The Natural Foods Merchandiserによると、アメリカにおけるナチュラル・プロ
ダクトの2003年の売り上げは、総計で428億ドルとなり、2002年の8.1%増となっている。
こうした製品に対するアメリカ人のニーズは年々高まっており、特にベビーブーマー
世代が中高年を過ぎたあたりから需要も多様化してきている。最近、Natural Marketing
Institutesは20万人以上の消費者を対象にライフスタイルの調査を行っているが
それを基に、アメリカのトレンドを割り出している。
「食」のトレンドは3つのFがキーワード
Natural Marketing Institutesは20万人以上の消費者を対象に行った調査を基に
今後のライフスタイルのトレンドを予測しているが、特に、「食」、「健康」に
関するものをみると、2005年は以下のように分析をしている。
○「健康」に関するもの
1.ヘルス・ウェルネスへの切迫する渇望----満腹から満足へ。
アメリカ人が最近追求しているのが幸福感。特にヘルス関連ではその要求が強くなる
傾向にある。病を治療することと体重を減らすこと。現在のところ、これらがアメリカ人
にとっての緊急課題である。
2.ヘルスとウェルネスで二極化傾向
最近のアメリカ人は、ヘルス・ウェルネスで二極化が進んでいるという。健康グループは
ますます健康に、健康でないグループはさらに不健康になる。
3.環境に優しいヘルス・ウェルネス
人に優しいだけでなく、環境にも優しいヘルス製品への需要が高まっている。環境に配慮
したパッケージやハイブリッドカー、省エネ対策の進んだ建築物などが消費者の関心を引く。
○「食」に関するもの
1.3つのF
食のトレンドとして、fiber(食物繊維)、functionality(機能性)、fat(脂肪)の3つ
がキーワード。政府支援のDietary Guidelines for Americanプログラムが着手されてから、
全粒穀類や食物繊維の売り上げが増大している。また、最近では、脂肪の新しい定義が受け
入れるようになっている。つまり、脂肪を毛嫌いしたこれまでの「低/無」脂肪製品から、
必須脂肪酸など特定脂肪が含まれる製品への需要が高まる傾向にある。
2.「low-carb(ローカーブ)」から「slow-carb(スローカーブ)」へ
ブームを巻き起こした「ローカーブ」ダイエットだが、見直される傾向にある。ビタミン
不足など「ローカーブ」食生活による健康的弊害が指摘されるようになり、2005年は、
グリセミック指数やエネルギー調整に関わる血糖値の全体的なバランスを大事にした
コンセプト、いわゆる「スローカーブ」に移行していきそうだ。
3.ダイエット
2004年、アメリカの肥満患者数の増加は安定傾向にあった。関心は、効果的なダイエット
製品から新しいライフスタイルの樹立へと移りつつある。
4.オーガニックマーケット
オーガニックの食品・飲料品の売り上げは二桁成長を示し
ているが、消費者の多くは未だに「オーガニック」の意味、特にオーガニックを使用する
利益について分っていないという。パーソナルケアや衣料、ペットケア製品といった食料
品以外の分野の動向にも注意を要する――など。
エフェドラに続く、注目されるダイエット成分
「食」に関することで、とくにアメリカ人の興味を引くのがダイエット。国民の半数
以上が肥満と宣告されており、切実な問題だ。肥満現象は今や若年層、学齢前の幼児
にまで及ぶ。当然、ダイエット産業が熱くなっているが、人気成分、エフェドラが
副作用で販売中止となってから1年、エフェドラに続く素材として注目されている
ものを挙げると下記の通り:
1.GCG――がんなどの疾患対策としてその働きにスポットを浴びる緑茶成分エピガロ
カテキン(EGCG)だが、最近では脂肪燃焼効果が指摘され、ダイエッターの関心を集め
ている。American Journal of Clinical Nutrition(1999年)に掲載された研究では、
被験者にEGCG90mg+カフェイン50mg、カフェイン50mg、プラセボのどれかを与えた
ところ、緑茶グループだけがカロリー燃焼の目覚しい効果が得られたことを報告して
