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【 米国で保険に適用、アーユルヴェーダ 】

西洋医療で疾病はもう癒せないのか。米国では西洋医療に替わる医療(代替医療)を 求める動きが急速に高まっている。食品の機能性による栄養療法を筆頭に心理療法、 催眠療法などホリスティック(全体的)な観点から疾病と向きあう傾向が強まっている。 日本でもここ数年、心による”癒し”やアーユルヴェーダによる自然派志向による疾病 改善が話題になるなど西洋医療離れが静かに進行しつつある。

健康保険にも組み込まれつつあるアーユルヴェーダ

米国では高騰する医療費に対抗して、代替治療(Alternative Medicine)に人気が集 まっている。自然治癒力を高め、自己の免疫システムの強化するということで、代替治 療を保険プランに組み込む保険会社も増えている。

例えば65歳以下を対象に、主にカリフォルニア、ユタ、コロラド、アリゾナなどの州で提供 されるAmerican Western Life Insurance Wellness Planは代替治療としては、カイロプ ラクティック、ホメオパシー、鍼、アーユルヴェーダ、マッサージ治療、栄養療法療などを 取り上げ、年間で12通院までという制約があるものの、入院、処方箋医薬、テストなど主 要医療行為をカバーしている。

またAlternative Health Plan(Alliance for Alternatives in Healthcare,Inc.)でも一般医 療に加え鍼、アーユルヴェーダ、ホメオパシー、カイロプラクティックなど代替治療を対象 に、ホメオパシー治療薬、ハーブの処方箋剤は年間500ドルまで支払といったプランを を組み込んでいる。

これらの米国の保険会社の代替医療をバックアップする傾向は近年とみに高まっている が、今後さらに加速することが予測される。 こうした米国の保険事情の根底にあるのはGNPの14%にもかかりつつあるといわれる国 民医療費。(日本でも同様であるが)年々高騰する一方で、有効な歯止め策もなく、西洋 医療関係者らもハーブ(薬草)やアーユルヴェーダなどこれまで西洋医療が扱わなかっ た代替医療の分野に目を向けはじめている。

米国でアーユルヴェーダ、超越瞑想(TM)を公的機関が採用

日本でもアーユルヴェーダは医療関係者の間でも次第に浸透しつつあるが、米国では 代替医療の代表的医療として位置付けられつつある。

アーユルヴェーダとは、サンスクリット語のayur(生命)veda(科学)から来ており、文字通 り生命を扱う科学である最古の医療体系。紀元前2500年頃インド亜大陸で広まったとい われる。その医療の根本概念は、自然からの恵みをフルに活用し病気を治癒するばかり でなく体自体を強めようとするものだが、それは現代の西洋医学が最近になって重視し 始めた予防医学の基本である。

3000年から5000年にわたりしっかり口承されてきたが、 現在のインドでは政府が西洋医学の発展と共にアーユルヴェーダ・システム普及に力を 入れ訓練機関などを設立している。また米国でも、超越瞑想(TM)の創始者、マハリシ・ マヘッシュ・ヨギら信奉者によって確立された「マハリシ・アーユル・ベッド (Maharishi Ayur-Ved)」が目覚しい勢いで広まり、各大学で科目として取り上げられる など、代替治療の一つとして注目を浴びている。

ハーブやヨガ、瞑想法で体内毒素を取り除く

アーユルヴェーダの教義によると、この世界に生存するものは全て風、火、水、地、空 間の5基本要素から成ると考えるが、さらに生命のエネルギーを表す、バータ(Vata)、 ピッタ(Pitta)、カパ(Kapha)という3つのドーシャに分類されるという。これらドーシャは、 5基本要素のうち2つが組み合わさって、体質、性質、精神などを示すとしている。

このエネルギーが体内で常に変化し、バランスをとりながら存在しつづけると考えるのだ が、このバランスが異常をきたした時こそ疾患を発するというのだ。つまり、貧しい食生活 や環境汚染、ストレス、不安感などの要因がこのバランスを乱し、食べ物や呼吸を通して 体内に取り入れられる生命エネルギー、プラーナ(prana)の流れやアグニ(agni)の機能 を阻害するという。

このアグニというのは食べ物を加工処理するという働きを示すが、これが阻害されると アーマ(ama)と呼ばれる毒素が体内に蓄積され病気のもとになる。アーユルヴェーダ治 療の目的の一つは、ハーブ療法やヨガ、瞑想法などを使ってこのアーマを取り除くこと である。この浄化がパンチャカルマと呼ばれる。

アーユルヴェーダ的にみると、米国は支配的で変化が激しい

各ドーシャの特徴を挙げると、バータは風と空間が要素となり、不安定、乾燥、冷たさ、 軽い、速いという属性を持つ。また、ピッタの要素は火と水で、その属性は熱い、敏速、 鋭い。さらにカパは地と水が要素となり、重い、安定、湿り気といった属性がある。アー ユルヴェーダ専門家によると、こうした属性が人の体質、性質をあらわすが、ドーシャ1つ だけや3つを均等に持つことは稀で、大抵2つが混合しているという。

また、「国のドーシャを考える時、アメリカ人はバータとピッタを持ち、バータが支配的。 常に動き、移動し、変化するという属性が示す通り。欠けているのがカパだが、遅く、 安定という属性はハワイに多く見られる」と指摘している。

