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【 「ダイエット大国」米国で注目、南アフリカ産ハーブがブームに 】

痩せるものなら何でも試したい――。アメリカでダイエット目的のサプリメントの 種類はゆうに100 を越えるといわれる中、痩せ願望の消費者のハートを射止めた ニューフェース「フーディア」。南アフリカのサハラ砂漠にだけ自生する植物だ。 フーディア人気とアメリカ・ダイエット市場の近況を報告する。

脳の満腹中枢を刺激、ストレスなしで食欲を抑制

南アフリカのサハラ砂漠では、昔からサン族が長い狩りの空腹感をしのぐために利用 してきた植物フーディア。そんなサン族の知恵が今、アメリカで大ブレイクしている。 CBSの人気番組「60ミニッツ」が昨年11月、フーディアのダイエット効果を報道。 ダイエット商品ハンティングに余念のないアメリカ消費者が飛びついたのは言うまでも ない。番組放送の翌日に400件、翌々日には1000件の注文が殺到したというフーディア 商品販売会社もあるほど。

また、肥満からスリムダウンして美を取り戻した、雑誌プレイボーイの元モデル、アナ ・ニコール・スミスを使ったフーディア入りダイエット商品「トリムスパX32」の広告も ブームにひと役買ったといえるだろう。 フーディアはライトグリーンのサボテンに似た植物。葉肉に含まれる成分に食欲抑制作用 があるといわれている。

食事をしてエネルギー源であるブドウ糖が体内で十分に摂取されると脳の満腹神経が刺激 され「お腹一杯」のシグナルを出す。フーディアの葉肉には、このブドウ糖に見た働きを する成分が含まれている。だからお腹一杯食べなくても、「ブドウ糖はもう十分です」と 脳の満腹神経を刺激し、満腹感を得られるというわけだ。これなら、ダイエットにつき ものの空腹感からくるイライラなしに食欲を抑えることができる上、今のところ副作用 の報告もない。

30%〜40%摂取カロリー減らせると臨床実験で実証

サン族がノドの渇きや空腹感をしのぐのにフーディアを利用している――と、人類学者 がはじめて記録したのは60年以上も前のこと。しかし、科学的に研究されるようになった のは1980年代になってからだ。南アフリカの科学産業研究評議会(CSIR)がはじめて フーディアについて研究。その結果、動物実験で劇的な減量効果が確認された。 これを機にCSIRはフーディアの食欲抑制効果のある成分をP57と名づけ、特許を取得している。

最近では、2001年のプロフェッショナル・リサーチ・サイエンティスト・オン・エクス ペリメンタル・バイオロジーの年次学会で発表されたアメリカの研究報告でも、3週間 にわたる動物実験の結果、食欲抑制および減量効果が報告されている。また、肥満の 人たちを対象とした実験でも、P57の服用により1日の摂取カロリーを30%から40%減ら せたという。しかも、ストレスを感じることなく普段と同じ生活ができたと報告されて いる。

ダイエット目的のシェイクやスナックとしても開発進む

1997年、CSIRはP57の特許権をイギリスの製薬会社「ファイトファーム社」に与え、同社 は翌98年、大手製薬会社「ファイザー」と提携。ファイザーは2100万ドルを投じてP57の 商品開発を進めたが、食欲抑制剤を作るためフーディアから成分を抽出するのが非常に むずかしことから2003年に提携に終止符を打っている。

これを機にファイトファーム社は、食品メーカーと組んでダイエット目的のシェイクや バーの開発へとシフトしているという。2008年までに商品化の見通しだ。 医薬品としてはまだ登場していないものの、フーディアは現在、健康食品店などでお茶や サプリメントとして販売されている。フーディアのみ、あるいは脂肪を燃やしたり、血糖 値を下げるほかの成分と組み合わせた商品とさまざまだ。食欲を抑えるには1日、400から 800ミリグラムの摂取が必要といわれている。

アメリカ人の約7%がダイエット目的のサプリメント利用

フィットネスのメッカといわれるカリフォルニア州でさえ、成人の半数以上が太りすぎ。 全米で肥満人口が急速に増えていることから、ダイエット市場の展望は明るい。 米国医療協会の調べによると、アメリカで成人人口の7%がダイエット目的のサプリ メントを利用。中でも、太りすぎの若い女性の利用率は28.4%と高い。

サプリメントでは、クロムが根強い人気。ほかには、ダイエット商品の定番、グリーン ティー、L-カルニチンチンのほか、インド産のマメ科グアーの種子から抽出したグアー ・ガム、植物繊維のグルコマナンなどが注目されている。

ダイエット法では、低炭水化物のアトキンダイエット、サウスビーチダイエット、ゾーン ダイエット、アンチエイジングの大家といわれるニコラス・ペリコーン博士が提唱する ペリコーン・プリスクリプション・ダイエットなどが人気だ。

「エフェドラ」販売再開に懸念の声

そして今、ダイエット・サプリ市場で最もホットな話題といえば「エフェドラ」販売 再開のニュース。 ユタ州ソルトレークシティーの連邦地裁は4月14日、連邦食品医薬品局(FDA)が 減量効果のあるハーブ「エフェドラ」を販売禁止としているのは違法との判断を示した。

栄養補助食品会社「ニュートラスーティカル」がFDAに販売禁止の撤回を求めて起こした 訴訟で、地裁判事は「FDAがエフェドラを栄養補助食品ではなく薬品扱いし規制したのは 間違っている」とした上で、「長年にわたり安全に利用されてきた」との同社の言い分 を認めた。

FDAは昨年4月、大リーガーを含め、多数の死亡例に因果関係があると指摘されたこと から、エフェドラの販売を禁止。販売禁止となった初の栄養補助食品として大きな関心 を呼んだ。業界関係者らによると、エフェドラを含んだダイエットサプリメントは一時、 1200万人が服用していたという。

連邦地裁がエフェドラを含むダイエットサプリメントの販売再開を認めたのを受けて、 消費者同盟(CU)が同月25日、懸念を表明。栄養補助食品の規制をめぐり、FDAの権限を 強化するよう上院議員らに要請した。これを機に、1994年に成立した栄養補助食品教育 法(DSHEA)の見直しが行われる可能性が指摘されている。

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