いる。
2.クロミウム――カロリー燃焼効果というより摂取カロリーを脂肪ではなく筋肉に
替える働きがあるとして注目されている。さらに、インスリンの効率性を増大する
ことも指摘される。これにより、細胞へのグルコース吸収を促進し、蓄積脂肪では
なくエネルギーに変えるという。
3.L-カルニチン――最近、人気が急上昇中。脂肪酸を細胞膜からミトコンドリアに
浸透させ、エネルギーを生成する。また、細胞から老廃物を取り除き、肝臓の蓄積
脂肪をなくす働きも示されている。この脂肪代謝効果は様々で、原因不明の疲労感
や脂質の増大、筋肉の弱まりといった症状では、Lカルニチンの不足も疑われる。
4.共役リノール酸――これは、前から存在する脂肪細胞がサイズを増すことを防ぐ
働きが指摘されている。ダイエット中の脂肪ロスを増大させる他、抗がん作用も示唆
される。Journal of Nutrition(2000年)に掲載された研究では、肥満あるいは太り
すぎ患者に共役リノール酸を3.4g〜6.8g/日、12週間与えたところ、食生活や運動
習慣を変えずに脂肪質量を少々減少させたことを報告した。
5.フラボノイド――強い抗酸化剤作用で、超有名になったフラボノイド類だが、
ダイエットにも有効性を発揮するという研究報告がある。Phytotherapy
Research(2000年)に掲載された研究では、海洋松の樹皮成分、ピグノジェノール
が脂肪燃焼を促進し、脂肪生成酵素を阻害することで脂肪蓄積を防ぐと指摘した。
6.プロテイン――プロテインを多く摂ると、カロリー摂取が抑えられると指摘され
る。International Journal of Obesity(1999年)に掲載された研究では、肥満患者
65人を、総カロリー量の12%をプロテインから摂取するダイエットか、25%をプロ
テインから摂るダイエットプログラムのどちらかを受けさせたところ、25%グループ
の方で、減量が多く見られたという。
オーガニックティーが50%増などハーブティーに需要
多種多様なナチュラル製品がスーパーなどに氾濫、カプセルからチューワブルの錠剤
まで、ハーブ・ビタミンなどのサプリメントも多様なタイプが見られる。そうした中、
栄養素プラスアルファを求める消費者の目がハーブティーに集まっている。
サンフランシスコに本社を置くマーケットリサーチ会社、SPINSの調べによると、
ナチュラルフード店での、いわゆるスペシャルティーの2003年売り上げは18.5%アップ
という。オーガニックティーは50%増となったことを報告している。
では、「メディシナル・ティー」はサプリメントに匹敵して有効なのだろうか?
研究開発会社、Traditional Medicinals社によると、「メディシナル・ティー」は、
上質な製品ならば、固形サプリメントと同様、あるいはそれ以上の薬効があるという。
また、Smart Medicine for Healthier Livingの共同著者、Janet Zand氏は「“メディ
シナル・ティー”は作用がマイルドでまた、甘さや味わいがあり飲みやすいことから、
特に子どもや高齢者などにはヒーリング効果をもたらす」とその有効性に同意を表す。
お茶には、成分の用量を加減できる、アロマセラピー効果が期待できるなど、サプリ
メントには無い特徴も指摘される。
Journal of Alternative and Complementary Medicine(2000年)に掲載された研究では、
免疫サポート用ハーバルティー、Traditional Medicinal's Organic Echinacea Plusが、
鼻水、喉の痛み、熱を訴える医療従事者に対して、プラセボより回復期間を短期化した
ことを示している。また、緑茶を1日4〜6杯飲む女性は、乳がんの危険性が40%低下して
いることを指摘する。
あるナチュラル製品店舗関係者によると、現在の傾向として、店舗内の同じ商品棚にお茶
とサプリメントを一緒に置くと、一つの症状軽減目的で製品を探す消費者の注意を引き、
お茶、サプリメント双方の売り上げが上がるという相乗効果的現象を起こしているという。