、女性32人が肝がんを発症)。 結果、男性では、大豆イソフラボンと肝がんリスクに関連はみられなかったが、女性で、大豆イソフラボンを多く摂ったグループでは、ゲニステインで約3倍、ダイゼインで約4倍の肝がんリスクが示されたという。 もともと女性は男性と比べ、肝がんの発症率が少ないが、女性ホルモンのエストロゲンが肝がん予防の役割を果たしているためとみられ、動物実験や疫学研究でもそれが報告されている。イソフラボンは構造がエストロゲンに似ており、エストロゲンレベルが高い女性はエストロゲンを妨げる作用をする。 そのため、女性でイソフラボンを多く摂ると、肝がんに予防的なエストロゲン作用が妨げられ、リスクが高くなる可能性が考えられるという。 研究者らは、とくに肝炎ウイルスに感染している女性はイソフラボン摂取を控えた方がよい可能性が示されたという。ただ、症例数が少ないため、今後の研究での確認が必要としている。 コレステロール低下や骨粗しょう症、子宮がんのリスク低下などに有用 大豆イソフラボンについては、更年期障害や乳がん、骨粗しょう症など女性特有の疾患予防に有用であるとされ、米国で大豆ブームが起き、日本でも改めて大豆製品の有用性を認識させられる格好となった。 これまで欧米、特にアメリカの食生活で大豆はポピュラーではなかったが、乳がんなどアメリカでは死亡原因の上位を占める疾患がアジア諸国で少なく、その要因に大豆製品を多く食べる食生活の違いに研究者が注目したことから、大豆に含まれる成分が脚光を浴びるようになった。 女性は閉経期を過ぎると体内の性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下し、更年期障害といわれる症状が生じる。その際、ホルモン治療によりエストロゲンを補給し、症状緩和を図るが、頭痛、吐き気、膣の出血、胸部の衰えなどの副作用が生じることがある。大豆イソフラボンは、エストロゲンに化学構造に似ているため、ホルモン治療に代わるものとして期待されている。 イタリアで行われた研究で、104人の女性に、大豆イソフラボン76mgを含む大豆プロテイン、あるいは偽薬のどちらかを毎日12週間投与し続け、3週間経過したところ、大豆プロテイン・グループでは、更年期障害の一症状である「のぼせ」が26%、終了頃には45%の減少が見られたという。 骨粗しょう症に関する研究では、イリノイ大学研究グループが閉経期後の女性60人に、55.6mgから90mgの大豆イソフラボンを含む大豆栄養補助剤あるいは偽薬のどちらかを与えたところ、6ヶ月後、大豆グループに腰部の骨の密度並びにミネラル含有量の著しい増加が見られたと報告している。
また、豆腐、豆乳などに代表される大豆製品に含まれる植物性エストロゲンを多く摂ると、子宮がんの危険性が低下するという記事が、American Journal of Epidemiology誌に掲載されている。
|
. |
Copyright(C)GRAPHIC ARTS CO.,LTD. All rights reserved.
|