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【 サプリメントVS医薬品の相互(弊害)作用とは〜Aビタミン編 】

1990年代後半より米国で代替医療がブームになり、とくにサプリメント、ハーブによる栄養療法と西洋正当派医療による薬剤とを併用する患者が増えてきた。しかしながら、それらの相互(弊害)作用についての検証は十分に行われているわけではない。米国における代替医療の推進はもはや国策ともいえるもので、今後もサプリメントと医薬品との相互作用の検証は徹底して押し進められそうだ。今回、前回のミネラルに続き、米国でこれまでに報告されているビタミン間の、またビタミンと医薬品との併用による弊害を報告する。

▼ ビタミンC

ビタミンサプリメントの定番。栄養素の代謝から抗酸化作用まで、とにかくその働きをあげたら切りがない。ブドウ糖やアミノ酸の体内吸収を助けるほか、肌や骨を構成するコラーゲンの生成、維持にも欠かせない。

また、免疫力を上げて 風邪を防ぎ、抗酸化作用で動脈硬化やガンを予防し、コレステロール、血糖、血圧を正常に保ち、ストレスに対抗する副腎皮質ホルモンやカテコラミンの生成を促す―といった働きもある。

とにかく生きていく上で、欠かせないビタミンだ。不足すると肌荒れ、歯茎が弱くなる、気分が塞ぎがちになるなどの症状があらわれる。米国での1日の推奨摂取量は、成人男性が90mg、女性は75mg。たばこを吸う場合、男性は125mg、女性は110mg。これまでに次のような弊害が報告されている。

・エストロゲンを含んだ避妊薬との併用は血漿と白血球におけるビタミンCの収を妨げる。
・頻繁にアスピリンを摂ると、ビタミンCの値を下げる。
・ワルファリンといった血液凝固阻止剤と併用すると、薬の効き目を低下させるおそれがある(薬と併用する際は、ビタミンCの摂取量を1日1グラムに抑えるのが望ましい)。
・ビタミンCの過剰摂取は血液検査の検査値に影響を及ぼすため、事前に医者に摂取していることを伝えるべき。  

▼ ビタミンA

免疫力をアップして体内に病原菌が入り込むのをブロックする強力なディフェンスサプリメント。皮膚や粘膜を丈夫にするほか、風邪やガンを防ぐ働きも。目の疲れを癒し、花粉症の症状も軽減、また、健康な骨、歯、髪を保つといった働きも報告されている。不足すると、夜盲症(暗いところでよく見えない)、目が疲れる、肌が乾燥して荒れる、風邪をひきやすい、口内炎になりやすい―などの症状が出てくる。米国での1日の推奨摂取量は、19歳以上の男性が900mcg、女性は700mcg。報告されている弊害は次の通り。

・短期間の超過剰、それよりは少ない量(推奨摂取量の10倍)だが長期にわたり摂取した場合、吐き気、頭痛、疲労、食欲不振、めまい、乾燥肌などのビタミンA過剰症を引き起こす。過剰症の症状が重くなると、肝臓障害、出血、さらに昏睡状態になる。
・妊娠中に過剰摂取すると障害のある子供の生まれるリスクが高くなる。そのため、妊婦の服用は1日800mcg以下に抑えて。
・長期にわたる大量の飲酒は、薬としてのビタミンA効果を下げる。

▼ ビタミンE

その抗酸化パワーが高く評価され、近年、がぜん注目されているビタミンE。活性酸素が共通の要因といわれる脳卒中、動脈硬化、ガンなど、加齢と比例して罹患率が高くなる病気を予防するほか、脳下垂体に働きかけて性ホルモンの分泌を促すことから、肌の潤いを保ち、月経前のイライラを抑えるといった働き、さらに不妊症の改善も期待できるといた報告がある。不足すると、イライラしたり、疲れやすくなったりするほか、極度に不足すると赤血球の膜が壊れ、溶血性貧血を起こすこともある。米国での1日の推奨摂取量は、男女ともに19歳以上が15mg。弊害は次の通り。

・抗凝血剤を服用していたり、ビタミンKが欠乏していたりする人は、トコフェロール(ビタミンEの本体)サプリメントを摂取する際、出血の危険  が高くなる恐れがあるため、医者に必ず相談すること。
・コレステロール過剰血症患者のコレステロール値を下げる薬コレスチラミン、抗脂肪血症薬コレスチポール、抗結核薬イソニアジド、鉱油などとの併用は、ビタミンEの吸収を低下させる。
・フェノバルビタール、カルバマゼピンといった抗痙攣薬と併用すると血漿におけるビタミンEの値が下がる。

