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【 代替医療利用率、ハーブサプリメントは1997年-2002年で50%増 】

日本で最近、代替医療、統合医療という言葉が健康・医療従事者のみならず一般 の間で浸透しつつあるが、その源流は米国でのオルタナティブ・メディスン(CAM) のムーブメントに遡る。米国では90年代に入って、インターネットによる情報開示 なども手伝い、高額な医療費を請求される現代医療への不信感や治療医学の限界、 あるいは予防医学重視といったことから西洋医療離れが進み、非西洋医療に関心を 向ける人々が多くなっていった。副作用のない、自然なハーブ療法を提唱するアンド リュー・ワイル博士らの登場で、そうした動きはさらに加速し、代替医療の利用率は 年を追うごとに高まっていった。現在の代替医療の利用率はどうなのか、最新状況 を報告する。

ハーブサプリメントやヨガ療法が急伸

米国での代替医療の最近の利用率についてはどうか。 Alternative Therapies in Health and Medicine'05/1月号が報じたところによると、 アメリカ人の代替療法の利用状況は1997年から全般的に変化はないが、使用法に多少の 変化が見られるという。

それによると、ハーバード大学の研究グループが、アメリカ人代替療法使用状況データ の1997年版と2002年版(National Health Interview Survey in 2002より)を比較したが、 どちらも約3人に1人(36.5%、35.0%)が最低1種類の代替療法を使用しており、その状況 に格別変化はないという。

ただし、使用する種類に変化が見られ、ハーブサプリメント使用が1997年では12.1%、 2002年には18.6%と50%の増加。また、ヨガ療法も40%と増加がみられたという。他に、 鍼、バイオフィードバック、エネルギーヒーリング、催眠といった療法では変化はみら れなかったという。また、ホメオパシー、ビタミン剤多量投与、カイロプラクティック、 マッサージなどは幾らか減少しているという。

ハーブサプリメントを用いた栄養療法は手軽にできる代替医療ということで、多くの人々 に人気がある。'94年にクリントン元大統領時代にDSHEA(健康食品教育)法が制定され、 ハーブサプリメントの販売規制が緩和されたことから、市場は拡大の一途を辿り、合わせて 薬剤とハーブサプリメントとの併用を行う患者も増えてきたことから医療現場においては 薬剤とそうしたものとの相互作用の検証が見過ごせない問題となってきた。

薬剤との相互作用が大々的に報道、サプリメント市場は急速に冷え込み

その後、NIHなどの政府機関もセント・ジョンズ・ワート、ギンコ、ジンセン、ガーリック、サメ軟骨 といった人気ハーブサプリメントのそれまでいわれてきた効能や薬剤との相互作用の再検証 に乗り出すが、そうした中、セント・ジョンズ・ワートの薬剤との相互作用がマスコミで 大々的に報道され、それまで2ケタ台の成長を誇っていた市場は急速に冷え込みを見せると いった経緯もある。

そうした流れがあるが、今回のハーバード大学の調査では、やはり代替医療としての ハーブサプリメントによる栄養療法の人気は根強いことがうかがえる。50%増と代替医療 の中でも一番の伸びを見せており、予防医学に国民の関心が集まる中、今後もこうした 傾向が続くことが予測される。

ちなみに、昨年10月に全米代替医療センター(NCCAM)と疫病対策予防センター(CDC) が共同で、アメリカ人の代替医療の利用状況を調査しているが、この調査では、アメリカ の18歳以上の62%が、栄養療法や祈り療法といった何らかの代替医療を利用していること が明らかになっている。

調査は、全米の18歳以上約3万1000人を対象に、鍼療法、カイロプラクティクス、 栄養補助食品療法、食餌療法、メガビタミン療法、祈り療法など主だった27タイプの 代替医療について利用度を調べている。トップ10をみると、1、2位は祈り療法で、3位に ハーブサプリメントによる栄養療法がついている。次いで、深呼吸療法、瞑想、カイロ プラクティクス、ヨガ、マッサージと続く。

また、この調査では8位についているヨガだが、前述の調査では40%増と利用率が高まっ ている。この原因の一つとして、2001/9・11の同時多発テロが考えられている。当時、 ストレスを和らげるためにヨガの癒しの呼吸法の受講に消防士や警官が殺到したといわれ る。

ハーブサプリメントの品質管理改善を議会に進言

話をハーブサプリメントに戻すと、手軽にできる代替医療、予防医療として根強い人気を 誇るが、さまざまな問題も山積している。

ABCニュースが1/12日伝えたところによると、アメリカ人の約5分の1がハーブサプリメント 使用しており、市場には膨大な数の製品が出回っているが、医療関係者は患者への指導に 困惑しているという。そのため、Institute of Meidicineは、サプリメント品質管理改善 への対応を議会に進言し、より厳しい標準化を求めているという。

また、薬剤との相互作用についての検証も、今後さらに研究が必要とされるが、最近もUSC School of Pharmacyの研究グループが外科手術の前のハーブサプリメント使用は危険で あると発表している。

報告によると、ハーブサプリメントの中には、手術で使用される麻酔などの薬剤と相互 作用を起こし、多量出血や呼吸困難など危険な症状を併発する恐れがあるという。例えば、 血圧やコレステロールのコントロールを目的として使用するガーリックを手術前に飲むと、 深刻な出血を起こす危険性があるという。

他にも、出血を起こす恐れがあるハーブとして、ギンコビロバ、ジンセンなどが挙げられて いる。また、ヴァレリアン、カバは麻酔剤と相互作用を起こし、呼吸に問題が生じる恐れ があることが指摘されている。

ハーブの売り上げは鈍化傾向

ところで、最近のハーブサプリメントの利用状況はどうか。Archives of Internal Medicine'05/2月14日号に掲載された調査によると米国でのハーブの売り上げ状況は、 数種の栄養素を除いて失速傾向ともいう。

ボストン大学調査グループが8,500人を対象に行った調べによると、1998−1999年に比べ 2002年のハーブ利用者は増加したが、それはルテイン利用の増加によるものという。

ルテインの利用状況は、1998−1999年の0.3%から2002年は8%以上と大幅に躍進している。 その他の状況は以下の通り:ジンセンの利用は、18〜44歳の男性の場合4%(1998−1999) だったのが、2%(2002年)に。中高年の男性の場合、ギンコビロバ、ジンセン・セント・ ジョンズワートの利用は低下。65歳以上の男性の間で、コンドロイチンの利用は3倍と 高い伸びを示しているという。

とはいえ、一方で、現代医療が対処しきれない予防医学の分野において、やはりハーブ サプリメントへの期待は大きい。ハーブ治療はアレルギーの症状軽減に有望といった ことも、最近International Journal of Clinical Pharmacology Researchに掲載された。 ASA Foundation研究グループによるもので、米国内で市販されているハーブ剤、Aller-7 (7種のハーブエキスを配合)をアレルギー患者545人に与えたところ、プラセボ治療に 比べ、Aller-7グループは、40〜100%の範囲で症状の改善を報告したという。

治療医学である西洋医療がカバーしきれない予防医療の分野においてハーブサプリメント のニーズは今後もさらに高まることが予測される。

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