健康を重視し持続可能な社会を目指すライフスタイル「LOHAS(ロハス)」志向の
消費者がアメリカで急増している。ロハスとは、「健康と持続可能な社会に配慮
したライフスタイル」の意。そもそもロハスというコンセプトが生まれた
のはアメリカ。発祥の地からLOHAS(ロハス)市場の近況を報告する。
「ロハス」って何?
ごくごく普通のアメリカ人に「LOHASって知ってる?」と聞いても、意外と知らない
人が多い。しかし、カラダによくて、環境にもやさしい商品、そしてできれば社会
への貢献度の高い企業の商品を使いたいかと聞けば、答えは「YES」。
「ロハス」という言葉そのものの認知度はまだまだ低いが、そのコンセプトは
しっかりと消費者の間に浸透しているのが現状だ。
ロハスとは、Lifestyle Of Health And Sustainabilityの頭文字をとった略語で、
健康と持続可能な社会に配慮したライフスタイルの意味。ロハス志向の消費者は、
自分や家族らの健康、地球の環境、さらに社会の将来を考えて、ブランドを選び
消費行動を選択していく。
ロハスはアメリカ生まれ。社会学者のポール・レイ氏と心理学者のシェリー・
アンダーソン氏が1998年、13年間にわたる調査の末、健康や環境を重視したライフ
スタイルを持つ新しい消費者タイプとして「カルチャー・クリエイティブ」を提唱。
それをもとに新タイプの消費者をターゲットにしたコロラド州にあるガイアムが、
ロハスのコンセプトを打ち出した。環境破壊や食物汚染などが問題視される中、
ロハスのコンセプトがまたたく間に消費者の心を射止めたのは言うまでもない。
全米人口の約30%がロハス、市場規模は2290億ドル
市場調査会社「ナチュラル・マーケティング・インスティテュート(NMI)」によると、
アメリカで人口の約30%にあたる6300万人がロハス消費者といわれ、市場規模は
2270億ドルを超える。うち、自分がロハス消費者とは知らずに、コンセプトを実践
している人は少なくないという。
NMIの最新調査は、ロハス消費者をさらに4種類に分類。その結果、ハードコアの
ロハス派は総人口の23%、徹底まではいかないけれど心がけているロハス傾倒派は
38%、実践しているとはいえないがかといって無関心ではない中間派は27%、
無関心派が12%だった。
ロハス市場で扱われる商品はハイブリット車からヨガまでと実にさまざまだ。そこで、
市場は大きく5つの領域に分類されている。ロハス・ジャーナルに掲載された各領域
の規模を紹介しよう。
■持続可能な経済を目指す領域
再生・代替エネルギー商品、省エネ商品など
市場規模: 764億7000万ドル
■健康的なライフスタイルの領域
自然食品やオーガニック商品、栄養補助食品、ナチュラルパーソナルケア商品など
市場規模:300億ドル
■環境を考えたライフスタイルの領域
エコ関連の家庭用およびオフィス商品、オーガニックおよびリサイクルファイバー商品、
エコ・ツーリズムなど
市場規模:811億9000万ドル
■代替療法の領域
鍼療法、ホメオパシーなどの代替医療、漢方薬やホーリスティックな疾患予防など
市場規模:307億ドル
■自己啓発の領域
ヨガ、フィットネス、マインド・ボディー・スピリット向上のためのCD、本、テープなど
市場規模:106億3000万ドル
ロハス消費者は企業イメージを重視
次ぎにロハス消費者の傾向についてみてみよう。
NMIの2005年ロハス消費者傾向データベースによると、こんなロハス消費者像が浮き
彫りになった。
「企業は利益を追い求めるだけでなく、環境や社会への影響も重視すべき」と考える
消費者は…… 一般消費者49% ロハス消費者82%部 非ロハス消費者40%
「環境や社会への影響を重視する企業の商品やサービスを利用したい」と考える
消費者は…… 一般消費者27% ロハス消費者68% 非ロハス消費者15%
「環境や社会への影響を重視する企業の株を買いたい」と考える消費者は……
一般消費者18% ロハス消費者52% 非ロハス消費者8%
また、ロハス消費者の72%が「家族のヘルシーな食生活が最大の関心事」と回答、
89%が「労働者の権利保護などの社会的な問題に関心あり」、95%が「環境保護に
関心あり」とそれぞれ回答した。
そんな企業イメージを重視するロハス消費者の心(購買力?)を射止めようと乗り出
したのが、大手ディスカウントチェーン店「ウォールマート」。今年1月、ウェブサイト
(www.walmartfacts.com )を開設し、税金申告から
社員の平均給料まで、さらにコミュニティーへの貢献内容、社員から起訴された裁判の
全容など、隠しごとのないクリーンな企業のイメージであけすけに公開している。
また、4月には全米のいくつかの新聞に環境保護関係の広告も掲載した。
低迷続くハーブ業界はロハス消費者に期待
相次ぐネガティブ報道でここ5年ほど売り上げが落ち込んでいるハーブ業界。ハーブ
専門誌「ハーバルグラム」2005年冬季号に掲載されたマーケットレポートは、そんな
落ち込みの救世主としてロハス消費者に大きな期待を寄せている。
レポートによると、ロハス消費者の約40%がすでにハーブを愛用。さらにロハスの
なかでも55歳以上は約45%と愛用率がアップする。ハーブ消費者もロハス消費者と
同じく、スピリチュアルで、環境重視の傾向がある。そんな共通項からロハスパワー
にハーブ返り咲きを期待する企業は少なくない。