▼ ビタミンD

カルシウムの吸収を助け、健康な骨の維持に欠かせないビタミン。日光の紫外線にビタミンDを生成する働きがあることから、十分な日光浴でビタミンDを補えるともいわれている。また、前立腺ガン、結腸ガン、乳ガンの予防効果も指摘されているが、科学的に働きを裏付けるにはデータ不足のため、今後さらに研究が必要だといわれている。不足症状は、骨粗しょう症、骨折、虫歯など。1日の目安量は、男女とも、19歳から50歳までが5mcg、51歳から70歳までが10mcg、70歳以上が15mcg。弊害は次の通り。

・薬としての作用が得られる量(1日250mcgから1250mcg)をサプリメントで数年にわたり摂取すると、血中のカルシウム値が上がるビタミンD過剰症を引き起こす。症状としては、食欲不振、吐き気、極度のノドの乾き、激しい痒み、筋肉の弱化、関節の痛みなど。重症になると、昏睡状態となり死に至ることも。
・高コレステロール治療薬コレスチラミンおよびミネラルオイルは、腸内でのビタミンD吸収力を低下させる。
・ビタミンDの過剰摂取は血中のカルシウム値を上昇させるため、カルシウムチャネル阻止薬ベラパミールなどと併用すると、不整脈といった症状が出る恐れがある。

▼ 葉酸

動脈硬化や心筋梗塞の危険因子といわれるアミノ酸の一種、ホモシステインの血中濃度を抑えることで、心臓病を予防する働きを持つ。また、先天性障害の子供が生まれるリスクを減らすほか、B―12との併用で貧血を改善するなどの効き目も報告されている。さらにいくつかの研究で、アルツハイマー病や老人性痴呆症患者に、血中の葉酸レベルが低いことが判明したことで、ボケの予防効果も注目されている。不足すると、貧血、疲れやすい、食欲不振といった症状が出るほか、血中ホモシステインの濃度が高くなり心筋梗塞などのリスクが高くなる。1日の推奨摂取量は男女ともに19歳以上は400mcg、また妊婦は600mcg、授乳中は500mcg。弊害が次の通り。

・関節炎などの治療で、アスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド抗炎 症薬を大量に摂取すると、葉酸の代謝を妨げる。
・抗痙攣薬フェニトインは腸内の葉酸吸収を妨げる。
・コレステロールを下げる薬コレスチラミン、コレスチポールとの併用も、葉酸の吸収を妨げる可能性がある。

▼ ビタミンB12

葉酸と同じく、悪玉アミノ酸「ホモシステイン」を善玉アミノ酸「メチオニン」に代謝する過程で必要なビタミン。また、葉酸との併用で造血作用を促進し、貧血を改善。疲労回復、睡眠障害の解消に効き目があるほか、抹消神経の傷を修復する働きがあることから腰痛の改善効果も報告されている。脊髄で赤血球を作るときにも欠かせない。不足すると、疲労、食欲不振、貧血、気分が塞ぐといった神経障害などの症状がでる。1日の推奨摂取量は成人の男女ともに2.4mcg。妊婦は2.6mcg。弊害は次の通り。

・葉酸を大量に摂取すると、ビタミンB12欠乏症の検査をした際に、正しい 数値が得られない。
・食べ物からビタミンB12をとった場合、痛風剤コルヒチン、広域抗生物質ネオマイシン、コレステロール薬コレスチラミンは、食べ物からとったビタミンB12の吸収を妨げる。

▼ ビタミンB6

健康な皮膚と精神状態を保つ働きがある。また、葉酸、ビタミンB12とともに、ホモシステインの代謝を補助的に助ける。また、ティーンのホルモン バランス異常による鬱症状や月経前のイライラ、小児ぜんそくにも有効。逆に、不足すると、精神の働きを円滑にする各種アミノ酸の代謝がうまくいかず、鬱症状や不眠症になることもあるほか、疲労、皮膚炎、手足のけいれんなどの症状がある。1日の推奨摂取量は、19歳から50歳までは男女ともに1.3mg、51歳以上は男性1.7mg、女性1.5mg。 弊害は次の通り。