ドーシャは人の体質も表すことから、ドーシャ・バランスが乱れると障害は優勢なドーシ ャによって、関節、皮膚、肺、消化器官など様々な場所に出てくる。例えば、ピッタの 多い人はバランスを乱すと皮膚疾患や胃潰瘍などが結果として現れる。バータ・タイプ はリュウマチ、関節炎、胃腸障害。カパは鼻炎や体重の急増など。

こうしたことから、アーユルヴェーダ治療で最も肝心なのが各個人のドーシャの確認である。アーユルヴェー ダ医師の元を訪れると、まず始めに体格、外見、歩き方、話し方などが観察され、さらに 趣味に始まって好きな食べ物、睡眠パターン、仕事の種類、運動方法、幸福感を覚え る時はなどに至るまで事細かな質問を受ける。

また、舌、脈などを検診、尿を取ってそ の色、臭いも調べる。診断の結果、ドーシャの乱れがわずかなものであれば、食生活や ライフスタイルの変更、ヨガなどの運動、必要とあればこれにハーブ少々を足すという 指示を受ける。だが、バランスの乱れが大きい場合、体の内外に適用するハーブ療法、 鍼、マッサージといった治療を受けることになる。

それと同時に、問題の原因が毒素蓄 積であることが確かめられたら、パンチャカルマが試される。これには、吐かせる、排泄 させる、血を浄化するなどの吐法、下法、油潅腸法、非油潅腸法、点鼻法と呼ばれる 療法があるが、患者に体力がある場合に限られ、もちろん資格あるアーユルヴェーダ医 師の元で行われなければならない。

ギムネマによる糖尿治療はアーユルヴェーダ的にも利にかなう

米国で主要疾患を常に占める心臓病、糖尿病、がんなども元をただせば、ドーシャの 乱れが原因であると指摘される。例えば、糖尿病はカパ障害によるもので、過剰なカ パが脂肪代謝不全、水分のアンバランス、体重増加などを導く。アーユルヴェーダの糖 尿病対処は、食べ物、ハーブ、スパイスなどの食生活やライフスタイルの変更を通して カパのバランスを取り戻すこと。食生活では、砂糖を取り除き代わりに少量の蜂蜜を使う ことを薦める。蜂蜜は抗カパ、脂肪を溶かすものと考えられている。

特に、生の蜂蜜を1日 ティーンスプーンで2〜3杯。加工蜂蜜は体内に毒を生じさせるため使用しない。苦く刺 激性のあるものはカパを減少し解毒にもなると考えられているため、タンポポやキバナス ズシロなどをスープに、にがうりも食事に加えることを薦めている。ある研究によると、にが うりはグルコース値を3週間で54%下げたという。この他にオクラ、ガーリック、オニオン、 生姜、ターメリック、シナモンの使用が薦められる。

アーユルヴェーダが挙げる糖尿病対処ハーブには、溶解性食物繊維が豊富なコロハ (fenugreek)、血中の脂質や体脂肪を減らすと考えられるモツヤク属。これは異常な脂肪 代謝や糖尿病による合併症の危険性を減らす。さらに、アフリカ産ギムネマ樹の名も挙が っている。これは、血糖値や血中の脂質を減らし肝臓、腎臓、筋肉組織を修復する。22人 の被験者に与えたところ、全員に糖尿病薬剤の投与を減らし、5人は完全に薬剤使用を 止めたという。

生理不順など婦人系疾患にもアーユルヴェーダは有効

西洋医学の医療関係者は、月経前症候群(PMS)に関して150以上の症状を上げている が、アーユルヴェーダ医師らは、毒素の蓄積から出る不純物がPMSや生理中の症状を起 こしていると考えている。バータ・エネルギーが多い場合、PMSの間漠然とした不安感や 焦燥を感じ、また便秘や睡眠不足を起こしたりもする。

ピッタが多い場合、空腹感の持続、 夜間の微熱、砂糖への欲求、さらには頭痛やにきびも出てくる。カパ・タイプは、筋肉痛や 鬱状態に陥るだろう。生理痛の多くは、バータ・バランスの乱れが原因と思われ、バータ の過剰がピッタやカパに影響を及ぼしている。バータ・バランスを鎮静させるため、米や 火のとおった緑色野菜のような消化しやすい暖かい食べ物を選び、冷たい食べ物や生物、 チーズ、チョコレート、赤身の肉などを避けるよう指摘されている。1日を通してお湯を少量 ずつ飲むと毒素を消すとも言われる。

ハーブ療法として、生理不順の場合にバータ・タイプにはガーリックや暖めたミルクと共に ターメリック、甘草、バレリアン、カモミールなど。筋肉痙攣やこむら返りでは、バータ・タイ プにはターメリック、生姜、イブニング・プリムローズやカモミールなどを甘草などの鎮痛系 ハーブと一緒に摂取、また暖めたごま油を腹部に塗るなど。ピッタ・タイプにはゴッツコー ラ(gotu kola)、タツナミソウ、トケイソウ、ホップ。カパ・タイプには、熱を生み出す生姜、シ ナモン、ナツメグ、ミルラ樹脂などをそれぞれ薦めている。

一般的な健康問題に挙げているハーブは次のとおり。
頭痛/バータ、あるいはカパのバランスの乱れが原因。生姜やメボウキ属など。
鼻炎/カパの過剰が原因。ペッパーなどの香辛料を使いカパを鎮静。乾燥ジンジャー・パウダーを微量鼻でかぐ、あるいはお茶の中に生のジンジャーとシナモンを少量。
消化不良/3つのドーシャ・バランスの不良が原因。最適なハーブはクミンで、スプーン半杯をスプーン1杯のウイキョウのタネと一緒に混ぜて使う。

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