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【 米国で問題視されているハーブ(薬草)】

全国民の15%が無保険者といわれる米国では、高額な医療費を要求される西洋医療にかかれないという社会背景もあり、主流の西洋医療にとって代 わるほどの勢いで、代替医療が国民の間に浸透しつつある。これには、国民医療費の 高騰を抑えたいという米政府の意向をうけたNIH(米国立衛生研究所)など公的な機関 による先導も大きい。しかしながら、ここにきて、米国医師会などから代替医療の旗頭と もいえる栄養療法、ハーブ(薬草)療法に待ったがかかり始めた。薬剤との相互作用に よる副作用が懸念されるため、西洋医療との並行使用には注意を要するという。

米国で人気1ハーブ、セントジョンズワートに赤信号

米国食品医薬品局(FDA)がつい最近、副作用の少ない抗鬱ハーブとして盛んに使わ れているセントジョンズワートのHIV患者服用に対して赤信号を出した。

NIH(National Institutes of Health)が、HIV治療薬「Indinavir」と併用すると 治療効果がなくなると指摘したからだ。単独で服用すれば問題のない栄養補助食品も ほかの薬と併用することで有害になるとした。また、過剰摂取についてもしかり。 (※日本の厚生省も5月10日に、この件に関して「セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオト ギリソウ)と医薬品の相互作用について」と題してネット上でも情報を提供している。 http://www.mhw.go.jp/houdou/1205/h0510-1_15.html)

こういった問題点が今、米国医療界でクローズアップされはじめている。栄養補助食 品については、医薬品のように薬害情報を収集、管理するというシステムが構築され ていない。そこで、FDAが情報収集に乗り出した。

これまでにFDAがまとめた「問題のある栄養補助食品リスト」を紹介する(2000 5/10 発表、'93以降より)。ただし、「すべてがリストに掲載されているわけではない」とFDA では忠告している。

使用が問題視されるハーブ

・ チャパラル(Chaparral)

クレオソート低木とも呼ばれ、太古からアメリカンインディアンが薬として使っていた。今 はティー、錠剤、カプセルなどで市販されており、血液を浄化し抗酸化作用があり、が んに効くといわれている。しかし、米国とカナダでチャパラル服用による非ウイルス性肝 炎のケースが少なくとも6件報告されている。

報告によると、ほとんどが服用を止めたこと で完治したものの、2人は治らず、うち1人は致命的な肝機能障害を起こし移植が必要 なほどに悪化している。単独およびほかの成分と配合された商品の両方で、肝機能障 害が起きている。FDAの警告で、1992年、ほとんどの卸売り業者が自主的に商品を回 収した。

・ コンフリー(Comfrey)

ティー、錠剤、カプセルとして販売されている。しかし、85年からこれまでに、肝硬変を 起こす肝静脈閉塞症が少なくとも7件報告されており、うち1人は死亡した。問題になっ ているのは、コンフリーの成分「Pyrrolizidine アルカロイド」で、この成分はこれまでに も肝臓への悪影響が繰り返し報告されている。肝静脈閉塞症は急性で致命的な肝機 能障害を起こし、たとえ回復しても慢性的な肝疾患が残るといわれている。

たとえ少量 であっても長期にわたり摂取すると、「閉塞症」を起こす危険は高い。服用した人の年齢、 性別、肝機能の状態、摂取量などで障害を起こす危険度が異なり、特に子供が要注意 といわれている。わずか1週間の服用で「閉塞症」を発症したケースも出ている。また、 妊娠中にハーブティーとして飲んでいた母親の赤ん坊に肝炎がみつかったほか、動物 実験ではさらに肺、腎臓への障害も発見されている。こういった現状を受けて、英国、 オーストラリア、カナダ、ドイツでは販売を規正している。

・ ヨヒンベ(Yohimbe)

筋肉や精力増強に効くと市販されているが、服用による腎機能障害、けいれん、死亡 がFDAに報告されている。ヨヒンベの主成分「ヨヒンビン(毒性アルカロイド)」に、血管 を拡張し血圧を下げる作用があり、米国では処方箋薬としても販売されている。

ヨヒンビ ンは、過剰に摂取するとモノアミノ酸化酵素抑制剤となり、レバー、チーズ、赤ワインな どtyramineを含んだ食品やphenylpropanolamineを含んだ市販薬との併用は、麻痺、 疲労、胃の機能障害を起こす危険があるほか、死亡することもあるという。低血圧、糖 尿病、心臓・肝臓・腎臓疾患のある患者の服用は危険。

・ ロベリア(Lobelia)

インドタバコともいわれ、ニコチンに似た働きがある。少量摂取は気管支の拡張、呼吸 回数増加、大量に摂ると、心拍数を高めるほか、低血圧症を起こし、場合によっては 死亡する。ハーブ葉ならば50ミリグラム、抽出液ならば1ミリグラムを摂取しただけで、 こいうった症状がみられる。子供、妊婦、心臓疾患のある患者の摂取は非常に危険だ。

・ ニガクサ(Germander)

ダイエットサプリメントとして、ティー、カプセル、錠剤などで、単独またはほかの成分と 配合して市販されている。フランスで86年からこれまでに、服用による非ウイルスの急 性肝炎が少なくとも27件報告され、1人が死亡した。服用を中止すれと症状は改善さ れるが、また摂取すると再び肝炎が再発している。しかし、ニガクサのどの成分が肝臓 に有害なのかはまだ分かっていない。フランスではすでに、薬としての使用を禁じて いる。

・ ヤナギ樹皮

長い間、鎮痛剤や抗リウマチ剤として服用されており、「アスピリンフリー」の鎮痛剤を 宣伝文句にしている。問題はこの点だ。実はアスピリンと同じ成分を含んでいるため、 胃の粘膜炎症などの副作用がある。妊娠中の服用は、出血、脳卒中などを起こすほ か、インフルエンザや水疱瘡にかかっている子供は、たとえ少量でも摂取すると、小 児にしばしばみられる致死的な脳障害「レイ症候群」を発症する危険が高くなる。

・ Jin Bu Huan

痛みによる不眠、潰瘍、発作的なせきに効くといわれる漢方。しかし、誤って服用した 子供3人が、徐脈で入院したという報告がある。幸い集中治療で全員回復した。

・ StephaniaとMagnoliaを含んだハーブ

ダイエットサプリメントとしてベルギーで市販されていたが、透析を必要とするほど急 激に悪化した2人の患者がいずれも摂取していたことから、調べたところ、服用した 48人の女性が重度の肝機能障害を起こしていたことがすぐに判明した。うち18人が 移植また透析しなければならないほどに病状が悪化しているという。

・ Ma Huang

ダイエットサプリメントとして市販されている、エフェドラを含んだハーブ商品のひとつ。 血圧の上昇、動悸、神経障害、脳卒中、記憶喪失といった副作用がFDAに報告され ている。

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