・長期にわたりB6を過剰(1日に1000mg以上)に摂り続けると、知覚神経障害の恐れがある。症状は、手足が痛くなる、感覚がなくなる、ひどくなると歩行困難となる(500mgを数か月にわたり摂取していて、知覚神経障害となったケースもごくまれにある)。
・抗結核薬のイソニアジド、抗生物質のシクロセリン、シスチン尿症・鉛中毒などの治療薬ペニシラミン、パーキンソン症候群の薬は、B6の吸収を妨 げる。
・B6の過剰摂取は、抗痙攣薬やクエノバルビタトルの効き目を弱める。

▼ ビタミンB1(チアミン)

糖の代謝を促進しエネルギーにする効率を上げることで、活力増強、疲労回復に有効。また、筋肉に乳酸がたまるのを防ぐので、肩こりを緩和する働きもある。物忘れが激しい人に改善効果が表れることも。アルコールの分解も促進。不足症状は、疲労感、イライラ、不眠など。極端に不足すると、脚気や眼球運動に異常をきたす精神疾患「ウェルニッケ脳症」になる恐れもある。1日の推奨摂取量は、19歳以上の男性は1.2mg、女性は1.1mg、妊婦は1.4mg、授乳中は1.5mg。 弊害は次の通り。

・過剰摂取した場合の弊害はまだはっきり分かっていない。
・抗痙攣剤を飲んでいる癲癇患者の場合、血中のチアミン値が低いことが報告されている。

▼ ビタミンB2(リボフラビン)

脂肪分解を促し、効率的にエネルギーにすることから、中性脂肪やコレステロールを減らす働きがある。また、肌荒れやニキビ、油肌の改善にも有効。不足すると、舌や唇が荒れるほか、口内炎ができやすくなり、脂漏性皮膚炎になることもある。1日の推奨摂取量は、成人の男性は1.3mg、女性は1.1mg。弊害は次の通り。

・過剰摂取の害は明らかになっていない。
・痙攣剤フェノバービタールの長期使用は、リボフラビン欠乏症の危険を高くする。

▼ ビタミンB3(ナイアシン)

ニコチン酸ともいう。糖分や脂肪の代謝を促進し、エネルギーにするのを助ける。エネルギーの代謝に関係していることから、疲労回復に有効。不足症状は、疲労感、鬱状態、イライラ、肌荒れ、体のあちこちが痛む。またかなり不足すると、皮膚炎や舌の炎症が起こることもある。1日の推奨摂取量は、成人の男性は16mg、女性は14mg。弊害は次の通り。

・抗コレステロール薬ロバスタチンとの併用で、筋肉の細胞が破壊される珍しい病気「rhabdomyolysis」が発病したケースが非常にまれだが報告され ている。

▼ ビタミンB5(パントテン酸)

糖やアミノ酸の代謝を助けるほか、善玉コレステロール合成にも深いかかわりを持つ。精神を健康に保ち、ストレスと疲労を緩和する。不足すると、疲労感、怒りっぽい、居眠り、胃弱などの症状がでる。1日の摂取目安は、成人男女ともに5mg。 弊害は次の通り。

・過剰摂取(1日に10から20グラム)については、今のところ下痢が報告されているぐらい。
・エストロゲンを含んだ避妊薬を服用している場合は、パントテン酸を摂る量を若干増やすべきであると報告されている。

▼ ビオチン

脂肪酸やアミノ酸の代謝に必要なビタミン。健康的な皮膚の維持、皮膚炎やニキビを軽減、白髪の予防、疲労回復などに有効。アトピー性皮膚炎の治療に用いられている。不足症状は、疲れやすい、吐き気、筋肉痛、鬱状態など。 1日の摂取目安は、男女とも35mcgから60mcg。弊害は次の通り。

・過剰摂取の害はいまのところ明らかになっていない。
・治療を目的とした長期の抗痙攣剤服用による、血中のビオチン値の低下が報告されている。

▼ コリン

腎臓、肝臓、精神を健康に保ち、ストレスと疲労を緩和する。不足すると、鬱状態、記憶力の低下、血圧の上昇、筋力の低下などの症状がでる。1日の摂取目安は、19歳以上の男性は550mg、女性は425mg。弊害は次の通り。

・過剰(1日に10から16グラム)に摂取すると、体臭が魚臭くなるほか、吐き気をもよおしたり、汗をかきやすくなったりする。
・ガンや慢性関節リウマチの治療に使われるメトトレキサートは、コリンの  吸収を妨げる恐れがある。  

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